第13話 図書室の天然先生
「(どんがらがっしゃん!)」
図書準備室から大きな音がした。
「先生またやったかな?」
川尻みなと、本来は現国の教師だけど、読書部の顧問であり、また図書室の管理も担当している。
身長は僕の肩ほどで、体格は華奢であり、髪型は背中までのロングを前髪アップにしてヘアバンドで止めていて、特徴は眼鏡を掛けたタレ目だ。
この先生はドジっ娘として有名であり、いつも何か失敗するのは日常茶飯事である。
確か、準備室で在庫の整理をしているはずだけど・・・。
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「先生、何しているですか?」
準備室に入ると、崩れた本の山の中で涙目になっている先生がいた。
「ふえ〜ん〜、秋人くん〜。
この本の束を運ぼうとしたら、つまずいて、テーブルに置いてあった本の山に突っ込んで、テーブルごと倒したのよ〜」
「またですか、しょうがないですね、片付けるのを手伝いますよ」
「ちょっと待って、眼鏡、眼鏡と」
「せ、先生これ・・・・」
そこには、フレームが折れた眼鏡があった。
「ふえ〜ん〜、もおイヤ」
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とりあえず、散乱する本は、僕が片付けてしまった。
先生は、眼鏡が壊れたので、手を出せなくなった為、椅子で座って待っている。
次に、職員室に先生の予備の眼鏡が有るそうなので、職員室に行けば良いのだが、先生は眼鏡が無いと真っ直ぐに歩く事が出来ない、非常に危険の状況なので、僕がエスコートする事になった。
「秋人くん、ありがとう、頼りになるね」
先生は可愛らしい笑顔で感謝の言葉を言った。
「(本当に先生の笑顔はかわいいなぁ〜。
おっと、イケナイ、イケナイ)」
「先生、それじゃあ行きますか」
先生が立ち上がり、僕の方に行こうとした時、足元が良く見えないのか、イキナリつまづいた。
「きゃあーーー」
「先生!」
先生が僕の方に倒れ出したのを見て、僕は前に出て先生を受け止める。
「大丈夫ですか」
と、僕が尋ねたけど、先生は僕にしがみ付いたまま、何かをしている。
「くんくん、くんくん」
「先生、何をしているのですか?」
「ん、前にね西里さんがね、秋人くんが臭くないし、ツルツル、サラサラで気持ちいいって、聞いた事があるから匂いを嗅いでたの」
「何をやってるんですか!」
「後、木葉さんが頬ずりすると気持ちいいって言ってたから、しても良い?」
「早く行きましょう!」
その後も、「頬ずりさせてよ〜」とシツコク聞いて来た。
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その後、先生を引き剥がし、職員室へと向かった。
しかし、先生は手を繋ごうとすると。
「手を繋ぐのは、転びそうで怖いよ〜」
と、言い出し、腕を組むのもイヤとなり結局は。
「先生、歩き辛いですよ」
「だって、怖いんだもん」
僕の背中にしがみ付いている。
タダでさえ歩き辛い上に、先生は密着しようとするから、さらに歩き辛い。
すると先生は後ろから、急に抱きついて来た。
「(ハグ、ハグ)」
「何をしているですか?」
「ん、後ろからハグするのに良い体勢だから、ハグしてるの。
秋人くんって、抱き心地いいなあ」
と言いながら、”すり、すり”と、頬ずりまで始めだした。
「ちょっと!誰かに見られたら」
先生、また教頭先生から説教くらいますよ。
その後、先生は職員室に着くまで、僕の背中にハグしながら、頬ずりを繰り返した。




