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閑話その2
基礎所得保障から発展した基礎幸福保障が実施されて、すでに長い年月が経った。
政府が最低限の生活を送るのに必要とされているだけの現金を国民全てに一律に支給する基礎所得保障に対し、基礎幸福保障は国民全てをありとあらゆる不幸と苦痛から救い、完全な幸福を約束する。
全人類から病気や怪我や老いを根絶。
労働を始めとする、ありとあらゆる苦痛からの解放。
隣人や家族との死別、犯罪や事故といった不幸に巻き込まれる事もなく。
人々は古今東西の豪勢な美食を肥満も成人病の心配もなく堪能できるようになり、趣味や旅行などの娯楽を好きなだけ楽しめるようになった。
ここに人類の長年の悲願は達成され、最高潮を極めた文明に、人々は終わらない幸福を謳歌した。




