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41.シャドウ・キングダムってなんですか?(マジレス)

―――やっぱりオメーは駄目だ。



「奴隷だと! ふざけた事を言うな……この裏切り者がッ!」


「おやおや……昨日まで別に何ともない顔で一緒に訓練してた仲じゃないですかぁ? 暁月クンってば、もしかしてそこの先輩たちに誑かされてるんじゃないですかぁ?」



 シャドウ・キングダムと名乗る、黒服にフードをかぶった明らかに怪しい連中が暁月くんへと詰め寄る。



「先輩たちまで愚弄する気か……ッ! 由良ゆらッ!」


「―――おい……俺を、その名で呼ぶな……何度も言ってきただろう? 俺をその名で呼ぶんじゃねぇってなァッ!!」


「うぁぁぁっ!!」



 暁月くんが敵連中のリーダーの事を名前で呼んだ、次の瞬間だった。暁月くんはその“由良”と呼ばれた男に無詠唱で発動された炎の魔法によって吹き飛ばされてしまったのだ。



「響也っ!」


「璃奈ちゃん、暁月くんは任せたよ!」


「分かりました!」



 いち早く暁月くんのピンチに動いたのは、彼の隣にいた璃奈ちゃんだ。私は璃奈ちゃんに彼のことを任せて、敵である“由良”という男に対峙した。



「フン……俺の事をイカれた名前で呼ぶからそういう目にあうんだよ。……それで? 能力値が最初っから100を超えてた奇跡の先輩たちには関係のない話だと思いますけど? なにかぁ?」


「目の前で人を傷つけられて……それを関係ないって言って見捨てるほど私はクズじゃないと思ってるよ。それに、一応とはいえ、貴方たちと一緒にこの世界に召喚された身だしね」


「ハンッ! 所詮はアンタらも偽善者って訳だ! 別によく知りもしねぇ人間たちの事を助けて、それをきっかけに礼だの信頼関係だのとほざくんだろっ!?」


「それの何が悪いのかな? 悪は滅ぼして然るべき存在でしょ? まあその結果お礼とかはいただくかもしれないけどさ」


「チッ……所詮それが力を持ってる人間の言うことかよ……気に喰わねぇ」



 由良(?)は舌打ちをした。

 そしてバツが悪そうに頭を掻きむしると、後ろにいた仲間たちに手を上げて指示を出した。


 それを受けたシャドウ・キングダムたちは一斉に武器を構える。



「やる気なの?」


「あぁ。さっきも言ったけどさぁ、君たちにはここで死んでもらわなきゃいけないんだよねぇ!」


「国王の命令だから?」


「ああそうですよぉ! 親愛なる国王様の命令だから、君たちにはここで俺たちに処刑されてもらいまぁす!」


「ふーん……そ。まさか私たちが居ない間に、こんな風に内部で分裂するなんて思ってなかったなぁ。最初この世界に来たときは皆仲良さそうな雰囲気だったのに」


「最初は良かっただろうけどさぁ……だんだんこの世界の事が分かってくると、意見だって分かれんのよ……それくらいアンタらも分かるんだろう? それが分かってるんだったらとっとと消えてくれやッ!!」



 言葉と共に、先程と同様の火炎魔法を私に向けて放つ由良という少年。



「蒼華さんっ!」



 迫りくる業火。私はそれに怯えず、ただ凛と拳を構えた。



「はぁ……もう。仕方ないわね―――“氷の波動”よっ!」



 刹那、私の後ろから冷気が勢いよく発せられて、それが炎を綺麗に凍らせてしまった。



「せいっ」



 それを跡形もなく粉砕する私。

 良かった、ちゃんと麗は動いてくれたみたいだ。



「チッ……厄介だな……!」


「もう蒼華ったら。私が魔法を使わなかったらどうするつもりだったの?」


「まあ、そのまま燃やされてたかな」


「貴女ってやっぱり馬鹿ね」


「でしょ」



 そう悪態をつきながらも私の隣に並び立つ麗。

 その隣にはさらに悠と冥も来る。



「全く、こんなところで死なれちゃ紅蓮に合わせる顔がないですよ、蒼華さん」


「センパイに―――ううん……。死んじゃ、駄目ですよおねーさん」


「分かってるよ。大丈夫、無茶はしないから」


「本当かしらね。ちょっと疑っちゃうわよ……その言葉」



 私たち四人は、それぞれ武器を構えた。

 それに対してシャドウ・キングダムは全部で……



「ひーふー……八人……かな?」


「ええ。全部で八人……だけど、この世界に来たとき、私たちを除いた召喚者は全部で二十人くらい居たと思うんだけど……」


「ごちゃごちゃと煩い先輩たちだなぁ……! もうそろそろいいんじゃねぇのかぁ!? なぁ! 殺してもいいかなぁ!?」


「かかってこい、です!」


「冥も無茶するんじゃないぞ?」



 相手は全部で八人。

 こっちは四人……それに後ろには新しい仲間たちもいる。


 多分この戦いは―――



(余裕で、勝てる)







「ぐおぁっ……!!」


「ふふん! どうしたの? この程度なのかしら?!」



「チッ……燃え盛れ―――」


「遅いわよ。“凍てつき”なさい!」



「こっちには剣が―――」


「そんなのあったって関係ないですよ〜。振れない剣は、ただのゴミです!」



「イケメンは全員滅びやがれェッ!」


「なんか僕だけ攻撃理由おかしくないですか!?」



 あれから私たちはシャドウ・キングダムたちと交戦を開始した。新しく仲間になった反王国派の子たちも、後ろから強化魔法や小さな攻撃魔法での後方支援をしてくれたり、ヤンキーの剛くんや、一番の実力者であると噂のスーラさんなどが前線に立って一緒に戦ってくれたりと、この戦いは私たちの圧勝で幕を閉じようとしていた。



「く、クソッ! なんて強さだよ……おかしいだろ……同じ召喚者じゃなかったのかよ……!!」


「潜り抜けてきた修羅場の数の違いかしらね……ッ!」



 私は言いながら由良にスマッシュアッパーを御見舞した。

 「あぐっ」と小さな声を上げながら、綺麗に打ち上がる由良。


 さらにそこへ、追い打ちをかけるように麗が叫んだ。



「それと、覚悟の差とかあるんじゃないかしらね!」



 無詠唱で、氷の波動が打ち上がっている由良へと直撃する。

 正直、私が言うのも何だけどかわいそうだ。



「そ……ん……な―――」



 そして由良を含め、シャドウ・キングダムは全滅した。

 殺してはいない。が、十分に気絶させられただろう。コイツらを使えば国王への脅しには十分に足りそうだ。



「皆さん……ありがとうございました。まさか皆さんがここまで強いとは……。そして我々が、ここまで力不足だったとは……」


「ううん、気にしないで。それよりも、この人たちを縛り上げておいてほしいんだけど……」


「あ、はい。分かりました。―――皆、一緒に片付けましょう」



 暁月くんは私の指示を受けて、素早く行動を開始していた。

 彼の指示で他の皆も行動を一斉に開始しようとしていた、その時だった。




「ぐぁ……っ……!」



 バタリ、と突然仲間の一人が倒れたのだ。

 それはいきなり過ぎて、私たちの心に動揺を与えた。



「蔵馬くんっ!?」



 暁月くんはその声を聞いて、倒れた少年―――蔵馬くんというあのヒョロガリの心配になる子のもとへと駆けつけた。

 私たちはそれを横目で見ながら、恐らく攻撃が飛んできた方向である方へと意識を向けていた。



「クク……クククッ! 俺たちがタダで負けると思ったら大間違いだぞぉ……!?」


「まだ、起きてたんだ」


「クク……! きっと、あの人たちが助けに来てくれたんだ……ああ、きっとそうだ!」


「あの人たち……?」



 私の後ろにいた由良は、受けたダメージを気にせずにゆらゆらと立ち上がった。

 そして、私たちが意識を向けていた方に向かって、大声でそう声を放っていた。



「さっきから一体何を……」


「あぐっ……ぁ!」



 するとまた一人、何処からか仲間が攻撃されてしまったのだ。

 今度やられたのは、一番気弱そうな藤島くん。



「い、一体何が起きているんだ!?」



 流石に暁月くんも動揺し始めている。

 一体、何処から攻撃されているんだろう……?



「皆さん、ただ眠らされているだけのようですね……」



 麗がやられた二人の事を診ながらそう呟いた。

 確かに、殺すまではやっていないようだが……それも一体何のために……?



「ハハ……おお……我が主様よ―――」



 相変わらず由良は何処かうわの空になりながら一人でブツブツと何かを呟いていた。



「さっきからなんなの……気持ち悪い……けど」



 なんて思った、次の瞬間だった。



「まって、おねーさん。なにか来ます」


「……うん」



 私たちが意識を向けていた方から、何かがやってくる気配がしていた。数は、少ない……恐らく、一人か二人。

 そんな数の人間が、この場所にやってくるということは……



(稽古をつけに来た兵士……かな?)



 だとすれば問題はないと……思う。

 数の暴力で圧倒してしまえば問題ないと思うし。


 そう、思っていたのだが。



「―――ハッハッハッ」



 そこに現れたのは。



「まさか君たちが、我が国に牙を向くとは。裏切り者だとは聞いていたが……まさか本当だったとは」


「お前……は……」



 唸る。腹が、煮えたぎる。

 反射的に、本能的に、そいつの事を殺したくてしょうがない。


 まるで狼にでもなったようだ。

 爪が伸びるような、そんな気持ちになる。



「ククク……実験に来ればこの有様……やはり無能はどこまでいっても無能ということか。ならば、我の為、我が国の為にその命……朽ち果てるまで戦うがいい」


「ああ、主様……私に、力を―――」



 そう、その男が言った直後。

 「ぅ……ぐぁ……」と、倒れていたはずのシャドウ・キングダムたちが小さなうめき声を上げたのだ。



「フ……フハハ! 力で支配するのが私のやり方だからなァ……! 裏切り者たちを跡形もなく抹殺し、我が国に安寧をもたらそうではないかッ!!」



 うめき声は、徐々に大きくなっていく。



「ぐ……ぁ……ぁぁぁ……!」



 暁月くんたちは、全員静かに私たちの方へとにじり寄ってきた。

 私たちは、ひとかたまりになってその様子をただただ眺めていた。


 そして、しばらくして。

 うめき声がピタリと止むと―――



「ウガァァァァァァァァァァァ!!!!」



 一際大きな叫び声を上げて、彼らは―――



「さぁ……我の為に働け!」



 ―――人では、無くなった。





「国王……クソ国王がァッ!!!」

命……から、がら……!

ちょっとずつ怖くなっていく皆さん……

良いところで終わりましたけど、次回は紅蓮たちの方へといきますよ!!!


というわけで次回の更新は10日の火曜日くらいにはしたいと思う所存!!

面白いと思っても面白くないと思ってもブックマークや高評価をお願いする所存!


では!

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