番外編7 大津 麗子
ある日の朝。
「ガタン、ガタン、ガタン」
僕はいつもの様に、電車に乗って学校に向かっている。
「キーーー。プシュウ」
途中の駅に止まり、扉が開くと、大勢の人が乗り込む。
僕はその中から、目的の人を探す。
「おはよう、あーちゃん」
「おはようございます、麗子先輩」
僕が見つけるよりも先に、その人は僕を見つけると、笑顔で挨拶しながら、僕に近づいて来た。
「先輩、こちらに来ませんか」
そう言って僕は先輩を、車両の角に移動させると。
先輩を角に立たせ、僕がその前に立ちながら、先輩を周りから隠す様にした。
僕がそうすると、その途端、先輩が僕に抱き付き、それから頬を僕の肩に乗せた。
そんな先輩を僕も抱き締めながら、先輩の感触の良い頭を、撫でてやる。
「あーちゃん・・・、起きたばかりでそんな事をされると、また眠くなっちゃうよぉ・・・」
「その時は、僕が起こしますから、安心してください」
先輩がウットリとした声でそう言うと、僕はそう言って先輩に返した。
あの日から、僕達の関係が変わってしまった。
僕達は、単なる先輩後輩で無く、恋人どうしになったのだ。
そう、あの日から。
***************
4月の、ある日の放課後。
「あーちゃん、チョット良い」
「はい、何ですか?」
今日は、静先輩とのどか先輩が、予備校に行っているので。
カウンターには、僕と麗子先輩が入っている。
二人でカウンタで、座っていると。
急に、麗子先輩が僕に尋ねて来たのだ。
「ねえ、準備室の方に来てくれない」
「はい、構いませんよ」
そう言う先輩に付いて、僕は一緒に準備室に入った。
・・・・・・
準備室に入ると、先輩が、僕の間近で振り返り。
「あーちゃん、お願いがあるんだけど。
私、あーちゃんの事が好きなの、だから、付き合って欲しいの」
「静から、あーちゃんの事を色々と聞いていたんだけど。
実際に、会ってみると話以上の男の子だったね」
「それから、あーちゃんの事が気になり出して。
それが、時間と共に、あーちゃんへの思いが強くなって来たの」
と、不安をかき消す為だろうか、一気にそう言った。
その先輩を見てみると、先輩は、不安そうな瞳をしながら、微かに振るえていた。
それに対して、僕は。
「先輩、僕も先輩の事を前から気になっていました」
「先輩は、綺麗だけど、それでいて親しみやすくて。
だけど、見ていないと危なっかしい所もあって、気が気でなかったんですよ。
だから、先輩、恋人になって、側で見させてください」
「あーちゃん、嬉しい・・・」
そう言うと、先輩が涙を流しながら嬉しそうに言った。
涙を流している先輩を、僕は慌てて抱き締めると、背中を擦りながら慰めていた。
そうやって僕は、先輩の涙が乾くまで、そうしていた。
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それをキッカケに、僕達二人は恋人として、付き合う事になった。
そして、僕らは、機会があると、お互いにくっ付く様になってしまった。
・・・・・・
二人でカウンターに座っていると。
いつのまにか、先輩が僕の側に寄り、僕の肩に頬を乗せた。
そんな先輩に僕は、手を伸ばして、先輩の事の頭を撫でてやる。
滑らかで手触りが良い、先輩の頭を撫でていると。
「あーちゃん、もっと、撫でてぇ・・・」
先輩が、甘える様な声で、おねだりする。
・・・・・・
それから準備室で、先輩が背もたれが無い、丸椅子に座っていると。
僕は、丸椅子を取り出して、先輩の後ろに座り。
そして、先輩を両脚の間に入れると、後ろから、先輩の腰を抱くと。
先輩の頭に頬を乗せたりした。
・・・・・・
僕が長椅子で、先輩の太股の頭を乗せて膝枕をして貰っている時には、先輩が微笑みながら、頬を撫でてくれてる。
「あーちゃん、気持ち良い?」
「はい、気持ち良いです」
僕は、気持ち良さそう声で、そう答えた。
・・・・・・
最近、天気の良い日は、二人は外で昼食を取っているが。
食事が終わると、僕は先輩に膝枕をして貰ってから、頭を撫でられながら昼寝をしたり。
逆に、僕の腕枕で先輩が、髪を梳られながら、眠りに付いたりする。
・・・・・・
そうやって二人でイチャイチャしてる内に、僕達二人はいつの間にか、静先輩達や読書部の後輩、クラスメートどころか、学校では、知らない者がいない有名人になった。
それと共に、”バカップル”と言う称号を、いつの間にか貰う様になっていた(苦笑)
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そんな、ある日の昼休み時間。
僕が食事が終わると、レジャーシートの上に大の字で、寝っ転がっていた。
そして、先輩が僕の右側で、僕の脇を枕にして寝ている。
そんな先輩の髪を、指で絡めたり、指の間で滑らせたりして、弄んでいた。
「先輩、気持ち良いですか」
「うん、あーちゃん、気持ち良いよぉ・・・」
気持ち良さそうに、先輩が微かな声で、そう言う先輩。
しばらく、そうしていると先輩が。
「あーちゃん、あーちゃんに撫でられて気持ち良いから、今度は私があーちゃんを気持ち良くさせたいなあ」
そう言いながら、起き上がると、先輩が顔を近付けてゆき、そして。
「チュッ♡」
キスをした。
「えへへっ」
先輩が照れ笑いをすると、僕の頭を抱き締めると同時に、先輩が体を横たえる。
そうすると、僕は、横に寝た先輩に頭を抱かれた状態になった。
その状態で、先輩が僕の頭を抱き締めながら、背中を撫でている。
「あーちゃん、気持ち良い?」
「はい、気持ち良いですぅ・・・」
先輩がそう言うと、今度は僕が、気持ち良さそうに微かな声で、そう言った。
先輩の胸の柔らかな感触と、甘い匂い、そして背中を撫でる手の優しさを感じている内に、いつの間にか眠りに落ちて行った。




