第24話 お姉ちゃん悲しい
ある日の昼休み時間。
今日は、カウンターで受け付けをしている。
隣には、有佐先輩が座っているが。
「はあ〜」
ため息をついて、暗くなっている。
その回りに、真っ暗なオーラを漂わせながら。
「・・・有佐先輩、とうしたんですか?」
「うん」
俯いたまま、こちらを見ない。
「弟が、近寄らんと、触らせんと、冷たかと。
何が、何がいかんとかねえ〜」
と言うと、更に項垂れた。
う〜ん、重傷だなぁ。
「普段はどう言う風に、接しているんですか?」
「うん、スキンシップが必要と思ーた時に、ハグしたり、頭撫でたり、しょーたとたい」
「弟さんは、何年生ですか?」
「小学5年生たい」
何となく、弟さんが嫌がる理由が想像出来る。
頭を撫でられるを嫌がるのは、子供扱いされるのが原因で。
抱き付かれるのは、多分、年頃からすれば、・・・目覚める頃だからだろう。
特に有佐先輩は、夏服になって目立つけど、意外におっ・・・、胸が大きいから。
目覚めたばかりの頃に、あんな大きい胸で抱き締められたら、意識するなと言う方が無理だ。
「先輩、弟さんも、成長しているんですよ」
「それは、それは分かるとばってん、あん子は私が世話ばせんと」
ああ、先輩が元々が母性本能が強いんだ。
それが、母親がいない環境と、世話をした分、何らかの形で返してくれる相手だから、それに拍車を掛けたんだ。
「それに、いつまでも一緒に居られる訳では無いですよ」
「そんなの、そんなの嫌ばい」
う〜ん、長期的には、それを時間を掛けて受け入れるしかないけど。
問題は今、元気を出してくれないと。
しょうがないか、
「先輩、僕を弟さんと思って、キュってして下さい」
「ええっ」
「それで、少しでも元気を出して下さい」
「ホントね、そんじゃあ」
前とは異なり、遠慮がちに近づいて、ゆっくりと僕に抱き付いた。
「秋人くん、暖かかね」
少し、振るえる声で言った。
そして、僕の肩に頬を寄せると、”うううっ”と小さな嗚咽を漏らした。
しばらく、その状態でいたが、何か吹っ切れたのか、顔を上げた。
「私はあん子ん事が、大好きだし大事やけど、その気持ちば一方的に押し付けんたい。
もう少し、あん子ば見守る様にするたい」
「だけども、直ぐには変わらんやろーけどね」
と、先輩が少し赤い目で、笑いながら言った。
どうやら、少しは元気が出たみたいだ、良かった。
「それからね、秋人くん、慰めてくれて、ありがと」
それから、僕にお礼を言った。
「あ、それとね、これからも寂しゅうなったら、ハグばお願いね」
ええっ! そんなぁ。
しかし、冷たい弟の態度に冷静になれただけで、有佐お姉ちゃんのブラコンは、以前と変わりがありませんでした(笑)。




