第14話 天然天使とお弁当2
4時限目の終鈴がなって、いつもの様に食堂へと向かっていると。
「(あれ、恵先輩だ)」
向こう側に、可愛らしい包の弁当箱を持った、恵先輩が見えた。
「恵せんぱーーい!」
「あ、あーちゃーーん!」
僕が呼びかけると、先輩がそれに気づいて、コチラを向きながら答えた。
「いまから、食堂に行くんですか」
「うん、あーちゃんは?」
「食堂にパンを買いに行く所ですよ」
「じゃあ、一緒に行こうか」
僕と先輩は一緒に食堂へと向かった
****************
食堂へ行き、僕が購買でパンを買っている最中、先輩はテーブルで僕を待っている。
僕がパンを持って帰ると。
「あーちゃん、パン3つも食べるんだね」
「これ位食べないと、夕方まで持たないんですよ」
と言いながら、先輩の向かいの席に座る。
僕が座ると、先輩は弁当の包を解き、僕はパンの袋を破いた。
僕がパンを”モグモグ”と食べていると、弁当の蓋を開けて箸を付けようとした先輩の手が止まり、こちらをニコニコしながら見ている。
「あの二人の言う通りだね、あーちゃんの食べる姿は、とてもかわいいよ。
言われてみれば、確かにリスみたいだね」
・・・僕は、赤くなりながら食べた。
****************
食事が済んで、先輩が弁当箱を片付けていると。
「そうだ、あーちゃん、折角だから、あーちゃんの分も作ってこよおか。
私のも作るんだし。」
と急に言い出した。
でも、あんな噂が立った後だし・・・。
「いいえ、無理しなくても」
「どうせ、自分の分は作るのだし、そのついでだから大丈夫よ」
「だ、大丈夫ですよ」
恥ずかしさの余り断ろうとするが、その態度で何かを察したようだ。
「大丈夫よ、もう、あんな噂なんか関係無くなったから」
そう”先輩と付き合っている”と言う噂は無くなった。
ただし、今度は僕が”読書部のペット”だとか、”愛玩動物と書いて、かわいがるいきものと呼ぶ”と言う噂が立ってしまっている(涙)。
どうやら、あの3人組が発信源みたいだ。
ちなみに、あの3人組は、先輩の個人的な制裁が入ったとか(こわ)。
「それにね、あーちゃんは迷惑だったかもしれないけど、本当は私、少し嬉しかったんだよ。
あーちゃんとそんな関係になれたら、楽しい事がずっと続くんだろうなって」
先輩は、悪戯っぽい笑顔を見せて、僕を見つめた。
僕は、またもや顔が赤くなった。
「お弁当、欲しくなったら何時でも言って、私、待っているからね」
先輩は笑顔を見せながら、僕にそう言ってきた。
そして、先輩が弁当箱を持ちながら立ち上がって。
「さあ、遅くなるから急ごうか」
と言って僕を誘った。




