第23話 天然天使のいたずら2
とある昼休み時間。
今、僕は準備室で読書に勤しんでいる。
カウンターでは、恵先輩とのどか先輩が、受け付けをしていて。
静先輩は、本棚の方で、本の整理をしている。
「ふあっ」
不意に、あくびが出た。
昨日、ちょっと夜更かしして寝不足ぎみで。
それに加えて、昼食後で満腹がなっているから、眠気がする。
駄目だ、眠気が凄くて本が読めない。
仕方が無い、少しだけ仮眠を取ろうか。
テーブルに突っ伏すると、睡魔が襲って来た。
「・・・・・・(すう)」
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「それでは、恵先輩とのどか、そちらはお願いします」
カウンターの方を二人に頼んで、私は準備室の方に行く。
ドアを開けて見ると、あーちゃんがテーブルに突っ伏して、幸せそうに居眠りしている。
「ふふふ」
その幸せそうな顔を見ると、こちらも嬉しくなる。
近くで見てみたくて、あーちゃんの側に来た。
あーちゃんの隣に座り、テーブルに頬づえをついて、あーちゃんの事をジッと見ながら考えた。
見ためは派手じゃないけど、優しくって、可愛くって、でもイザと言う時は頼りになる。
初めは、ちょっと怖かったけど、でも、私の気持ちをいつも考えてくれて、そして大事にしてくれた。
あーちゃんは、そんな男の子。
「すう、すう」
あーちゃんは、寝息を立ている。
そんな、あーちゃんが枕にしている腕に手を伸ばし、いつもの様にあーちゃんの手を握った。
大きいけど、柔らかくて、暖かい、あーちゃんの手。
手を握りながら、あーちゃんを見た。
「すう、すう」
幸せそうな寝顔をしている、あーちゃんの頬に手を伸ばして撫でた。
撫でると、ツルツルとした肌触りと弾力が手に伝わる。
しばらく、あーちゃんの頬を撫でて、その感触を堪能した。
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ふと気がつくと、目にあーちゃんの夏服が飛び込んだ。
衣替えの前に、学生服の上着を脱いだあーちゃんに額を付けた事があるけど、その時の感触と暖かさを思い出した。
それに、私を庇ってくれた時の、クッションが利いたベッドの様な感触も。
今、抱きつけば、それらの感触が・・・。
と、邪な事を考えると、頬が熱くなった。
邪な事を考えていると、"駄目だ、駄目だ"と思いながらも、今度は体が勝手に動く。
立ち上がり、あーちゃんの後ろに行くとあーちゃんの背中を見た。
背の無い丸椅子なので、あーちゃんの背中が良く見える。
あーちゃんの背中を見た後、ゆっくりとあーちゃんに抱きついた。
「んんん」
一瞬、あーちゃんが声を上げたが、起きる気配が無い。
やはり、あーちゃんの肌は暖かくて、柔らかい。
ふと、横を見ると、あーちゃんの横顔が見える。
その横顔を見ている内に、自分の顔が段々接近して行き。
「チュッ!」
思わず、あーちゃんの頬にキスした。
一体、自分は何をしてしまったんだろうか。
自分の行為に赤面しながら、私はあーちゃんに抱きつく腕に力を込めて誤魔化した。
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「ん・・・・・・」
目を覚ますと、何か暖かい物が抱きついている。
「あ、あーちゃん、おはよう」
横を見ると、静先輩が頬を赤らめながらも、微笑みそう言った。
「せ、先輩、いつの間に!」
「ん、あーちゃん見てたら、ギュとしたくなったの」
先輩は、少し恥ずかしそうにだけど、イタズラっぽく、そう答えた。
僕はそんな先輩を見て、胸がドキッとなった。
「あーちゃん、良く寝てたねぇ、もう、そろそろ時間だよ」
と、先輩が言った、ああ、もうこんな時間か。
「それじゃ、一緒に行きまょうか」
僕から離れると、そう言いながら、先輩が手を伸ばして来た。




