幕間7 黒紅の瞳と黑紅の槍
「“記憶”を求めるって……どういうこと〜?」
私は、目の前にある黒と赤を基調としたかっこいい槍さん……槍ちゃん?にそう尋ねてみた。
すると槍ちゃんはそれに、ビクビクとしながら答えた。
―――『そ、それは……私、にも……分からない……んです。でも、でも……!』
「でも?」
―――『私の声が聞こえたのは、貴女が初めてでした……! 多分……これにはきっと、何かの意味があると思うから……だから!』
「私が“ハジメテ”、か。えへへ……なんかちょっと嬉しいね」
―――『じゃ、じゃあ……私を……!』
「だけどダメだよ」
―――『へ……?』
私は、キッと睨みつけるように言った。
多分、今の言葉にはかなりドス黒いモノが混じっていたと思う。それが自分でも理解できるくらいには、ハッキリとそう告げたのだから。
―――『ダメ……って、な、なん……で……?』
「なんでって……ふふ。面白いことを言うんだね」
―――『べ、別に面白いことなんて……』
「黙ってよ。確かに、“ハジメテ”っていうのは大事だよ。私も、“ハジメテ”って言葉は大好きだもん。でも―――」
私の、“ハジメテ”は。
「私の“ハジメテ”はさ……全部“あの人”じゃなきゃ駄目なんだよ……分かるかな? この気持ち」
―――『わか……らない』
「そうだよね。だから、あなたとは契約できないの。だって私と契約して、私の“ご主人様”になる人は、絶対に“あの人”だ〜って決めてるんだから」
―――『……じゃ、じゃあ……! それなら、他の提案をします!』
「お〜、他の提案〜?」
―――『は、はい……。私と“契約”するっていうのは無しにします……。でも、その代わり……私をここから引き抜いて、貴女と共に連れて行かせてください……っ!』
「ん〜ん、さっきの話から“契約”するって部分だけを無くすってことだね?」
それなら私も文句はないかも。
だってただ普通にかっこいい武器が手に入るだけなんだもん。
―――『は、はい……そう、です。それなら、貴女の初めてを奪うことにはならないです……し……』
「ん〜、そうだね。それなら私も文句はないよ〜」
―――『で、では……! 私を……ここから……!?』
「ん。いいよ。連れてってあげる。じゃあちょっと待っててね〜。ここから引っこ抜くから……っ!」
言いながら、私は台座に刺された槍に手をかける。
両手でしっかりと持ち手を掴むと、そのまま勢いよくそれを引っ張った。
「ぐ……ぬぬ……! 結構かた……い……っ!!」
でも、これなら頑張れば引っこ抜ける……!
(おっ……ちょっとずつ外れてきてるかな……っ!)
徐々に槍を引き抜く力が強くなっていき、少しずつ、少しずつだが確実に台座から抜けそうになっていった。
そして、あと少しで……というタイミングで一気に力を込めて槍を引くと―――
「おわあああああっと!!!」
―――『や、やりました!! 抜けましたね!!』
「う〜! やったね! ちゃんと抜けたね〜!」
すっぽ〜んと、槍は綺麗に引っこ抜けた。
と、私はついその事に嬉しくなっちゃって、「わ〜いわ〜い」と喜んでいたんだけど―――
「ガウッガウッ!」
「ガルルルル……!!」
「ん〜? どうかした? ウルくんメルくん!」
そこでいきなり、狼のウルくんとメルくんが、私が来たほうを向きながら唸り声を上げ始めたのだ。
「―――誰かいるのかな?」
私は、2匹が睨みつけている方にそんな言葉を投げてみた。
すると。
「―――いや、失礼。私だ、クロカゲだ」
「ありゃ、クロカゲ……?」
「ところで影咲。さっきからひとり言がすごいが……誰かと喋っていたのか?」
……どうやら、本当にこの槍の声は私にしか聞こえないみたいだ。だとすれば―――
「ん〜……そうだな〜」
「……ふむ? どうかしたのか? 遊び終わったのなら、早く戻る―――ぐぉぉあっ!!」
言葉を途切らせて、クロカゲは勢いよく後方へと吹き飛ばされていく。
当然、それをやったのは私だ。私が、クロカゲに攻撃をしたのだ。
「ねぇ、槍ちゃん?」
―――『は、はい……?』
「貴女の力……今ここで試させてもらうね?」
「一体……一体どういう訳か。答えてもらおうじゃないか……ッ! ―――影咲奏ェッ!!!」
ふふ……やっと、やっと面白くなってきた。
さ〜て。この戦い、一体どこまでヤッちゃっていいのかな〜……?
次回更新予定日→12/13(日)
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