第110話 あーちゃん久しぶり
ある日の昼休み時間。
今、僕はカウンターに座っている所だ。
静先輩が一緒に座っていたが、急な用事で職員室に行っている。
それで、今は僕一人で座っていると言う訳である。
今日は天気が良く、陽の光は入り込むので、余り寒くは無い。
その状態で、いつものつもりで来たら、体が暖かくなって、ボーとして来た。
そうして、半ばボンヤリしながら本を読んでいると。
「むぎゅう!」
イキナリ、後ろから誰かに首に飛び付かれた。
「あーちゃん、久しぶり!」
後ろを見ると、そこには、恵先輩がいたのだった。
「どうしたの、ボンヤリしていたよ」
「はい、いつものつもりで来たら、図書室が寒くなくて。
そうしたら、体が暖かくなってきて、頭がボーとして来たんですよ」
先輩に飛び付かれたせいで、目が覚めた僕は、先輩にそう言った。
「あーちゃんが変わりなくて、安心したよ」
「どう言う意味ですか?」
「べ〜つに〜、他のみんなはどう?」
「はい、みんなも変わりないですよ」
「ふふふ、そうなんだ」
僕がそう言うと、先輩が笑顔を見せる。
「先輩はどうして、学校に来たんですか?」
「うん、今日、学校に手続をする為にね」
「そうなんですか」
先輩は、僕の首に抱き付いたままでそう言った。
「先輩、最近どうしているんですか?
X大に推薦で決まった訳だから、別に勉強する必要は無いんですよね」
「う〜ん、最近は、色々かな。
つい二、三日前には、遠くの街の大型書店に、欲しい本を探しに行ったりしたし」
そう言うと、先輩が、右頬を僕の頭にくっ付けた。
それから、僕の頭に頬ずりしながら、匂いを嗅いでいる。
「ん〜、相変わらず、あーちゃんの髪の毛はサラサラして気持ち良いな。
匂いも、いつ嗅いでも、全然臭くないし」
しばらく間、僕の匂いを嗅いだ後、先輩が顔を移動させると。
自分の右頬を、僕の左頬にくっ付けて来た。
「ほっぺたも相変わらず、ツルツルぷにぷにしていて。
男の子の肌にして置くのが、勿体ないよ〜」
そう言って、お互いの頬をくっ付けたままで、左右に動いた。
「・・・先輩、何をしているんですか」
「ん、あーちゃん分を補給してるの♪」
上機嫌で、そう言う先輩。
「だって、あーちゃんに合えなくて、寂しかったんだもん♪」
そう言いながら、先輩が体を左右に揺すり出した。
「だから、あーちゃん、お姉ちゃんを慰めてね」
しばらく体を揺すった後、体が止まると同時に、先輩が僕の耳元でそう囁く。
それから先輩は、僕の首に抱き付いて、右の頬を僕の左頬にくっ付けたまま、残りの時間を過ごした。
しかし先輩が、休み時間が終わりかけているのに、離れようとしないのには、参った。




