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第23話 天然天使のいたずら2

 とある昼休み時間。



 今、僕は準備室で読書に(いそ)しんでいる。


 カウンターでは、恵先輩とのどか先輩が、受け付けをしていて。


 静先輩は、本棚の方で、本の整理をしている。



 「ふあっ」



 不意に、あくびが出た。


 昨日、ちょっと夜更かしして寝不足ぎみで。

それに加えて、昼食後で満腹がなっているから、眠気がする。


 駄目だ、眠気が凄くて本が読めない。


 仕方が無い、少しだけ仮眠を取ろうか。


 テーブルに突っ伏すると、睡魔が襲って来た。



 「・・・・・・(すう)」



 **************



 「それでは、恵先輩とのどか、そちらはお願いします」



 カウンターの方を二人に頼んで、私は準備室の方に行く。


 ドアを開けて見ると、あーちゃんがテーブルに突っ伏して、幸せそうに居眠りしている。


 

 「ふふふ」


 

 その幸せそうな顔を見ると、こちらも嬉しくなる。


 近くで見てみたくて、あーちゃんの側に来た。


 あーちゃんの隣に座り、テーブルに頬づえをついて、あーちゃんの事をジッと見ながら考えた。


 見ためは派手じゃないけど、優しくって、可愛くって、でもイザと言う時は頼りになる。


 初めは、ちょっと怖かったけど、でも、私の気持ちをいつも考えてくれて、そして大事にしてくれた。


 あーちゃんは、そんな男の子。


 


 「すう、すう」



 あーちゃんは、寝息を立ている。


 そんな、あーちゃんが枕にしている腕に手を伸ばし、いつもの様にあーちゃんの手を握った。


 大きいけど、柔らかくて、暖かい、あーちゃんの手。


 手を握りながら、あーちゃんを見た。



 「すう、すう」



 幸せそうな寝顔をしている、あーちゃんの頬に手を伸ばして撫でた。


 撫でると、ツルツルとした肌触りと弾力が手に伝わる。


 しばらく、あーちゃんの頬を撫でて、その感触を堪能した。



 ***************



 ふと気がつくと、目にあーちゃんの夏服が飛び込んだ。


 衣替えの前に、学生服の上着を脱いだあーちゃんに額を付けた事があるけど、その時の感触と暖かさを思い出した。


 それに、私を庇ってくれた時の、クッションが利いたベッドの様な感触も。


 今、抱きつけば、それらの感触が・・・。


 と、(よこしま)な事を考えると、頬が熱くなった。


 邪な事を考えていると、"駄目だ、駄目だ"と思いながらも、今度は体が勝手に動く。


 立ち上がり、あーちゃんの後ろに行くとあーちゃんの背中を見た。


 背の無い丸椅子なので、あーちゃんの背中が良く見える。


 あーちゃんの背中を見た後、ゆっくりとあーちゃんに抱きついた。


 


 「んんん」



 一瞬、あーちゃんが声を上げたが、起きる気配が無い。


 やはり、あーちゃんの肌は暖かくて、柔らかい。


 ふと、横を見ると、あーちゃんの横顔が見える。


 その横顔を見ている内に、自分の顔が段々接近して行き。



 「チュッ!」



 思わず、あーちゃんの頬にキスした。


 一体、自分は何をしてしまったんだろうか。


 自分の行為に赤面しながら、私はあーちゃんに抱きつく腕に力を込めて誤魔化した。


 

 **************



 「ん・・・・・・」



 目を覚ますと、何か暖かい物が抱きついている。



 「あ、あーちゃん、おはよう」



 横を見ると、静先輩が頬を赤らめながらも、微笑みそう言った。



 「せ、先輩、いつの間に!」


 「ん、あーちゃん見てたら、ギュとしたくなったの」



 先輩は、少し恥ずかしそうにだけど、イタズラっぽく、そう答えた。


 僕はそんな先輩を見て、胸がドキッとなった。



 「あーちゃん、良く寝てたねぇ、もう、そろそろ時間だよ」



 と、先輩が言った、ああ、もうこんな時間か。



 「それじゃ、一緒に行きまょうか」



 僕から離れると、そう言いながら、先輩が手を伸ばして来た。

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不思議な先輩女子と、平凡な後輩男子との不思議な話。
夏の涼風
姉弟物の短編を取り揃えていますので、どうか、お越し下さい。
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