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妄執世界のアリス  作者: 千里万里
第三部 産業革命の予兆
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第三章その5

 イレーナの馬車が湖の畔に着いた時、ずっと先に着いていたルイスは敷布を広げてランチの仕度を済ませていた。

「やあみなさん、遅かったですね。ランチの用意ができてますよ」

「うわ、美味しそう。いつの間に買ってきたの?」

「皆さんがスタートした後、街に寄って市場で買ってきたんですよ」

「え? それから追い付いたの?」

 それほどスピードに差があったのか。

 ナユタが目を丸くしていると、馬を近くの木に繋いだイレーナが肩を怒らせて近付いてきた。

「無効よ! こんな勝負、無効だわ!」

 近くにいたアリスに食ってかかる。

「卑怯じゃない! こんなすごいのを用意しているなんて誰も思わないわよ! それに! 絶対負けないと思って勝負を持ちかけたのね!」

「そう。無効だと主張する……」

「ええ、そうよ!」

 アリスはようやく着いたアルバートに声をかける。

「アルバート。これからも魔動車の研究ができるそうだ。イレーナ様のお墨付き」

「え? ちょっと! どうしてそうなるのですの?」

「そもそも勝負はあなたとアルバートの間で行なわれた物。ルイスの魔動車は関係ない。そして勝者であるあなたが無効だと言うのなら、そうなるしかない」

「あっ……!」

「お昼お昼」

 イレーナが愕然とするのを余所に、アリスはルイスが用意した食事に手を付け始める。

「あの……アルバート……さん?」

 ナユタが魔動車から降りてこないアルバートの様子を伺うと、彼は魔動車の御者台に座り込んだまま項垂れていた。

「アルバートさん? 大丈夫?」

「え……? あ、ナユタさん……」

「勝負は無効だって。魔動車の研究、続けられるみたいよ?」

「は、はい……そうですか……」

「アルバートさん……?」

 上の空で返事をするアルバートに、ナユタは不安を覚えた。

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