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第28話 天然天使の治療

 ある日の放課後。



 今日は、恵先輩と静先輩は本棚の整理に。


 僕とのどか先輩は準備室の方の本棚の整理をしている。


 今は脚立を使って、棚の上の荷物をついでに下ろして所である。


 当然、脚立に乗るのは、先輩で、下で押さえるのは僕だ。



 「あーちゃん、覗いちゃダメだよ(めっ)」


 「そんな事しませんよ」


 「んー、気がつかない内に、チラ見する分には良いよ(ほーら)。

ちなみに、今日の色は、ピンクの(シマ)だからね(みたい?)」


 「〜〜〜、そんな事、しません!」


 「どうかな、あーちゃん、むっつりだし(そうよね)。

それに、その場所はベストポジションだしね(ばっちし)」


 「しないと言ったら、しません」



 イタズラな表情を浮かべて、僕をからかう、のどか先輩。


 僕は必死で下を向いて、脚立を押さえている。


 のどか先輩は静先輩とは違い、脚立の上でも安定しているので、安心はしている(第7話 天然天使の感謝参照)。


 しばらく、僕が脚立を押さえていると、



 「あーちゃん、危ない!」


 「(ガーーーン!)」



 と、言う声が聞こえると同時に、頭に何か硬いものがぶつかった。



 「ドサッ!」


 「イテテテテ」



 硬い物が床にぶつかると、僕は頭を抱えて床にしゃがみ込んだ。



 「あーちゃん、大丈夫!」



 慌てたのどか先輩が、急いで脚立を降り、僕の所に来た。



 「あー、額から血が出てるよ。

急いで、保健室に行こうね」



 頭を抱えていた手を見ると、血がベッタリと付いている。

ああ、これは保健室に言った方が良いな。


 僕らは、図書室にいる二人に言付けて、保健室へと行った。



 ****************



 保健室に行くと、校医の先生は居なくて、先輩が手当てをしてくれた。


 僕は丸椅子に座って、先輩は立って僕の頭を見ている。



 「いてて」


 「あ、ごめんね、あーちゃん」



 先輩は、ガーゼで額の血を(ぬぐ)って、それから消毒液を傷口につけた。



 「怪我させてごめんね」


 「いいですよ、気にしないでください」



 しばらくの間、ガーゼを傷口に当てて、血が止まると大きな絆創膏を貼り付けながら、申し訳なさそうに先輩が言った。



「(ふわっ)」



 絆創膏を貼り終えると、先輩の手が、僕の頭を優しく置かれた。



 「本当に、ごめんね、あーちゃん。

ちょっと私、調子に乗りすぎたね。」 


 「でも、あーちゃんの事を悪く思って、意地悪した訳じゃ無いの。

むしろ、可愛くて、可愛くて、しょうがないの、これだけは言わせてね」



 のどか先輩が、僕の頭を優しく撫でる。


 その柔らかく、プニプニした手が僕の髪を滑って行く。


 その手の感触を感じている内に、いつの間にか、ズキズキした痛みが消えて行った。


 しばらくして先輩が僕の頭を撫で終えてから。



 「でも、先輩、むっつり扱いだけは勘弁して下さいよ〜」



 と、僕が弱った様に言うと。



 「だって、ホントだもの(ね〜)。

でも、あーちゃんなら、別にいいけどね(うふふ)」



 先輩は、意味深な笑顔を僕に向けた。


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不思議な先輩女子と、平凡な後輩男子との不思議な話。
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姉弟物の短編を取り揃えていますので、どうか、お越し下さい。
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