第10話 天然天使のお出迎え1
図書室に着いてから、3人の女子に襲われそうになった事を、先輩方に話したら。
「「「何ですってーーー!」」」
と、絶叫し、特に恵先輩は。
「よくも私達のあーちゃんに!そいつら見つけ出して、とっちめてやる!!!!!!!!」
・・・非常に激怒した。
襲われた側だけど、あの先輩達の冥福を祈らずにはいられない、南無、南無、南無。
それから、昼休みは寄り道をせずに、真っ直ぐ、急いで図書室に来る事を言われ。
そして、しばらくの間、3人内の誰かが放課後に、僕を向かえにくると言うことになってしまった。
昼休みは時間が無くて仕方ないらしいが、とにかく、しばらくの間、警戒することになった。
これでも僕は男なんだけど・・・。
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帰りのホームルームが終わり、帰りの支度をしていると。
何だか、教室の出入り口の方が騒がしいなあ。
「おい、秋人、オマエに用だってさ」
同じクラスの男子に呼ばれ、指差された方を見ると、恵先輩が出入り口に立っていた。
カバンを持って、急いで恵先輩の方へ行った。
「すいません、お待たせしました」
「ううん、いいのよ、さあ行きましょうか」
背後でザワめく教室を後に、図書室へと二人で向かった。
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僕の左側に先輩がいる形で、並んで歩いていると。
「ね、あーちゃん、ごめんなさいね、私のせいで変な噂が広まっちゃって」
突然、先輩があやまりだした。
どうやら、あの時の事が広まっている様だ。
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それから、しばらく歩いていると、先輩は。
「あーちゃん、私、迷惑だったかな?」
「どうしてですか」
「私のせいで変な噂が立つし、あーちゃん襲われそうになったし」
「それにあーちゃん、私が抱きつくと迷惑そうな顔してたし」
と言い出した。
普段の先輩とは違い、少し落ち込んでいるみたいだ。
僕は、落ち込んでいる先輩を慰めようと、色々いってみる。
「迷惑と言うか、ただビックリしているだけですよ」
「女の子に急に抱きつかれると、誰だってビックリじゃないですか」
「それに先輩の事、別に迷惑じゃないし、先輩の事、嫌いじゃないですよ・・・」
少し恥ずかしくなって、語尾があやふやになったけど。
「うふふ、ありがとう、あーちゃんやさしいね」
と先輩は言って、僕の左腕に右腕を組んで来て微笑んでくれた。
これで少しは元気が出てくれたかな。
しかし、左肘に当たるこの感触は・・・。
いや、考えない、考えない。
そのまま状態でしばらく歩いた。
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「あの噂の事は気にしないから安心してください。
でも、先輩、これからは行動に気をつけてくださいね」
と、僕が言うと先輩は。
「はーい、これから気を付けまーす」
と微笑みながら答え、頬を僕の肩に付けた。
元気を取り戻した先輩と僕は、腕を組んだまま、図書室へと向かった。




