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第22話 天然先生のおまじない?

今回、ちょっと話が苦しいです。

 ある日の放課後。




 僕は今、川尻先生と二人で準備室にいる。


 恵先輩は生徒会に、静先輩とのどか先輩は予備校の日である。


 何をしてるかと言うと、新入荷した本に保護シールを張る作業である。


 先生の方は、新入荷した本のチェックである。




 「先生、やっぱり、ライトノベルが多いですね」


 「うん、今、活字離れとかで、年を取った人達がなんか必死になっているからねぇ」


 


 そう、最近は学校だけでなく、公立の図書館でもライトノベルを学生向けに充実させている。


 大昔は、漫画で何とか学生に本を読ませようとしてたけど、流石に漫画は・・・と言う声と、ライトノベルの台頭でそちらにシフトして行った。

 

 従って、入荷する本の中でライトノベルは、カナリの割合を占めている。


 もっとも、図書室のロケーションが悪すぎて利用が少ない、この学校の事情もあるけども。


 しかし、妙に偏ったジャンルのラノベばかりだなあ。



 「先生、このライトノベルの購入って誰が決めてるんですか?」


 「ん、それねぇ、先生が決めてるんだよ。

先生、ライトノベルのそう言うのが好きだから」



 先生、それって職権乱用じゃあ・・・。



 **************



 僕は、淡々と新しい本に、保護シールを貼り付けている。


 カッタでシールを、本の大きさに切っていると。



 「イタっ!」



 カッタで指を切った。



 「ん、秋人くん、どうしたの?」


 「ちょっと、指を切りました」


 「ねえ、見せてもらって良いかな?」



 と、言って先生は、僕の指を切った方の手を取ると、



 「(パクっ)」



 先生は、切れた僕の指を口に含んだ。


 口の中で、先生の舌が僕の傷口を舐めて行く。


 傷が開いて、むき出しになった感覚器官に直接触れているので、くすぐったいとも、気持ちいいとも付かない感覚がする。


 血が止まったかなと思うと、次に先生はその指を口から放して、そして僕の指を、自分の額に付けて何やらブツブツと唱えた。



 「先生、何してるんですか?」


 「早く治るように、おまじない、念を送ってるの」



 先生、それ、おまじないですか?

まあ、先生らしいと言えば、先生らしいけど。



 「先生、それ、おまじないですか」


 「そうだよ、先生、おまじない、色々知っているからね」


 「へえ、他にも有るんですか」


 「うん、例えば、仲良くなる、おまじないとか」


 「どんなのですか?」


 「こう言うのだよ」



 そう言うと、イキナリ先生は、僕に抱きついて来た。



 「これが、仲良くなる、おまじないだよ」



 って、これは、ただ単なるハグじゃないんですか!



 「ほら、ほら、秋人くんもギュってして」



 と言いながら、僕の腕を取って、自分の体に持って行った。


 そうしていると、突然、準備室のドアが開いた。



 「先生ー、この問題はどう解くんですか?」



 一人の女生徒が、準備室に入ろうとしていた。


 そして、その女生徒は、この光景を見てしばらく固まると、ゆっくりと動いてドアを閉め、それから盛大な足音を上げて走り去った。



 「あれ、どうしたのかな?」



 その元凶は、いたって呑気である。


 って、先生、早く行って誤解を解かないと、アナタ、懲戒免職になりますよ。


 と、僕は、そう怒鳴りたくなった。



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