表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妄執世界のアリス  作者: 千里万里
第三部 産業革命の予兆
87/124

第一章その2

 それから一週間、強行軍は続いた。

 さすがに夜は休む物の、夜明けから夕暮れまで休まず歩き続けるアリスとルイスに、ナユタは付いて行くだけで精一杯だ。

 というか、良く付いて行ける物だとナユタは自分で自分を誉めてあげたいと思った。

 きっとアリスとルイスの事だから、昼夜兼行でも問題ないのかも知れない。

 夜は休んでくれるのはアリスの優しさかも知れないが、どうせならその優しさは昼の移動ペースにも発揮してもらえない物か。

「はあ……もうダメ死にそう……」

 すでにナユタは疲労困憊、今までどこをどう歩いてきたかもほとんど記憶に残っていない。

 ふと気が付くと、建物と建物の間に出来た狭い空間にアリスは立っていた。

 逆光になっているせいで、その表情を伺い知る事は出来ない。

 だけどアリスのシルエットがぐっと親指を立てたような気がした。

「………」

 ナユタは訳も解らず、とりあえず同じように親指を立て見せると、アリスは笑い返してくれた、ような気がした。

 アリスはナユタから離れるように一歩を踏み出し、向こう側の通りに飛び出していく。

 そして……馬車に轢かれた。

 跳ね飛ばされて地面の転がったアリスの身体の上を、がたごとと音を立てて馬車が走っていく。

 ……………。

 …………。

 ………。

 ……。

 …。

「アリス~~~~~っっっっっ!!!!!」

 少し遅れたナユタの声は、虚しく空に消えていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ