表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
118/136

第118話 天然天使と猫

 ある日の休憩時間。



 今日は晴れて、ポカポカ陽気なので日向(ひなた)が暖かい。


 そんな陽気の中を、渡り廊下を歩いていると。


 

 「ニヤア〜」



 日当たりが良い、建物の裏から猫の声が聞こえる。


 猫の声が聞こえる方に行ってみると、そこには、猫と一人の女生徒がいた。


 その女生徒はしゃがんで、ジャレてる猫を指先であやしている。


 近づいてみると、その女生徒は静先輩だった。



 「先輩、そんな所で何してるんですか?」



 僕は、先輩に聞いてみる。



 「ん、あー、あーちゃんかあ。

いや、猫の鳴き声がしたからこっちに来たら、この子がいたの」



 先輩がそう言って、猫を指先でくすぐる。


 そうすると、猫も横たわり、先輩の指にジャレ付いた。


 僕は、先輩の側に近づいて、先輩の隣にしゃがんだ。


 ふと、その猫の首を見ると、首輪がしていあるのが見える。



 「あれ先輩、その猫、首輪をしているから、飼い猫みたいですね」


 「うん、そうみたいね」



 そう言いながら、先輩は猫の首輪をイジる。



 「先輩、猫、好きですか?」



 先輩の可愛がり方を見て、そう言うと。



 「そうだよ、あーちゃんは?」


 「はい、結構好きで、昔、家で猫を飼っていた事がありました。

名前は、タマと言って、ありきたりな名前でしたが」


 「最後はどうなったの?」


 「13歳で死にました、寿命だったですね」


 「あーちゃん、みたいな飼い主に飼われて、幸せだったんだね、タマは」


 「自分がどうかは、ともかく、幸せだったのは間違いないですね」



 二人でそんな事を話していると、猫が飽きたのか。

突然、起き上がると、スタスタと柵の外へと歩き出した。



 「あれ、飽きたのかな?」


 「猫は気まぐれだからねえ」



 僕はそう言うと、先輩がそう返した。



 「でも、もう少し、撫でていたかったなぁ」



 先輩がそう言いながら、手持ちぶたさそうに指を動かしている。


 しかし、イキナリ、僕の頭を抱くと、自分の胸元に引き寄せた。



 「しょうが無いから、あーちゃんで我慢するか」



 そう言いながら、指先で僕の顎を撫で出した。


 僕の顎を、コチョコチョと動く先輩の指先の感触に、何とも言えない感触が僕の背筋に走った。



 「せ、先輩、くすぐったいから止めてください!」



 僕は、そう言って脱出しようとするが、先輩が、僕の頭をガッチリ抱き締めた離さない。



 「あーちゃん、大人しく撫でられなさい」



 そう言って、今度はムツ◯ロウさんの様に、ガシガシと僕の頭を撫で出した。



 「よぉし、よぉし、よぉしぃ、ほおら、よぉし」



 今度は、口調までムツ◯ロウさんの様に言って、ガシガシと撫でながら頬ずりをした。


 結局、僕は、ムツ◯ロウさんに抱き付かれた猛獣状態のまま、休憩時間を過ごした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不思議な先輩女子と、平凡な後輩男子との不思議な話。
夏の涼風
姉弟物の短編を取り揃えていますので、どうか、お越し下さい。
星空プロフィール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ