第17話 ぬくぬく天然天使1
いつもの放課後。
「はあ、はあ、お待たせしました」
遅れた為に急いで来た僕は、準備室のドアを開けると挨拶した。
「あーちゃん、待ってたよ」(恵)
「あーちゃん、やっと来たね」(静)
「あーちゃん、遅かったね(ぶるぶる)」(のどか)
僕はドアを閉めると、3人が座るテーブルの方に行き、丸椅子を引いて先輩方の向かい側に座った。
座ると、急いで来た為に体が熱くなったので、学生服の上着を脱いだ。
「すいません、ホームルームでクラス全員が、担任から説教されたんですよ」
「えー、どうして?」
静先輩が尋ねると。
「教室の備品を壊したのが誰かと尋ねても、誰も言い出さないもんだから、とうとう最後に担任がブチキレちゃって。」
「あららら」
「それは災難だったね(ぶるぶる)」
僕が答えると、恵先輩とのどか先輩から同情された。
「でも、今日は肌寒いですね」
「うん、何でも季節外れの寒波が来てるとかで、気温も春の初め位だって」
恵先輩が言うと。
「もう、すっかり、防寒どころか薄手の物でも、着ようと思ってたのに」
「う〜、寒いよ。
油断して、薄手の物しか着て来なかったよ(ぶるぶる)」
静先輩も言い、のどか先輩は寒さに振るえている。
さっきから、妙に振るえているいたのは、寒いからなのか。
「のどか先輩そんなに寒いんですか」
「うん、私、寒いのがチョット苦手なの(ぶるぶる)」
と、のどか先輩が振るえながら答える。
「もう我慢できない、あーちゃん、お願い、温まらせて〜(ねえ〜)」
「??? いいですけど、何をするんですか?」
と言うと、のどか先輩はテーブルを回り、背もたれの無い丸椅子に座っている、僕の背後に立つと。
「えい(がばっ)」
イキナリ僕の背中に抱きついて来た。
「はあ、あーちゃん、暖かいよお(ゴロゴロ)」
のどか先輩は僕に、まるで猫が喉を鳴らしてやる様に、頬ずりをして、幸せそうな声で言った。
「あ〜、あーちゃんの肌の温もりが、気持ちいいよぉ(うっとり)」
熱くなったので、上着を脱いでカッターだけになった僕に、抱きついたのどか先輩は、熱くなった体温と肌の感触に、いたく御満悦だった。
「へ〜、そうなの、じゃあ私も温まろう」
今度は恵先輩が、僕の右隣に座り、右腕に抱きついて来た。
「あ〜、ホントだ、気持ちいいね」
頬ずりしながら、頬で僕の肌の感触と体温を、恵先輩は堪能した。
「ん!」
気がつくと、静先輩がいつの間にか、僕の左側に座っていた。
「あーちゃん、あーちゃんの手、暖かいね、」
静先輩は、僕の左手を握りながらつぶやいた。
寒さの為に冷たくなった柔らかな両手で、僕の手を包んでいる。
「あーちゃんの肌も暖かいね」
静先輩は、おでこを僕の肩にくっつけて、そうつぶやいた。
のどか先輩は、僕の背中に抱きついていて。
恵先輩は、僕の右腕を抱え。
静先輩は、僕の左腕を握っている。
僕はしばらくの間、その状態のまま動く事が、出来なくなったのだった。




