第107話 久しぶりのお姉ちゃん
今回、面白くないかもしれません。
ある日の昼休み時間。
昼食が終わって、図書室に向かう途中で、誰かがこちらに近づいて来る。
誰かと思ったら、有佐先輩だ。
先輩が僕を見つけると、歩く速度を早めた。
そして、僕の前に着くと。
「久しぶりたい、あーちゃん」
そう言いながら、ニッコリと笑う。
「久しぶりですね、先輩」
僕も笑顔でそれに応える。
僕が笑顔を見せると、先輩が急に飛びついて来て。
「久しぶりん、あーちゃんばモフらるる!」
(久しぶりに、あーちゃんをモフられる!)
そう言って、先輩が僕の頭を抱き締めると、自分の胸に引き寄せて、押し付けた。
「先輩、く、苦しい!」
僕は、急に思いっきり曲げられた上に、更に胸に押し付けられて、苦しい思いをする事になった。
苦しくなって、僕は先輩の体にタップ(プロレスなどでギブアップの時に相手やマットを叩く事)をした。
「どげんしたと? そぎゃん嬉しかとね♪」
・・・全然通じていない。
そうすると、抱き締める力が強まった。
「(せ、先輩、痛い!痛い!)」
僕は更に、痛みに苛まれる事になった。
****************
「あー、死ぬかと思った」
「ごめんね、ごめんね、あーちゃん」
死ぬ思いから脱出して、一息付いた僕と。
水のみ鳥の如く、ひたすら頭を下げる先輩。
「もういいですよ、先輩。
で、今日は何をしに来たんですか?」
「ん、今日は、学校の方に手続きがあるけん、ここに来たと」
と、先輩が言った。
「それで、最近は先輩、何をしているんですか?
就職先も決まっているから、べつに就職活動をする事は無いのだし」
「最近ね、私、事務関係の資格ば取ろうかて思ーて、勉強しとる所たい。
あ、もちろん、家事の合間ば縫ってやけどね」
(最近ね、私、事務関係の資格を取ろうと思って、勉強している所なの。
あ、もちろん、家事の合間を縫ってだけどね)
そう言いながら、照れ笑いを浮かべる先輩。
そうか、先輩も次に向かって、動き出したんだなあ。
先輩の様子を見て、僕は安心した。
「ね、あーちゃん、他のみんなはどぎゃんしとると?」
「はい、みんなも変わりないですね」
「ふふふ、それば聞いて、安心したばい」
僕の言葉を聞いて、先輩が安心した様子を見せる。
「じゃあ、久しぶりに、図書館に行こうかね、あーちゃん」
「はい、一緒に行きましょう」
そう言うと、どっちからとも無く、お互いに手を握り出した。
僕らは、お互いに手を握りながら、図書館へと向かう。




