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誰にも媚びない孤高のS級ヒロインが、最近なぜか俺にだけ優しいのだが ~ドS級美少女の瑛理子先輩は、俺が好きすぎてデレを隠し切れない~  作者: みなもと十華@3/25二作同時発売
第2章 瑛理子先輩は俺にだけ優しい

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第34話 好きになっちゃう

 噂話に花を咲かせる男子たちの前に、自然と俺は飛び出していた。


「あの、そういうのは」


 しまった! メアリー先輩の横顔を見ていたら、足が勝手に動いていたのだが!

 俺は何をしているんだ!?

 でも、笑っているのに、どこか悲しそうなメアリー先輩を見ていたら、自然に足が動いて……。


「誰?」

「なんか用?」


 男子たちが訝しむ顔をする。コイツは何者だと。


「つまり、その……そうだ。あまり女子をセ○レとか言うのはどうかと……」


 説明した俺に、男子たちの視線が刺さる。コイツは何で綺麗事を言っているのかと。お前も女をエロ目線で見ているだろと。


 その通りだ。その通りなんだけど。でも、本人が聞いたら悲しむはずなんだ。

 この女子はヤれるとか。この女子は無理だとか。

 どうせ男子も女子も、隠れたところでは言ってるのだろうけどさ。


 しまった、俺の行動で空気が! この場を何とかしないと!


「えっと、俺はメアリー先輩、良いと思うけど」


 もうヤケクソだ! ここはメアリー先輩の良さを布教して乗り切るしかない!

 首をかしげている男子たちに、俺がメアリー先輩の良さを教えてやる。


「確かにメアリー先輩はデカいけど、それを上回る可愛さがあるだろ! スタイル抜群だし、顔も美少女で髪も天然金髪ブロンドだし! そして何より、明るく優しい性格」


 俺の独演が始まり、男子たちはポカーンだ。


「それにさ、メアリー先輩は普段ずぼらで無頓着に見えるけど、実は可愛い服が好きだったりとギャップがあるんだぞ」

「そうなのか?」

「それは知らなかったぜ」


 メアリー先輩の新たな一面を知り、男子たちの表情が変わった。


「普段エロいギャグとか言ってたり、経験豊富っぽく振る舞っているくせに、本当は恥ずかしがり屋で意外と真面目な処女なんだよ」

「そう……なのか?」

「処女……だと」

「マジかよ……」


 処女と聞いて、男子たちの表情が一変した。

 いつの世も、見た目は派手だったりギャルだったりするのに、実は清純な女子を好きな男は多いものだ。


「そしてこれだけは言っておきたい。逆身長差カップルは、逆に男を大きく見せるのだと!」


 俺は何を言い出しているのだ。


「低身長でも高身長女子と付き合えるってのは、その男が何か持ってるって証拠だろ!」

「た、確かに……」

「普通女子は自分より高身長を求めるよな」

「自分より背が低くても付き合うってことは、それだけその男が魅力的ってことか」


 俺の話で男子たちの意見が反転した。高身長女子は素晴らしいと。

 俺は更に畳み掛ける。


「そうだ、高身長女子は最高なんだよ! つまり、メアリー先輩は最高なんだ! 俺はメアリー先輩が好きだな! たまらねえぜ!」


 何かヤバいことを言った気がするが、もう引き返せない。メアリー先輩の良さを布教できたから良しとするか。


 男子たちは「黒森芽亜莉、最高じゃね」とか「あの外見で処女とか超そそるぜ」とか「くぅ、ヤベェ、俺も好きかも」とか言いながら戻っていった。


「はぁ、俺は何をやっているんだ」


 ガバッ!

 突然、後ろからムッチムチの肉体に包み込まれた。


「ぬっへへぇ♡ 俊、あたしが処女なのをバラすなよぉ」

「ちょっと、メアリー先輩」


 メアリー先輩の体が密着し、パツパツの胸や太ももが当たりまくる。何故か彼女の足が、俺の股に入っているのだが。


「ちょっと! そこはヤバいですって! 膝が当たってます」

「当ててるんだよ♡ ほらほらぁ♡ 俊のアソコが大変なことになっちゃうぞぉ♡」

「うわぁああぁ! やめろー!」


 それは洒落にならん! 思春期男子の体を刺激するとかヤバすぎるだろ!


「そ、その、俊って、あ、あたしのこと好きなのか……?」

「ええっ、あ、あれは言葉の綾でして」

「ぬふふぅ♡ うんうん、分かるぞ。俊はドMだから、あたしと付き合って調教して欲しいんだろ?」

「全然違います!」

「隠すな隠すなぁ♡ こいつぅ♡」


 ヤバい、メアリー先輩の何かに火をつけてしまった。もう完全に捕食モードじゃないか。



「ぜぇぜぇぜぇ…………」


 やっとのことでメアリー先輩の肉体から抜け出した俺は、乱れた息と体を落ち着ける。

 あと少しで体の変化を悟られるところだったぜ。


「俊、何で前屈みになってるんだよぉ♡」

「男には色々あるんですよ」

「ぬふふ♡」


 あれは分かってる顔だな。バレバレかよ。


「もうっ、俊って意外とやる男だよな。あんなの言われたら好きになっちゃうだろ……」


 メアリー先輩が何かつぶやいた気がしたけど、風の音でよく聞こえなかった。


「えっ? 何か言いましたか?」

「な、何でもない、何でもない」

「もう俺は戻りますね」

「何だよぉ♡ もうちょっと、あたしに構えよぉ♡」

「わああぁ、だからくっつきすぎだって!」


 前よりもっと距離が近くなった気がするけど、もう深く考えないようにしよう。

 これ以上意識すると色々とヤバい。



 ◆ ◇ ◆



「おい、大崎! お前の出番だぞ」


 クラスの応援席に戻ると、長瀬が慌てて駆けてきた。


「もうそんな時間なのか」

「早くグラウンドに行けよ。借り物競争は、一番盛り上がるイベントらしいぜ」

「はあ? 俺は楽そうだから選んだのに」


 確かに場内は謎の盛り上がりを見せている。

 男子はそわそわと落ち着かないし、女子はキャッキャウフフと意味深な感じだ。


「何だこの異常なテンションは?」

「毎年この借り物競争で告白する生徒が多いそうだ」

「は?」


 長瀬は何を言ってるんだ?



 よく分からないままスタートラインに立ち、戦いの火ぶたは切られてしまった。


「はぁ、はぁ、はぁ」


 状況が把握できないまま、お題カードのある机まで走る。

 机に置かれたカードの一枚を引いて、その意味をやっと理解した。


「は? 好きな人……だと」


 えっと? 好きな……人、好きな人……好きな人だとぉおおおおおお!

 つまりそういうことか! 周囲を見てもそれは明らかだ。他の選手も『付き合いたい人』とか『告白したい人』とか『デートしたい人』というカードになっている。


 しくじった! 楽な競技だと思ってたけど、これ思い切り陽キャイベントじゃねえか!


「ど、どどど、どうする!? 誰か当り障りのない人を」


 応援席を見渡しながら、そんな都合の良い人なんていないと気づく。これは告白イベントに使われるくらい噂になっているのだと。


「誰か、誰か選ばないと……そ、そうだ、真美さん……」


 って、ダメだぁああああああ!

 もうそれ、俺が告白してるようなもんだろ! 真美さんは幼馴染なのに、俺が一方的に恋愛感情を向けているなんて知られたら、今の関係まで壊れてしまうかもしれない。


「そ、それじゃ、メアリー先輩に……」


 それもダメだぁああああああ!

 ただでさえ『あたしのこと好きだろぉ』とかからかわれているのに、こんなのしたら『やっぱり好きだったんだぁ?』っていじられまくるに決まってるぞ。


「もう最終手段で凛とか?」


 ダメダメダメだぁああああああ!

 姉弟だから許されるとか思ったけど、それ俺がシスコンって言ってるようなもんじゃねーか!

 なまじ美人で有名な凛だと、冗談にならないかもしれない。


 その時、俺の視界にひと際目立つポニーテール女子が映った。

 森の奥に人知れず咲く一輪の花のような。汚れた世界の中で、一人だけ気高さを忘れないような。

 まさに孤高の女王と呼ぶに相応しい人。


「瑛理子先輩」


 俺の足は、ひとりでに動き出していた。



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姉喰い勇者と貞操逆転帝国のお姉ちゃん!

書籍情報
ブレイブ文庫 第1巻
ブレイブ文庫 第2巻
COMICノヴァ

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