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幕間3 死神の誘い

―――死神は嗤う。少年の、行く末は……





―――フフフ……まだ、死なせはせんさ。ようやく見つけた“適合者”だからな。





 目が覚めた時、俺は暗くて寒い―――だけど何故か安心感のある、真っ暗な空間に居た。



「(ここは……何処だ?)」



 何にも思い出せない。

 今の俺にあるのは、“虚無”。そう。何も無い・・・・のだ。



―――何故か。知りたいか?



「(お前は……あの時の……?)」



 目の前には、何かが居るようだった。

 暗くて一寸先も見えない。だが、確かにその声は近くに“あった”。


 俺はそいつに問いかける。



「ああ。教えてくれ」



―――いいだろう。これが、お前が体験した出来事の、全てだ。



 そう、告げられた直後の事だった。

 俺の脳内には、沢山の情報が流れ込んできていた。




 この世界に来たときのこと。


 俺に。俺だけに才能が現れなかったこと。


 相棒が出来たこと。


 大切な人の為に命を張ったこと。


 相棒が連れ去られたこと。


 相棒の為に、命を落としたこと。


 それを死神に助けられたこと。


 姉ちゃんたちが居なくなったこと。


 獣人の国に行ったこと。


 奴隷の少女を救って大怪我を負ったこと。


 そして―――




「―――そう……か。……俺は、桜花たちを庇って……死んだのか……っ!」




―――ああ、お前は再び“死”を体験した。




「ぅ……あ……ま、また俺は……死んで……っ!」




―――そう怯えるな。安心するといい。我がお前を死なせはせん。それは誓おう。絶対に、だ。




「ほ、本当……か? 俺はまた……あの世界に戻れるのか……?」




―――ああ。前にも一度言っただろう? お前の寿命を代償に、一時的に神をも超える力を与えてやる、とな。




「そうか……その力で、俺はまた蘇れるのか……」




―――だが、それは本当にお前が死んでいた場合の話だ。




「……どういう、事だ? 俺は、死んだんじゃないのか? さっきお前は、確かにそう言ってたはずだが……」




―――ああ、確かにお前は一度“死んだ”。だが、その場に居た者のせい……というかお陰だろうな。お前は、“蘇生”されたんだよ。死んで、すぐにな。




「蘇生……だと!? でもあの時、俺の近くには誰も居なかったはずだが……」




―――理由は見てないから知らん。だが、お前は今、生きている。だから、我の力を使うことはできないのだ。




「それじゃあ……俺はどうしてここに?」




―――フフフ、当然の疑問だな。ならば答えよう。




 死神は、俺の疑問に答えた。




―――今お前は、確かに生きてはいる。だが、死にかけているのも確かだ。完全な蘇生が出来ていないみたいだからな。生命力が、尽きかけているんだよ。




「……死にかけの状態、ってそのまんまの状態な訳だな」




―――ああ。そして今、お前は二つの選択肢の前に立っている。




「二つの……選択肢?」




―――そうだ。お前の、今後の行く末だよ。




「俺……これ以上まだどうにかなるって言うのかよ……!?」




―――まあ、死にかけだからな。当然といえば当然だろう。




「そ、それで……? 俺にはどんな選択肢があるんだ?」




―――一つは、その身に“死”を纏う事。




「死を、纏う?」




―――そう。死を纏う……つまりは、“生きた死者”になるという事だ。




「ちょっと、待ってくれ。何を言っているか全然分からないんだが……」




―――分かりやすく言えば、“アンデッド”になる。




「アンデッド……ってことはゾンビか。ゾンビ……ゾンビ……ってマジかよ!? それって俺死んでるじゃんか!」




―――まあ、確かにな。




「そ、それで? 二つ目は何なんだ?」




―――二つ目の選択肢。それは、機械との融合体になる事、だ。




「機械と……融合?」




―――つまり改造人間だ。




「嘘……だろ。俺が、機械の人間に……?」




―――どういう理由でそうなったかは知らないが、今お前の前にはその二つの選択肢がある。そして、そのどちらかを選ばなければ、お前は寿命を削って、我が力を発動させる事で今まで通りに生活が出来るだろう。




「な、ならそのほうが良いに―――」




―――しかし、疑われるだろうな。何せ、死にかけが一瞬で元通りになるんだから。機械化を果たそうとしているという事は、技術者やそういった才能のある者が近くにいるのだろう。当然その者にはいい研究対象になってしまうかもな。




「そ、それは……」




―――さあ、どうする。最後に選ぶのは、お前の意志だ。意志によって、全ては決定されるのだから。




「……お、れは……」




―――どうやら、そろそろ時間みたいだ。生者の空間には長く居られないのが死神だからな。




「お、おい! 待って―――」




―――ではな。また、お前が死と邂逅した時に会おう。フフフ……フハハハハハッ!!




 そう言って、死神は高笑いと共に消えていってしまった。

 それと同時に、俺の視界も徐々に揺らぎ始める。



「(俺が、どうなりたいか……? そんなの、決まってるだろ―――)」



 そして、一つの決意を固めると。




「俺は、皆のもとに―――」




 黒く染まる視界に、身を委ねるのだった。

次回、幕間4 十ノ色と死の闇

メリドの命令で、影咲の死体を持って去っていったクロキリ―――ことクロカゲ。彼が向かった先で行われていた実験とは―――


次回は来週22日(火曜)の更新となります。


よろしくお願いです〜!

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