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第122話 人形二人

 ある日の昼休み時間。



 いつもの様に、昼食を取った後、図書室へと向かうと。



 「こんにちは、あーちゃん」



 その途中で、声を掛けられた。


 そちらの方に向くと、翠先輩がいた。


 先輩は、ピンク色を基調にした、フリフリしたロリータドレスを着ていて、髪はいつも通り、ストレートのままであった。


 そして、可憐な雰囲気が定着したみたいだ。



 「ねえ、あーちゃん、また、こっちに来てね」



 そう言って、手招きして、部室である空き教室へと誘う。


 先輩の求めに応じて、僕は部室へと入った。


 部室に入ると、中は相変わらず雑然としている。


 そして、僕は先輩に尋ねてみた。



 「それで、先輩、今日は何の用ですか?」


 「あのね、今日はこれを来てくれないかな」



 そう言って取り出したのは、いつぞやか僕が着た赤いリボンで装飾され、白いロリータドレスだった。



 「え、また、これですか」


 「お願い、これ着てちょうだい〜」


 「ちょ、ちょっと先輩ーーー!」



 僕は先輩から、強引に着替えさせられた。



 ****************



 「わあ、相変わらず可愛い、あーちゃん」



 僕は白いロリータドレスに、頭にはまた黒髪ロングに赤いリボンのカツラを被っている。



 「もお、何をするんですか、先輩」


 「ねえ、あーちゃん、こっちに来て」




 僕は、先輩に文句を言うが、それをスルーした先輩が僕を引っ張りだした。


 それから、二人は教室に備え付けられた、上半身が写る位大きいな鏡の前に立つ。



 「(うわぁ〜!)」



 自分で言うのも何だけど、鏡には二人のロリータドレスに身を包んだ、美少女がいた。


 僕がその光景を眺めていると、先輩が。



 「どお、あーちゃん、二人とも可愛いでしょ♪」


 「・・・はい、可愛いです」



 僕はまるで絵画の様な、その光景に目を奪われていた。


 二人で、鏡を眺めていると、先輩が急にブルッと震えだし。



 「あのね、あーちゃん、寒いから、お願いギュっとしてぇ・・・」



 それから、僕におねだりしてきた。


 それで僕は、先輩の事を抱き締めた。



 「先輩、こんなに冷たいじゃないですか、ダメですよ」



 そう言って僕は、冷たくなった先輩に体温を送り込もうとして、先輩の事を更に強く抱き締める。



 「あーちゃんの体は、暖かいなぁ・・・」



 先輩が、そう言いながら、僕の肩に頬を乗せた。


 ふと、鏡を見ると、ロリータドレスに身を包んだ美少女二人が抱き合っている姿が見えた。


 一人が肩に頬を乗せ、もう一人の口元が相方の耳付近にある。


 取り様によっては、愛の言葉を(ささや)いている様にも見える


 僕は抱き合いながら、鏡に写るある意味、倒錯的な姿を眺めていた。



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不思議な先輩女子と、平凡な後輩男子との不思議な話。
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