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第32話 びしょ濡れあーちゃん

 ある雨の日の早朝。



 今、僕はびしょ濡れだ。


 朝、家を出る時は傘を持って出たけども、電車の中で居眠りをしていて、気づいて時には、学校前の駅を出発する寸前だった。


 それで、急いで降りる事が出来たけど、その時に、傘を電車の中に忘れて来た。


 仕方が無いので、そのまま駅から学校まで走って来たが、当然、その時に濡れてしまった。


 始業時間まで一時間以上もあるけど、いつもは朝一で図書室の中を確認する川尻先生が、出張で今日から3日間もいないので、それを図書委員がそれを代行する事になっている。


 だけど実質的には、僕ら読書部がやらなければならないので、今日は僕が当番になった分、いつもよりも早く出て来た訳である。


 職員室で鍵とドライヤーを借りて、とりあえず、準備室で服を乾かす事にした。


 準備室でカッターとTシャツと脱いで、濡れた時用に持ってきたタオルをカバンから取り出して、体を拭いた後、それから椅子に座り、ドライヤーで少しでもシャツを乾かそうとした時。


 その時、準備室のドアがイキナリ開いた。



 「あれ、あーちゃん、どうしたの?」


 「あ、恵先輩こそ、どうしたんですか?」


 「今日は、私が朝来るん日じゃ、無かったの?」


 「え、違いますよ、今日は僕が来る日ですよ」


 「あちゃ、間違えちゃったかな」



 どうやら、恵先輩が日にちを間違えたみたいだ。


 そして、恵先輩が上半身裸の僕を見て言った。



 「あーちゃん、どうしたの?」


 「はい、先輩、傘を電車を忘れてしまって、それで」


 「そうなの、あ、まだ背中が濡れてるよ」



 と、僕の背中を見た先輩が、タオルを取って僕の背中を拭き始めた。


 僕の背中を拭きながら、その背中を(なが)めている。


 拭き終わっても、僕の背中を眺めているかと思ったら、先輩の手が直接、僕の背中を撫で出した。



 ***************



 朝、確認の為に図書室を訪れると、すでに扉が開いていた。


 ?と思い、中に入ると、準備室に上半身裸のあーちゃんが座っている。


 それを見て、思わずドキリとしたが、内心の動揺を悟られないように、冷静に振る舞った。


 話してみると、どうやら私が日にちを間違えたみたいだ。 


 そして、あーちゃんは傘を忘れて、濡れたそうだ。


 あーちゃんを見てみると、背中が少しまだ濡れている。


 それでタオルを取り、あーちゃんの背中を拭いていく。


 あーちゃんの背中を拭きながら、その背中を眺めていると、”ツルツル滑らかな肌”、華奢に見えても意外に”締まった体”に意識が行って、思わずその背中を凝視してしまう。


 そして、いつも間にかムラムラしてしまい、背中を拭き終わったにも関わらず、無意識的に、今度は直接背中を撫で出した。


 初めは、遠慮がちに撫でていたけど、だんだんと我慢が出来なくなって我慢の限界を越えると、あーちゃんの体に腕を回しながら、胸やお腹を撫でると、それと同時にあーちゃんの背中に頬ずりをし始める。


 あーちゃんの肌は、雨に濡れてヒンヤリとしていて、まだ皮膚に湿り気があるので、頬ずりしても滑らないから、動かずにジッとくっ付けたままにする。


 そのヒンヤリ感を味わいながら、前に回した手で撫でて、あーちゃんの締まった筋肉の感触を堪能した。



 ****************



 最初は、背中を優しく撫でていたのだが、次第にその行動が大胆になり、手を体の前の方に回して抱きついて、胸や腹を撫でながら背中に頬を当て出した。


 先輩の柔らかで暖かい手が、僕の胸や腹をなで回して、背中にはプニプニした頬の感覚が直に感じられる。


 恥ずかしくなった僕は、先輩に止める様に言ったが、全く聞こえている様子が無い。


 どうも、先輩に変なスイッチが入ったみたいだ。


 結局は、肝心の服を乾かす事が出来ないまま、始業ギリギリまでこの状態になったので。

濡れた服のまま、授業を受けなければならない羽目に、(おちい)ってしまった(涙)。


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不思議な先輩女子と、平凡な後輩男子との不思議な話。
夏の涼風
姉弟物の短編を取り揃えていますので、どうか、お越し下さい。
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