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第29話 天然天使を撫でる

 ある日の午後。



 今日は、恵先輩は珍しく用事があるらしく、のどか先輩もまた珍しく単独で予備校へ行った。


 それで、静先輩と二人でカウンターで受け付けをしてる。



 「何か、こんな日も珍しいですね」


 「そうだね、でも今日は、あーちゃんと二人っきりなんだよね」


 「はい、二人だけですね」



 そんな、軽い会話をしながら、カウンターで本を読んでいると。

視界に、先輩が髪を掻き上げるのが見えた。


 

 「(うあ〜、サラサラの髪だなあ。)」



 黒くて、ツヤツヤでサラサラの、キレイな髪をしている。


 僕は、いつの間にか先輩の事を、ジッと見ていたらしく。



 「ん、どうしたの、あーちゃん。

そんなに、穴が空くほど、私を見て。」



 と、ニコニコしながら、僕に語りかけてきた。


 それで、僕は照れながらも、先輩に言った。



 「いや、先輩の髪って、サラサラしていて、キレイだなって」


 「え、そんなあ・・・」



 と、言って、(うつむ)いてしまった。


 しかし、僕はそんな先輩の仕草に従い、サラサラと動く髪を(なが)めていた。



 「ねえ、あーちゃん、私の髪、触ってみない?」


 「え、いいんですか」


 「うん、私、あーちゃんになら、良いよ」



 俯いていた先輩が、頬が赤くなった顔を上げると、僕にそう言った。


 先輩が僕の右手を両手で取って、自分の髪に導く。


 僕は、先輩の髪を指の間に通して、上から下へ手を動かした。



 「うわぁ、気持ちいい」



 その気持ち良さに、思わず声を出した。


 僕の手は、その気持ち良さをもっと味わいたくて、手を色々と動かした。


 撫でる、滑らせる、(から)める、巻きつける、持ち上げる。


 自然に、色んな動きをして、髪の毛の感触を堪能した。



 「んんん」



 先輩が、何かに耐える様な表情を、見せている。


 すると、先輩が何かスイッチが入ったのか、突然、言い出した。



 「ねえ、お願いあーちゃん、ギュってしてから、撫でて・・・」



 頬を赤らめさせて、目を潤ませながら、僕を見ている。


 その表情を見て、思わず”ドキッ”とした。


 普段こんな、甘える様におねだりをしない人だから、少し驚いている。


 キャスター付きの椅子を転がして、先輩が僕に近づき、そして額を僕の肩にくっ付けた。



 「ねえ、あーちゃん、ギュっっってして」



 更に、先輩がおねだりして来る。


 僕は、先輩の背中に腕を回した。


 お互い、椅子に座った状態なので、少しキツいけど。

それでも、出来る限り、僕の方に抱き寄せる。


 そして、左手で先輩の背を上下に擦りながら、右手は先輩の頭を撫でたり、髪を(もてあそ)んだ。



 「はあーーー」



 そうしていると、先輩が小さいけど、満足そうな溜め息を上げた。


 それから、先輩が気が済むまで、しばらく先輩を撫で続けたのだった。


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不思議な先輩女子と、平凡な後輩男子との不思議な話。
夏の涼風
姉弟物の短編を取り揃えていますので、どうか、お越し下さい。
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