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   知恵袋さんに聞いてみる?

さて、前世の世界に御住まいの紳士淑女の皆さん質問です。


仕事を終え、自分の部屋に帰ってみると誰も居ないはずの部屋に人影が三つ。

目を凝らして見てみれば、それは三者三様な美形なお兄さんたちです。

そして、そんな彼等の手の中に、大事に、だぁいじに隠しておいた場所から取り出されたと思しき、日々のあらゆる場面から乙女のフィルターを通して集めたネタ帳と、こそこそと開催した即売会でやっとこさ手に入れた本が広げられているとしたら、どうしますか?


しかも、そのお兄さんたちの一人が、あの日空から睨みつけてきていた奴だったらどうしますか?


しかも、しかも、その手の中にある本の内容が、ちょっとやばいカップリングの18禁だったら、どうしましょう?





確か、外部との連絡方法を持たないで強盗が家の中にいることに気づいた時は、気づかれないように外に出て大きな声を出すか、鍵のかかる部屋に閉じこもって強盗が居なくなるのを待てって、元警察っていうおっさんがテレビで言ってた・・・はず!!


あまりな光景に思わず、前世で日参していた知恵袋さん形式に問いかけてしまったけど。

そう。これは強盗と一緒。

例え、その手にある物が危険物であろうと、命には変えられない。

危ない時は大人しくお金を渡しましょうって言ってたしね、テレビで。


どうやら夜も遅いからと静かに部屋の扉を開けたのが良かったのか、三人は私には気づいていない様子。ゆっくりと足を下がらせ、廊下に出たところで大きな声を上げながら走って逃げれば巡回している衛兵とか王宮に詰めている騎士とかが気づいてくれる。

そう考え、それを実行しようとしました。


「お待ちなさい、リリーナ。」

「もぐぅぐ」

薄暗い部屋から、ほのかな灯りのある廊下に体の半分が出て少しだけホッと息を吐き、そして大きな声をあげようと息を思いっきり吸い込んだところで、背後に人の気配を感じました。

驚いて大きな口を開けたまま息を吸うことも吐くことも忘れた私の体に左腕が回り動きを止められ、口には右手が当てられ声を封じられてしまった。


そして、そのまま部屋の中へと連れ戻されてしまいましたとさ。


「まったく、もう少しで騒ぎになる所でしたよ?

 隠密の行動であるはずでしょうに、何をなされておいでなのですか。」

背後の誰かが吐いた溜息が、私の頭のてっぺんに当たるのを感じる。

私の頭が柔らかな胸に当たっていることから、この誰かがとても背の高い女だということでしょう。それに、この声。う・・・ん・・・何処かで聞いた気が・・・・?

「それに何ですか、灯りくらい付けたら如何です?」

部屋に明かりが灯り、こちらを見る三人の男たちの姿がはっきりと見えるようになり、その手の中にあり広げられているものが確かに隠しておいた筈の本たちだったと判明しました。

彼等の足元には、本などを閉まってベットの下に入れておいた筈の箱が開封されて出てきているので間違いありません。

くそぉ、そういった文化の無い世界だろうと思って油断しました。

「あぁ、すまない。

 予想は出来ていたんだが、中々に強烈なものが出てきてプルートの奴が、な?」

「だからといって、光の宮殿で闇を無闇矢鱈に生み出さないで頂きたいのですが?」

「いやいや中々だぞ、これ。」

えーっと、つまり数日前から私の事を睨んでいた闇の精霊と思わしき人が、即売会で手に入れた本を見ちゃって暴走寸前だったってことですか?

まぁ、その本を見たら闇に属する精霊だったら怒り心頭になるのもしょうがない気もしますが・・・


流れと彼等の言葉から、プルートというのが闇の精霊の名前のようだということが分かります。

前に見た時と変わらず、真っ黒な髪に真っ白な肌、そして全身を覆いつくす黒いローブ。あれですね。文化部の部長って感じの美形です。ですが、その姿は夏場に見たら絶対に水をぶっ掛けたくなる装いですね。そして、何故か肩の上に赤ん坊くらいはある大きな人形を座らせています。・・・どうやってバランスを取ってるのでしょうか・・・?

その横に立っている、本を凝視しているプルートを指差して苦笑いを浮かべている男は、どうやらエルフのようですね。ボサボサな茶色の髪の中から長い耳が覗いています。身だしなみをしっかりとすればIT系社長といった感じの、女子から告白されるのには慣れているだろうってくらいのイケメン。

そして、人のベットに寝転んで私の書きかけの原稿を読んでいた他の二人よりは少し年が若いだろう青年。こちらも髪から服にいたるまで黒尽くめということは、闇の精霊ということなのか。

ちらちらと三人を見回していると、大人しくしていたおかげなのか、背後に居た女性が身体を離してくれました。

楽になった呼吸を何度か繰り返しながら後ろを振り返る。


「アウラ様?」


えぇっと・・・

押し込み強盗の仲間が、この国を加護する『光の精霊王』の側近の御一人、しかも『第二位』様って、どういうことでしょうか?

もしかして私、何か罪を犯したってことですか?

やっぱり、それですか?

それで、不敬罪ですか?

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