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あれ?

本日二回目。

「あれぇ、御父様の名前って御母様が付けてくれたんじゃありませんでしたっけ?

 いぃっつも自慢というか惚気てるんですけど?」


リリーナからの愛の贈り物だ

あの時、僕は新しく生まれ変わった。


などなど、幼い頃から耳がタコになる程に聞かされ続けた父の惚気。幼い頃は両親が本当に仲が良いんだと嬉しく感じて「良かったね、御父様」などと言ってしまっていたが、成長してからは「うわぁ」っと言うしかなくなった話を思い出し、今聞かされた話に首を傾げた。


目の前にいるのは、今まで話を聞いていた父の友人たち-クロノスたちの計画を主導した4人組の一人、研究や学問を司ると『精霊譚』に綴られた精霊タグ。

一番古くから、クロノスの計画に関わっていた存在だ。


「それも、リリーナのうっかりの一つでもあるんだ。

気をつけるように言ったのに、リリーナはうっかりプルートの気を引くことばかりしてしまった。そうじゃなかったら、ただ『風の精霊王』と同じ目を持つ協力者という認識のままで居られたのに・・・」


古くからの友人にまで、こんな風に言われる父。

呆れるべきか、嘆くべきか。

そんな男を父に持って生まれてきた次女、『夢の精霊』ファルは頭を捻った。


「何を言ったのかは知らないけどね。

『闇の精霊王』。そう呼ぶのが面倒くさいって理由だったんだ、あいつに名前をやったのは。

その名前ってのも、闇ってイメージで浮かんだやつから選んだっていうか、娘であるファルに言うのもあれだけどね?俺達の世界で『プルート』っていうのは、暗いとか粘着質とか死者の王とか、まぁそんな感じだったんだよ。」

申し訳ないという風にタグは言うけど、あの父ならそれで間違ってはないなと娘が思ってしまうのだから、仕方ないと思う。

そう伝えると、ホッと胸を撫で下ろしていた。

「その名前についてリリーナは何かを言ったみたいだよ。

彼女は、前の世界のそういう知識は俺達以上に持っているからね。何か『プルート』という名前について印象が変わるような事を言ったんだろうけど。それ以来、この名前はリリーナが付け直してくれたんだって惚気だしたんだよ。まだ、付き合ってもない頃の事だったんだけどね。」


母のうっかりが無ければ、父と結婚することも、子供が生まれることもなかったのだろうが、今とそう変わらない父の様子に、ファルは「うわぁ」と言うしか反応出来なかった。

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