第122話 人形二人
ある日の昼休み時間。
いつもの様に、昼食を取った後、図書室へと向かうと。
「こんにちは、あーちゃん」
その途中で、声を掛けられた。
そちらの方に向くと、翠先輩がいた。
先輩は、ピンク色を基調にした、フリフリしたロリータドレスを着ていて、髪はいつも通り、ストレートのままであった。
そして、可憐な雰囲気が定着したみたいだ。
「ねえ、あーちゃん、また、こっちに来てね」
そう言って、手招きして、部室である空き教室へと誘う。
先輩の求めに応じて、僕は部室へと入った。
部室に入ると、中は相変わらず雑然としている。
そして、僕は先輩に尋ねてみた。
「それで、先輩、今日は何の用ですか?」
「あのね、今日はこれを来てくれないかな」
そう言って取り出したのは、いつぞやか僕が着た赤いリボンで装飾され、白いロリータドレスだった。
「え、また、これですか」
「お願い、これ着てちょうだい〜」
「ちょ、ちょっと先輩ーーー!」
僕は先輩から、強引に着替えさせられた。
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「わあ、相変わらず可愛い、あーちゃん」
僕は白いロリータドレスに、頭にはまた黒髪ロングに赤いリボンのカツラを被っている。
「もお、何をするんですか、先輩」
「ねえ、あーちゃん、こっちに来て」
僕は、先輩に文句を言うが、それをスルーした先輩が僕を引っ張りだした。
それから、二人は教室に備え付けられた、上半身が写る位大きいな鏡の前に立つ。
「(うわぁ〜!)」
自分で言うのも何だけど、鏡には二人のロリータドレスに身を包んだ、美少女がいた。
僕がその光景を眺めていると、先輩が。
「どお、あーちゃん、二人とも可愛いでしょ♪」
「・・・はい、可愛いです」
僕はまるで絵画の様な、その光景に目を奪われていた。
二人で、鏡を眺めていると、先輩が急にブルッと震えだし。
「あのね、あーちゃん、寒いから、お願いギュっとしてぇ・・・」
それから、僕におねだりしてきた。
それで僕は、先輩の事を抱き締めた。
「先輩、こんなに冷たいじゃないですか、ダメですよ」
そう言って僕は、冷たくなった先輩に体温を送り込もうとして、先輩の事を更に強く抱き締める。
「あーちゃんの体は、暖かいなぁ・・・」
先輩が、そう言いながら、僕の肩に頬を乗せた。
ふと、鏡を見ると、ロリータドレスに身を包んだ美少女二人が抱き合っている姿が見えた。
一人が肩に頬を乗せ、もう一人の口元が相方の耳付近にある。
取り様によっては、愛の言葉を囁いている様にも見える
僕は抱き合いながら、鏡に写るある意味、倒錯的な姿を眺めていた。




