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第35話 天然先生の膝枕

 ある雨の放課後。



 今日は、読書部や図書委員とは関係なく、ある倉庫と化した空き教室にいる。


 ここで、川尻先生の御命令により、現国の資料を探している。


 なぜ、こんな事になったかと言うと、僕が読書部の部員&図書委員であるのと、今回の試験で現国の成績が、チョット悪かった弱みを握られた為だ。


 トホホ、なんでこんな事に(涙)。


 それで、今は脚立に乗って、山の様に積み上げられた荷物の上を見ている。


 

 「先生、それで何を探せばいいんですか?」


 「ん、あのね、プロジェクターを探しているの」


 「職員室に無いのですか?」


 「うん、職員室にあるのは壊れててね、古いのがここに有るそうらしいの」


 「分かりました」



 と言う先生の御命令により、目的の物を探し始めた。


 しかし、幾ら探しても、目的の物は影も形も見えない。



 「先生、それらしき物は見えませんけど、本当にあるんですか?」


 「おかしいわね、教頭先生からそう聞いたの」


 

 何か怪しいなあ、何にしろドジっ娘として有名な先生の事だし。


 そんな事をしていると、イキナリ荷物の山の中腹が崩れて、脚立の中段を押した。


 その結果、脚立が倒れてしまい、僕は床に投げ出された。



 「ああっーー!」


 「ガッシャーーン」


 「ドーーン!」



 床に激突する際に、頭を強く打ち付けてしまった。


 僕は頭を振りながら立ち上がる。



 「いててて」


 「大丈夫ー!」



 先生が慌てて、僕の方に駆け寄ってくる。



 「頭を打ったみたい、とりあえず保健室に行きましょう」



 先生が寄り添いながら、保健室へと向かった。



 ***************



 「しばらく、横になって様子を見ましょうか」



 保健室に着いたが、生憎、校医の先生が居ないので、ベッドで横になって様子を見る事になった。


 とりあえず、ベッドに行き、横になろうとする。


 ベッドに行って、横になろうとベッドに座ると、何故(なぜ)か先生もベッドに座った。


 「?」 


 変だと思ったが、ベッドに横になろうとした瞬間に、先生の手が伸びて、僕の頭を引き寄せた。


 そして、僕の頭を自分の太股の上に乗せる。


 こ、これは・・・。



 この体勢は、(まご)うこと無き、膝枕の体勢。


 それに気付き、起き上がろうとするが、先生に押さえつけられて起き上がれない。



 「だーめ、起き上がったら、頭が擦れないじゃない」



 と、おっしゃる先生。


 いや、頭を擦るのに何故、膝枕?


 う〜ん、先生の思考が斜め上過ぎて、良く分からない。

 

 抵抗するのを止めると、先生が頭を撫で出した。



 「ほら、痛い所を擦ると痛く無くなるでしょ」



 僕の頭を撫でる、先生の細くて柔らかい指。


 そして、頭の下で感じる、柔らかい太股の感触。


 それらを感じている内に、痛みが薄らいで行った。



 「先生、もう痛く無くなったから、いいですよ」


 

 と僕は言ったけども。



 「ごめんね、秋人君、秋人君の頭を擦るのが気持ち良いから、このまましばらく良いかしら」



 いつの間にか、目的が入れ替わってしまった、先生。


 その後、先生は心ゆくまで、僕を撫で続けたのだった。

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