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40.反旗を翻す者達

―――集いし思い。



「―――私が知ってる範囲では、これが全員です」


「ありがとう。ええっと……」


「あ、私は鳴瀬です。鳴瀬美咲なるせみさきと言います」


「ん、ありがとね。美咲ちゃん」


「い、いえ。それで……?」


「あー、そうだね。ちゃんと説明しないとね!」



 私はそう言って、目の前にいる少女『美咲』が集めてくれた人たちを眺めた。

 やはり、皆朝早くから叩き起こされた事や、王国から消えていた私たちの事、そんな私たちに突然呼び出されたという事……とにかく様々な点を不審がっているのだろう。私や、隣にいる麗たちの事を訝しげな目で見ていた。


 ―――あの時。この寮舎に忍び込んだ時に『美咲』に見つかってしまった私達は、勢いに任せて作戦を開始した。

 そう、反王国派の仲間を引き抜く作戦を、だ。

 幸いにもこの美咲という少女は、反王国派のメンバーの一人だったらしく、話を説明すると快く協力してくれた。


 そして現在。

 場所をこの寮舎の裏手側の、建物を取り囲んでいる外壁の向こう側へと移し、美咲が集めてきてくれた人達にも事情と作戦を伝えようとしていたところだった。



「えっと、まずは急な呼びかけに応えてくれてありがとう。あなた達とはあんまり面識はないかもだけど、一応自己紹介しておくと―――」


「―――知ってますよ。紅蓮君のお姉さんの、『緋神蒼華』さん」


「ありゃ、まああんだけ最初に目立っちゃったから、そりゃあ知ってるよね。ところで……貴方は?」



 私は挨拶ついでに自己紹介をしようと思ったのだが、どうやらその必要は無かったらしい。

 しかもなんか、礼儀正しい子が私の名前を答えてくれた。この感じ、もしかすると彼は―――



「あ、すいません。申し遅れました。私は暁月響也あかつききょうやと申します。多分お察しかもしれませんが、一応このグループのリーダー……みたいな事をやっています」


「あらら、もうそこまで気づいてたの? 暁月君」



 やはり、そうみたいだ。

 私たちがこの子たちを呼んだ理由、彼ならもうとっくに察しがついているかもしれない。



「ええ。どういう理由であれ、このメンツを集めるということは、王国に何かを仕掛けるつもりなのでしょう?」


「ええ、正解よ。まさにその通りだわ」



 隣にいた麗が、悪魔のような笑みを浮かべながら頷いていた。

 すると、私の後ろでは、



「え……なんか私置いてかれてる……? 何が何だか分からないんだけど……?」


「おい……冥。お前ちゃんと話聞いてたのか?」


「う、うん。聞いてた、つもりだけど……」


「つもりってお前……。いいか? 僕たちは今、“人手”と“資金”を手に入れるためにこんな早朝から行動しているんだ」


「うん、それは分かってるよ?」


「そして、まずは“人手”を確保する為に、紅蓮と奏さんのクラスメイトたちがいるこの寮舎に来たんだ。王国側に対して不満を抱く者も居たはずだから、その人たちに協力を仰ごう、ということでね」


「うんうん、それで?」


「それで、この寮舎に乗り込んだら、幸運にもその反王国派の人と出会うことが出来たから、彼女に頼んで同じ思いを持っている人たちをこうして呼んでもらったんだ。……分かったか?」


「なるほどね! 分かりやすい説明どうもありがとう、おにいちゃん!」


「……」



 なんて、今の状況を分かりやすく悠が纏めて冥に説明していた。

 うん。かんたんに纏めるとそんな感じだね。

 ナイス解説、悠。



「なるほど……それであなた達は……」


「あ、もしかしてもう今ので分かっちゃった?」


「あ、はい。流石に今の式神さんの説明で分からないほど、私も馬鹿ではないですよ」



 まあ確かにそれくらい悠の説明は分かりやすいものではあった。

 多分私がごちゃごちゃと説明するよりもずっとマシだろう。


 それにしても、ここまで話がスムーズに進むとは思わなかった。なんかもっと言い争いになったりするかと思ってちょっとだけ期待してたのに。



「とりあえず、こちらからも改めて自己紹介させてください。もうお分かりかと思いますが、改めて、私は『暁月響也』と申します。王国に不満を抱く者たちの、一応のリーダーをやっている者です」


「い、一応とか言わないでよ! アンタがこのチームのリーダーなんだからね!? ハッキリとそう言いなさいよ!」


「わ、分かってるよ璃奈。―――あぁ、すいません。彼女は『水瀬璃奈みなせりな』といって、一応このチームの副リーダーをやっている者です」


「ど、どうもよろしく」



 リーダーの暁月響也は、髪色が若干明るい礼儀正しい少年で、腰には一振りのロングソードを差していた。恐らく戦士などの前衛職なのだろう。

 そんな彼が紹介した、副リーダーの水瀬璃奈は、響也と同じく黒よりも若干明るい髪色をしていて、魔法使いのような格好をしている背丈の大きい少女だった。



「うん、よろしくね!」



 私はそんな二人に改めてよろしくした。



「それで、残りのメンバーは―――」





「うん、みんな改めてよろしくね!!」



 暁月くんはそれから、残り8人の仲間たちを紹介してくれた。

 私たちに最初に協力してくれた『鳴瀬美咲』ちゃん。


 実は私たちに憧れていた『藤島黄龍ふじしまこうりゅう』くん。

 紅蓮と仲の良かった気の優しい少年、『麻薙翔あさなぎかける』くん。

 見た目はめっちゃヤンキーだけど、なんか優しいっぽい雰囲気のある『島田剛しまだごう』くん。

 そんな剛くんの彼女の、同じく優しそうなヤンキーの『茜坂鈴あかねざかりん』ちゃん。

 なんかよく分からないけど、多分中二病の『周防界斗すおうかいと』くん。

 あとこの子は多分ガチのヒョロガリでなんか心配になる子で、『蔵馬竜一くらまりゅういち』くん。

 最後はこのメンバーの中でも一番の実力者だという留学生の『スーラ』さん。


 以上10名が、召喚者の中から現れた、反王国派閥の全メンバーだ。



「それで、もう一回確認するんだけど本当に私たちに協力してくれるの? 王国を裏切る事になるから、多分これから酷い扱いを受けることになると思うけど……」


「ああ、その事なら安心してください。実は我々も、タイミングを見計らってこの王国を逃げ出そうという計画を立てていたので、資金や装備品などの準備は既にほとんど済ませてあるんですよ」


「へぇ〜……! そうなんだ……随分と用意周到なんだね」


「ええ、準備だけは念入りに済ませておきました。逃走経路や、逃げる先なども既に調査済みです」



 そう言う暁月くん。

 多分メガネをかけていたら、今頃クイッとメガネを上げていた頃だろう。


 私にはそんな幻覚が見えていた。

 と、ここで麗が私たちにこんな事を言ってきた。



「ねぇ、蒼華。これならもう行けるんじゃないかしら」


「行ける、って……もしかして……?」


「ええ。あの国王のところよ」


「ええっ!? もう行くんですか!? ちょっとおねーさんたち、それは流石に時期尚早じゃないですか!?」


「た、確かに早すぎませんか……?」



 突然の麗の提案に、少し驚く私たちだったが……

 意外にもこの提案に乗ってきたのは、他でもない暁月くんたちだった。



「なんとなく話の流れで察しましたけど、もしかしなくても、これからあなた達……国王のところに行って、さっき式神さんが仰っていた“資金面”の方をどうにかするつもりですよね? それなら私たちも協力しますよ」


「え……センパイたち馬鹿なんですか……? なんでそんな簡単に協力しちゃうんですか……?」


「いえ、馬鹿ではないと思いますよ。むしろ賢い方かと」


「あら、貴方……話が分かるのね」


「ええ。こんな朝早くから行動している点と、私達を仲間に引き入れてすぐ行動に移そうとしている点……この二つを考えれば、なんとなく察しはつきますよ」


「ふふ……そうよ、その通りよ」



 麗と暁月くんは、どうやら同じ考えをしているらしい。

 私には何が何だかさっぱり分からないけど、それは冥も同じようだった。



「ちょ、ちょっとおねーさん……なんかまた私、置いてかれてる気がするんですけど……」


「大丈夫、冥。私ももう分かんないから」



 すると、そんな私たちに麗は優しく教えてくれた。



「いい? さっき暁月君が言ってたけど、早朝から行動していることと、彼らを仲間に引き入れてすぐ行動に移そうとしていること。この二つがとても重要なのよ」


「えっと……どう重要なの?」


「他の召喚者たちや、稽古をつけにやってくる王国騎士たちに、勘繰られないためよ。相手に考える暇を与えないまま、私たちから攻めるの。どう? 貴女たち武闘派の得意なやり方でしょ?」


「……なるほどね」



 それを聞いた私は、自然と口角が吊り上がっているのが分かった。


 なんだ。とっても簡単な話だったのか。

 そんな単純な話なのだとしたら、これ以上何も考える必要はない。



「わかったよ。それじゃあこのまま行っちゃおっか。これ以上考えてても時間の無駄だろうしね」


「ええ。さっさとあのクソ国王に仕返ししてやりましょう?」


「やっぱりこうなるんですね……まあ、僕もやれるだけやりますよ……!」


「とりあえずあの王様には一発いれます。絶対です!」



 どうやらみんなもやる気バッチリみたいだ。



「それでは我々も頑張りましょう。このチャンスに、何としても戦争から逃れられるように……全力で行きますよ!」


『おー!』



 待ってなさい、国王様。

 今から私たちが、貴方から全部を奪ってあげるから……!


 そして、紅蓮や奏ちゃんの敵になりそうなモノは、全部排除してみせるから……。



「さあ……行きましょ―――」





「おやおや、誰かと思えば裏切り者さん達じゃあありませんか。一体皆さんお揃いで、どちらへ行くんですかねぇ―――」





「……誰?」



 私たちの、新たな道の第一歩は。



「我々ですか? 我々は……」


「お前たちは……ッ!」


「おやおや暁月クン。そんな怖い顔しないでくださいよ? 私たち、同じ召喚者で同じクラスの“お友達”じゃあないですか」


「ふざけるな……誰がお友達だ……ッ! この―――狂人どもめッ!!」




「はぁ〜い。そうですよ……我々は愛と正義の断罪者集団! “シャドウ・キングダム”ですよぉッ!!」




 王国側に堕ちていた、残りの召喚者たちによって邪魔されてしまったのだ。




「国王様からの命令でぇす。裏切り者には、ここで大人しく捕まってもらって、奴隷になっていただきまぁす……!」

命からがら〜!


前回、近頃テンポが悪いとのご指摘を頂きましたので少しギアを上げていこうと思います!

まあ正直、物事を大きく動かすにはそれなりの理由が必要で、その理由付けの為の説明回っていうのは書いてる側も、多分読んでる側もつまらないと思うんですよね…………


というわけで次回は召喚者たちの争いになります!事件ですよ事件!!!

次回更新予定日⇒11/4日前後

お楽しみに〜!!


次次回は多分紅蓮パート

おたのちみ

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