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誰にも媚びない孤高のS級ヒロインが、最近なぜか俺にだけ優しいのだが ~ドS級美少女の瑛理子先輩は、俺が好きすぎてデレを隠し切れない~  作者: みなもと十華@3/25二作同時発売
第2章 瑛理子先輩は俺にだけ優しい

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第38話 キス?

 瑛理子先輩が、プイッとそっぽを向いてしまった。昼食の時はグイグイきていたのに、ほんと女心は分からない。


「えっと、お互い頑張りましょう」

「そ、そうね」


 声を掛けても振り向いてくれない。

 少し寂しいな。


 ガバッ!

「おぉい、俊! 何であたしを呼んでくれないんだよぉおおぉ!」


 突然後ろから衝撃を受けたかと思えば、大型犬のようにじゃれついてきたメアリー先輩だった。


「ちょ、メアリー先輩! 何してるんですか?」

「だって、俊があたしを構ってくれないからぁ!」

「構ってると思いますけど」

「お昼は瑛理子や真美と一緒だったんだろぉ? 噂になってたぞぉ」


 しまった。もう噂が広がってるのか。まさか、俺が瑛理子先輩に踏まれたのはバレてないよな?


「あたしとも食べろよぉ!」

「今度、今度食べますから」

「じゃあじゃあ、デート決定な」

「ででで、デートぉ!?」


 予想外の返答がきて、俺は耳を疑ってしまった。


「えっ、俺がメアリー先輩と? ええっ!」

「何だよぉ。嫌なのかぁ?」

「嫌じゃないですけど」

「なら決定な♡ ぬふふぅ♡」

「ダメよ!」


 勝手に決定しそうになったその時、何故か横の瑛理子先輩が口を挟んできた。

 これにはエミリー先輩が不満顔だ。


「何で瑛理子が断ってるんだよぉ? 嫉妬か? 嫉妬なのか?」

「ち、違うわ」


 メアリー先輩のじゃれつきが、俺から瑛理子先輩へと移った。背中に抱きつきながらウザ絡みしている。


「うりうり、隠すな隠すな。『私の俊が取られちゃう~』って感じだろ?」

「違うって言ってるでしょ」

「じゃあ俊とデートしても良いよね?」

「それは……嫌よ」

「やっぱり好きじゃんかぁ」

「んくぅ…………」


 えっ、瑛理子先輩が照れているのだが?

 顔を真っ赤にして目が泳ぎまくりなのだが?


「良いじゃんよぉ。俊を一日貸してくれよぉ」


 更にメアリー先輩がツッコもうとした時、彼女の後ろから三年生女子が現れた。


「こら、黒森さんはアンカーでしょ! 定位置に戻るわよ」

「リレーの勝負はメアリーにかかってるんだから!」


 ズルズルズルズルズルズル――

「あああぁ! あたしはまだ俊と話がぁああああぁ」


 こうしてメアリー先輩は引きずられていった。

 何をしに来たのやら。


「えっと、瑛理子先輩。困りましたね」


 横の瑛理子先輩に話を振ると、彼女は口を尖らせながら俺を睨む。


「ダメ。大崎君はデート禁止よ」

「何で?」

「ダメッたらダメ! 大崎君は一生デート禁止」

「厳しすぎますって!」


 今日はいつにも増して瑛理子先輩が挙動不審なのだが。


 パァン!


 そうこうしているうちに、男女混合リレーが始まってしまった。全学年一斉に走り、男女の順番もバラバラのレースだ。

 順位が頻繁に入れ替わり、息をつかせぬ展開が人気の種目らしいのだが。

 こんな大人気種目に、文化部の俺が出ることになるなんてな。


「俺のクラスの順位は……後ろの方みたいだな」


 良かった。先頭集団なら責任重大だったけど、後ろの方なら気が楽だ。


 俺のグループの走順がきたようだ。一斉に第七走者がレーンの中に入った。


 ドキドキドキドキドキドキドキ――


 ヤバい。緊張する。

 ふと瑛理子先輩に視線を向けると、グラウンドに立つ凛々しい姿が目に映った。

 長い黒髪をポニーテールにした横顔は、思わず息を呑むほど美しい。ショートパンツから伸びる長い脚は、白くきめ細やかな肌と適度な肉付きの良さで、ゾクゾクするような妖艶さだ。


 本当に綺麗な人だな。

 自然とそんな感想が出てしまう。


 周囲が続々とバトンを受け渡していき、残るは俺たち数人だ。

 俺がバトンを受けたのは、瑛理子先輩のクラスのすぐ後だった。


「くっ、こっから挽回なんか無理だよな。せめて抜かれないようにしないと」


 走り出してみたものの、運動不足なのか足が重い。

 すぐ前には、瑛理子先輩の疾走する姿があり、ついつい見惚れてしまう。

 いかんいかん、見惚れている場合じゃない。一つでも順位を上げるとするか。


「すみません先輩、抜かせてもらいます」


 俺は体に気合を入れ、すぐ前の瑛理子先輩を抜こうと地面を蹴る。

 抜くと言っても、変な意味じゃないぞ。順位を上げる意味だ。


「きゃっ!」


 瑛理子先輩の横に並んだ時だった。彼女が足をもつれさせ、大きく前に倒れ込んだのだ。


「危ない!」


 俺はとっさに動いていた。彼女の下敷きになるよう、地面へと滑り込む。瑛理子先輩を守るように。


 どうしてそう動いたのか自分でも分からない。

 瑛理子先輩の綺麗な体に傷を付けてはいけないと思ったんだ。


 ズザァアアアアアアー!

「ぐあっ! 痛い!」


 俺は地面と瑛理子先輩との間に挟まり、数メートルほどスライディングした。

 肘と膝が燃えるように熱い。


「せ、先輩……無事ですか?」


 瑛理子先輩に声を掛けてみると、俺の上で慌てている様子が伝わってきた。


「ちょ、ちょっと、大崎君、大丈夫!?」

「瑛理子先輩、無事だったみたいですね」

「私は無事よ! でも、大崎君が!」

「俺は……いいですから……先輩の綺麗な体に傷が付かなくて良かった……ガクッ!」

「大崎君! 大崎君! 大崎君!」


 ちょっとカッコつけてみただけなのに、瑛理子先輩は必死の形相で取り乱し始めた。俺を仰向けにして体を揺さぶっている。

 ちょっとビックリさせすぎたかな。


 ズルッ!

「きゃあっ!」

 ドサッ!

「んんっ……」


 えっ!?

 今、俺のくちびるに……柔らかな感触が?

 俺の上で右往左往していた瑛理子先輩が、体勢を崩して倒れ込んできたのだが?

 それで、先輩の顔が俺の顔に重なって……?


「んんぅ♡ くぅ♡」


 顔から火が出そうなほど赤面した瑛理子先輩が、口を押えてパニくっている。


「あっ♡ い、今のは♡ わざとじゃなくて♡ ご、ごめんなさい♡ ううっ♡」


 そう言い残して、瑛理子先輩は走り去ってしまった。


「ええっ、今のって……」


 キス……だよな? 瑛理子先輩が俺に?

 ふ、不可抗力だよな?



 ◆ ◇ ◆



 結局、俺のクラスは男女混合リレー最下位だった。

 俺はというと、怪我した箇所を水道で洗い、今は保健室で消毒してもらっているところである。


「はあぁ……クラスの奴らに合わせる顔がない……」


 窓の向こうに見える校庭から、体育祭の閉会式の声が聞こえてくる。ちょうど総合順位の発表をやっているようだ。


「あれは仕方がないぞ。大崎」


 操ちゃん……瀧先生が、俺の膝に消毒液を塗ってくれている。

 保健室の先生が出払っているそうで、代わりに瀧先生のお世話になっているのだが。


「先生、俺のせいで負けたって思われてますよね?」

「そうでもないぞ。お前が万里小路を救ったと話題になっていたな」

「そうなんですか?」


 俺は足元にしゃがんでいる瀧先生を見つめた。

 椅子に座る俺の股間近くに顔があり、何だかイケナイ感じに見えるけど。


「ああ、万里小路が足をもつれさせたのを見ていた生徒がいてな。お前が下敷きになって助けたって噂を流していたぞ」


 まさかキスしたのは見られてないよな?


「先生、他に何か噂はありませんでしたか?」

「そうだな、他には……お昼休みに大崎が女子に挟まれていたとか、ベンチでじゃれ合ってたどか」

「ぐはあぁ!」


 色々見られていた。でも、キスしたのがバレてないなら……。


 キスを想像して、俺の心拍数が上がり体が火照るのを感じた。もの凄い高揚感で胸がいっぱいになる。


「ああぁ、ヤバい。こんなの我慢できない」


 不可抗力とはいえ、あの瑛理子先輩とキスしてしまったのだ。意識するなという方が無理がある。


「そ、その、大崎……」


 ふと気がつくと、瀧先生の顔が、俺の股の間に入っていた。


「お、大崎、若くて我慢できないのは分かるが、ここは学校で私は教師なんだ。そ、その、口でして欲しいとか……そういうのは……。て、手でなら……」


 は? 何を言っているんだ、この先生は?

 変態かな?


「先生、官能小説ネタはいいですから、早く絆創膏を貼ってください」

「くっ、き、貴様……私をからかっているだろ。この天然ご主人様め♡」


 相変わらず操ちゃんは変な教師だった。



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姉喰い勇者と貞操逆転帝国のお姉ちゃん!

書籍情報
ブレイブ文庫 第1巻
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