第118話 天然天使と猫
ある日の休憩時間。
今日は晴れて、ポカポカ陽気なので日向が暖かい。
そんな陽気の中を、渡り廊下を歩いていると。
「ニヤア〜」
日当たりが良い、建物の裏から猫の声が聞こえる。
猫の声が聞こえる方に行ってみると、そこには、猫と一人の女生徒がいた。
その女生徒はしゃがんで、ジャレてる猫を指先であやしている。
近づいてみると、その女生徒は静先輩だった。
「先輩、そんな所で何してるんですか?」
僕は、先輩に聞いてみる。
「ん、あー、あーちゃんかあ。
いや、猫の鳴き声がしたからこっちに来たら、この子がいたの」
先輩がそう言って、猫を指先でくすぐる。
そうすると、猫も横たわり、先輩の指にジャレ付いた。
僕は、先輩の側に近づいて、先輩の隣にしゃがんだ。
ふと、その猫の首を見ると、首輪がしていあるのが見える。
「あれ先輩、その猫、首輪をしているから、飼い猫みたいですね」
「うん、そうみたいね」
そう言いながら、先輩は猫の首輪をイジる。
「先輩、猫、好きですか?」
先輩の可愛がり方を見て、そう言うと。
「そうだよ、あーちゃんは?」
「はい、結構好きで、昔、家で猫を飼っていた事がありました。
名前は、タマと言って、ありきたりな名前でしたが」
「最後はどうなったの?」
「13歳で死にました、寿命だったですね」
「あーちゃん、みたいな飼い主に飼われて、幸せだったんだね、タマは」
「自分がどうかは、ともかく、幸せだったのは間違いないですね」
二人でそんな事を話していると、猫が飽きたのか。
突然、起き上がると、スタスタと柵の外へと歩き出した。
「あれ、飽きたのかな?」
「猫は気まぐれだからねえ」
僕はそう言うと、先輩がそう返した。
「でも、もう少し、撫でていたかったなぁ」
先輩がそう言いながら、手持ちぶたさそうに指を動かしている。
しかし、イキナリ、僕の頭を抱くと、自分の胸元に引き寄せた。
「しょうが無いから、あーちゃんで我慢するか」
そう言いながら、指先で僕の顎を撫で出した。
僕の顎を、コチョコチョと動く先輩の指先の感触に、何とも言えない感触が僕の背筋に走った。
「せ、先輩、くすぐったいから止めてください!」
僕は、そう言って脱出しようとするが、先輩が、僕の頭をガッチリ抱き締めた離さない。
「あーちゃん、大人しく撫でられなさい」
そう言って、今度はムツ◯ロウさんの様に、ガシガシと僕の頭を撫で出した。
「よぉし、よぉし、よぉしぃ、ほおら、よぉし」
今度は、口調までムツ◯ロウさんの様に言って、ガシガシと撫でながら頬ずりをした。
結局、僕は、ムツ◯ロウさんに抱き付かれた猛獣状態のまま、休憩時間を過ごした。




