第36話 手芸部の天然天使再び
ある雨の日の放課後。
今日も部活&図書委員として、準備室で本を読んでいる。
カウンターの方は、誰かが来た時に対応する事にした。
しかし梅雨とは言え、こう連日、雨ばかりだと流石にウンザリする。
そんな事を思いながら、本を読んでいると、突然、準備室のドアが開いて、ある人物が現れた。
「はい〜、皆さん、お久しぶり〜」
そこに現れたのは、手芸部部長こと松橋 翠先輩だ。
「翠、今日は一体どうしたのよ」
と、胡散臭げな表情を見せながら、尋ねる恵先輩。
「じゃん、今日はこれを持って来ましたよ」
そう言いながら、持ってきた紙バックの中から、白い布を取り出す翠先輩。
「はい、何ですか? それは」
「また、何か作ったんですか」
「何だろ、何だろ(わくわく)」
それを見ながら喋る、僕、静先輩、のどか先輩。
しかし、そんな事は意に介さず、その白い布を広げる翠先輩。
そして、布を広げると、そこに現れたのは、
白い生地に、タップリの白いフリルとレースに、黒いリボンで装飾された、コテコテのロリータ系のドレスだった。
「うわぁ、これはまた」
「着る人を選びそうな・・・」
「でも、結構、かわいいじゃない(いいよ)」
と、それぞれ感想を言う、恵先輩、静先輩、のどか先輩。
「で、翠、これを見せる為だけに、ここに来たの?」
「違うよ、恵、これを着てもらう為に来たんだよ」
「誰に?」
「それはね、秋人くんによ」
その瞬間、恵先輩、静先輩、のどか先輩の目が光った。
「そうだよ、そうだよ、秋人くんを見た時から、イメージが湧いてきて、これしかないと思って作ったんだよ。
秋人くんが、これを着てくれたら、”かわいい男の娘をモフモフする”と言う夢が叶うよ」
すっかり舞い上がる、翠先輩。
それを聞いた3人は、
「確かにこれは、あーちゃんには、十分似合う・・・」
「いえ、似合い過ぎますよ・・・」
「はあ、これを着た、あーちゃんをギュっとしたいよ(ムラムラ)」
などと、言い出す、恵先輩、静先輩、のどか先輩。
そして4人は、まるで獲物を狙う猛獣の目をして、僕に近づく。
「ねえ、お願い、秋人くん」
「これを着てちょうだい」
「それから、ねえ」
「モフモフさせてぇ(じゅるり)」
そう言いながら、僕ににじり寄る、翠先輩、恵先輩、静先輩、のどか先輩。
身の危険を感じた僕は、いち早く脱出を図ろうとする。
「あ、逃げた、翠、ドアの方が固めて!」
「分かったわ!」
「静とのどかは、左右から挟み撃ちにして!」
「「分っかりました!」」
退路を断たれた僕は、4人に包囲されてしまう。
「「「「ねえ、これを着てちょうだい」」」」
とうとう捕まった僕は、身ぐるみ剥がされて、人生最大の恥ずかしい思いをする事になってしまった(涙)。




