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司令官殿と参謀長殿、おまけの臨職な私  作者: 笠岡もこ
―フィオーレの街編―
28/99

司令官殿と参謀長殿、臨職になった私

「スペシャルサンドは美味しいだろ。ほら、ヴィッテ。俺のハムを一枚あげるぞ!」

「アリガトウ、ゴザイマス」

「ねぇ、ヴィッテ。大丈夫?」


 フォルマが美麗な眉を垂らし、顔を覗き込んでくる。ぎぎぎと、油の足りない歯車の如く首が動く。

 まず現在地を確認しようか。少し前までいた書庫でないのは把握出来ている。しかしながら、私の理性が迷子になる程度には、縁のない場所だ。

 騎士団の中でも一際特別な部屋、最高責任者であるウィオラケウス司令官殿の執務室である。私が腰掛けているのは、部屋の隅、パーティションで区切られた小さな空間にあるソファーだ。

 膝の高さの机上には、おいしそうなサンドイッチやハム、野菜スティックが並べられている。


「モンダイ、アリマセン」


 おかしい。予想もしていなかった人物の登場に失神しかけつつも。レクトゥス様やフォルマと一緒に、纏め方や今後の方向性などを説明していたまでは、鮮明に覚えているのだ。

 その後、軽食を司令官の執務室でゆっくりという話になったんだっけ。うん。レクトゥス様は、あまりに動揺してガクガク震えている私に恐怖したのか。折角なので、書庫の状況をもっと確認したいと辞退されたのだっけか。


「かなり重度な問題が発生している模様ですね。ヴィッテの頭の中に」

「ほら、ヴィッテ。あーん」

「あーんは、しません」


 よし。ちょっと正常に戻ってきたぞ!

 っていうか、アストラ様! 私、赤子でも幼児でもありません。アストラ様からしたら、似たような存在なのかもっていうのは、理解しているつもり。……ちょっとだけ切なくなったよ。

 向かい側から差し出されている厚切りのハムには、心惹かれるけど。ぐっと耐えた。


「ヴィッテ、ひどい……混乱している割に、俺には冷静だ」

「アストラ様、当然ですわ。淑女に対して失礼では?」


 淑女だと思ってないゆえの行動なんだよ、フォルマ。

 愛らしく頬を膨らませたフォルマに癒される。が、アストラ様も負けないくらいの可愛らしさで、フォークを持ってしょんぼりと俯いていた。

 なっなんだろう、この罪悪感。


「ア――ウィオラ、ケウス司令官殿が、どうぞ」

「だから、アストラって呼んでく――」


 アストラ様が言い切る前に、彼の手を取る。先制攻撃である。

 少し目を開いたアストラ様。その隙に、彼の手にあるフォークを持ち主の口に突っ込んでおいた。

 はい。何度も聞いております。私としてもウィオラケウスという家名、実に発音しにくいから助かるのだけど。そういう問題じゃない。


「まぁ、ヴィッテったら。大胆」


 ぽすんと、弾みの良いハイバックのソファーに戻ると。軽い溜め息が落ちた。ようやく本調子になってくれたらしい。

 フォルマが銀のグラスを手渡してくれる。魔法ランプの淡い明かりを受けた紅のヴィヌムが、綺麗。流してしまった言葉が、微笑みつきで繰り返されてやっと喉が動く。


「へ?」

「ヴィッテに手を握られたうえに、あーんてしてもらったぞ!」


 ぶほっと。ヴィヌムを吹きかけた私は悪くない。落ち着くために飲んだヴィヌムに、鼻空やら喉やらを襲われたじゃないですか!

 げほげほ。だって、握ったっていうよりも、軽く押しただけだ。そもそも、馬車の中での方が触れてたし。

 背中を摩ってくれているフォルマに、断じて他意はないと言い訳したいのに。


「ぐほ、ちがっ、げほ」

「アストラ。余計に話が進まなくなってしまったではありませんか。その気持ち悪い笑みと、やかましい口を噤んでいてもらえますか」

「オクリース兄様ってば。アストラ様については同意いたしますけれど。兄様だって、ヴィッテの反応を楽しまれてたではありませんか。お二人とも、反省なさってくださいまし」


 フォルマ、強し。大の男性二人は、居住まいをただし「失礼」と謝罪を口にした。

 で、なんだっけ。話って。あぁ、そうか。お二人は私とは全然違う身分の家の方で、魔術騎士団の司令官と参謀長。みんなの憧れの存在。

 遠い。

 ううん、わかってた。アストラ様もオクリース様も、立ち振る舞いやお屋敷、それに身につけている衣服も飾りもかなり上質なものだったから。けれど、お二人とも何もおっしゃらなかった。そんなお二人をいいことに、私が勝手に近く感じていただけ。


「ご馳走さまでした。私、そろそろおいとまを……」

「おや。確かに日はすっかり落ちていますが、自宅まで送っていきますよ? それとも、何か今晩用事でも?」


 これくらいの時間なら、まだ送ってもらう必要もない。一本道に近いので、迷うなんて有り得ない。用事があるのかと問われたのに返すならば、逆にこれ以上騎士団に留まっている用事や理由が見当たらない。

 ないない尽くしの状況に、苦笑が浮かんでしまった。


「夜更けにだれと用事があるんだ」

「司令官殿には、仕事が終わりましたのでとだけしか申し上げられません」

「オクリース、ヴィッテが意地悪するぞ。もう仕事も報告も終わっているのだ。俺は最初からアストラって呼んでくれって繰り返してるのにさ」


 ちょっと可愛くなさすぎる返事だっただろうか。でも、正直どう接してよいのかわからない。

 どうせ騎士団での仕事は今日限りなのだから、明日以降、身元保証人との関係に戻ればいいんだ。次に会う際には、昨日までのアストラ様とオクリース様として顔をあわせられるはず。

 そう思う反面、それで良いのだろうかとも落ち込んでしまう。これじゃ、折角フィオーレで変われると思っていたのが台無しだ。私が、そうしている。


「ヴィッテ」


 オクリース様に呼ばれ、はっと顔があがった。真っ直ぐ私を射抜く瞳に、心が揺れた。

 そう。これはけじめだ。私は魔術騎士団には仕事の募集できたんだ。一旦気を緩めてしまうと、取り返しがつかない態度をとってしまいそうで怖い。


「私は……私は、お二人に会いに参ったのではありません」


 例えば、私がせめてもうちょっと大人で、きちんと線引きをして切替えが出来る人間なら、もっと柔軟に対応可能なのだろう。

 でも、私は世間知らずの子ども。異国に来たばかりで、きっと甘えてしまう。だから、自分が投げた言葉にアストラ様の頬が強張ったのに、血の気が引いてしまう。


「ごめんなさい! えと、意地が悪い言い方でしたけれど。私、ちゃんとわきまえ――けじめをつけなきゃって」

「ヴィッテは見事に仕事をやり遂げてみせたじゃないか。最終日だけの参加なのにな。作業の手順、それに成果まで素晴らしかった」

「それは……私は当然の業務をこなしたまでです」


 再び、視線が落ちる。

 アストラ様に誉めてもらえたのは、とても嬉しい。なのに、素直にありがとうございますと声に出せない。

 ぎゅっと膝を握ってしまう。その意固地になった手に重ねられたのは、白くて綺麗な手だった。


「アストラ様もオクリース兄様も、ご自分の意見だけを押し付けなさいますな。ね、ヴィッテ。ヴィッテは私がオクリース兄様の親類で、今回の監視役であったのを知った後も怒らず、『おつかれさま、だったね』ってふんわり笑ってくれたわよね? どうしてかしら」

「だ、って。フォルマにはフォルマの事情があるのかなって、フォルマの人柄を知れば知るほど思ったの。なのに、一緒に書類整理してくれた。一生懸命なの、わかった。飛び入りな私の意見にも、耳を傾けてくれて……」


 そう、ある程度の事情があるのは悟れた。まさか監視役とまでは想像出来なかったけれど。

 賢い、というと語弊があるかもしれないな。聡明でなおかつ人柄も素敵なフォルマ。他の人がフォルマに接する態度からも、彼女の魅力は伝わってきた。


「フォルマが接してくれた優しさとか、楽しそうだなって見えたとことか。私は……愚鈍でフォルマが監視役として何かしら葛藤があったの、気づけていなかったかもだけど。私、自分が見たフォルマが好きだなって思ったから。全部偽りだなんて思えなかったから」


 言ってしまってから、しまったと下唇を噛んだ。これじゃ、私が思い描いたフォルマ、理想を押し付けてしまっただけみたいじゃないか。

 私が勘違いしているだけならましだ。最悪フォルマを傷つけたんじゃ!


「フォル――」


 慌ててあげた顔。両頬にぺちんと軽い痺れが走った。

 叩かれたというよりも、フォルマの両手が軽く弾んだと表現すべきなのだろうか。優しくて痛い衝撃に、混乱していた思考がやけに冷静になっていく。

 横からアストラ様とは思えない、低い声が聞こえてきた気がする。けれど、視線はフォルマから逸らせない。


「わたくし、これでも貴族の眼の中で育ってきたわ。あれだけの濃い時間を共にして、ヴィッテの言葉上だけで、ヴィッテを見たりしないわよ」

「ふぉる、ま」

「だからね。鈍いアストラ様やオクリース兄様にも、何故貴女が『けじめ』をつけようとしているか、教えてあげて? あのお二人、わたくしにとっても大切な方々なの」


 フォルマは年下なのに。鼻先の微笑みは、まるで母様みたいなんて思えてしまった。

 私が姉様に怒られ落ち込んでいると、いつも母様はこうして私の心に触れようとしてくれた。フォルマの向こうに見えた母様。もう、二度と会えない母様に会えた錯覚に陥る。可笑しい。年下で外見なんてまるで似てない少女なのに。

 一日気が張っていた反動だろうか。それとも、アストラ様やオクリース様がいてくれるからなのだろうか。言っては迷惑になると思っていた想いが零れてしまう。


「私、今回の求人はアストラ様やオクリース様が関われないタイミングで、他の力が働いた結果だと、耳にしました」

「ヴィッテの耳にまで入っているとは。醜態を晒してしまったな」

「違います! 私、醜態なんて思いませんでした。もちろん、聞いた時にはアストラ様やオクリース様が、まさか司令官や参謀長なんて知らなかったけれど。でも――」


 横からアストラ様の苦々しい声が聞こえてきて。机を叩く勢いで、お二人に向き直っていた。

 両の手を握り締め、俯きかけていたアストラ様も。その隣にいらしたオクリース様も。驚いて瞼をあげた。


「でも、だからこそ。お二人がアストラ様とオクリース様だってわかって。私、駄目だって思ったんです」

「駄目、ですか」


 オクリース様の低い声が部屋に響いた。

 低いけど、私を諌めるものでも責める音質でもない。ただただ静かに、問い返す声色。


「はい、絶対駄目だって思ったんです。私、父様の手伝いをしていたので、貴族や官僚の事情も、ほんの少しはわかります。一介の商家ではありましたが、夜会や舞踏会にも縁がなかったわけではありませんでした」


 小さい声だけれど決して視線を逸らさない私に、お二人が喉を鳴らした。

 私は姉のおまけだったので、華やかな灯りの下に出る機会はなかった。ほとんど壁の花だったし、どちらかというと女性と話し込むのが多かったな。

 けれど、色々な噂は嫌でも耳に入ってきてしまう。


「今回、魔術騎士団のためじゃなくて、ご自分の縁や利益を考えて人員を揃えた方々が絡んでいたって。ご令嬢方というよりもむしろ、お膳立てをした人たちは、全然騎士団のこと考えてなかったって」

「私が考えていたよりも、ヴィッテはさらに聡い女性でしたね」


 オクリース様が申しわけなさそうに、でも小さく笑った。口の端だけをわずかにあげて。

 違う。本当に聡い女性なら、この執務室にあがってくることはなかった。オクリース様にも、私は頭を振り返すことしか出来ない。後れ毛が頬を叩く。


「私はずるいだけです」

「ずるい、だと?」


 泣いたりしない。湿っていくのは私の心だけでいいんだ。

 問いかけてきたアストラ様に、無理矢理にでも浮かべた笑顔を向ける。


「ずるいんです。私、こんなんだから。うまくご令嬢方にも対応出来ませんでした。仕事のことだけ考えてた。でも、仕事をしにきたんだからって思って専念してた」


 ついさっきまでは、間違っていなかったと自信を持っていた対応。私は私として与えられた仕事をこなすのだと。給金の分だけ仕事をしてみせるって。

 だからこそ、自分の醜さを目の当たりにして、アストラ様とオクリース様に顔向け出来ない。


「なのに、司令官と参謀長がお二人だってわかった途端、失敗したんだって思って。けど、それって――お二人ありきで思ったってことは、私、その前は全然魔術騎士団のこれからを考えてなかったって気付いて!」


 ごめんなさい。私は私のことしか考えられてない人間なんだ。

 ぽろっと一滴だけ落ちた雫は見逃してください。大丈夫。最初の一粒だけ。あとは我慢がきく。


「そんな私が、今更、アストラ様とオクリース様を知れて嬉しいなんて、幸せ顔で向き合ったら、間違いなく、今回のご令嬢方への待遇を不服に感じた方々は、私をネタにお二人や魔術騎士団に何かしらの干渉はしてきます! だから、私! 大切だって思ったお二人の足かせにはなりたく、なく、て。だからだから。ちゃんとわきまえようって」

「だから、アストラ様とオクリース兄様の負担になっては『駄目』なんですのね? これからも、お二人との縁を繋ぎたいから」


 掠れて、篭って。最後はちゃんと言葉になっていたか自信がない。

 ぎゅっと瞼を閉じた私の頭を、フォルマが抱えてくれました。

 流れる沈黙。あぁ。結局はお二人を困らせてしまったんだと、心臓が爆発してしまいそう。いっそのこと弾けてくれればいいのに。この場から……ううん、三人の前から消えてしまいたい。


「ヴィッテはおばかさんですわね」

「へ?」


 驚いたのは、フォルマのおばかさんっていう言葉じゃない。額に落とされた口づけにだった。ぱちくりと瞬きを繰り返してしまう。当のフォルマは「額は友情の誓いですのよ」と微笑みかけてきた。

 慰めを期待していたのではない。むしろ、暗い色を覚悟していたのだ。

 って! フォルマ! 無理矢理に捻られた首がぐぎって! 痛い!


「あちらの男性はもっとおばかさんみたいですわよ」


 痛みで今度こそ涙目になった私の視界に飛び込んできたのは。真っ赤になって口を覆っているアストラ様。それに、眼を瞑って咳払いを繰り返しているオクリース様だった。

 アストラ様など、指の隙間から私と目があうと、へにゃんと崩れてしまった。一言加えると、困った風にだ。やはり迷惑だったのだろうか。


「ヴィッテ、それすごい殺し文句だな」

「すみません。殺傷能力があるくらい、不快でしたか」


 自分では話せているつもりだったが、フィオーレの人にとっては間違いがある言葉使いだったのだろうか。

 つんと鼻の奥が痛む。フォルマのおばかは、意味を理解してないってことかな。フォルマは異国人と接する機会があるから、私の間違った言い回しも解読してくれたのか。


「ちっがーう!! あぁ、もう! ヴィッテはヴィッテで、だから俺はしがらみ関係なくヴィッテがいいなって思ったんだ」

「アストラ。気持ちは痛いほどわかりますが、落ち着いてください」


 がばっと立ち上がったアストラ様。私はあほ面で見上げてしまう。しばらく、二人で見詰め合うような形になった。アストラ様は口元をわなわなさせているし、私は半泣き状態の間抜け面なので、ロマンスなど皆無だけれど。

 ややあって。満面の笑みなオクリース様が掌を打った。こわっ! が、オクリース様はがくがく怯えている私にご満悦の様子だ。


「アストラ。例の書類を」

「あっ、あぁ」


 怯えているのはアストラ様も同じようだ。青い顔でささっと執務机に向かっていった。

 隣のフォルマはおほほと笑っている。うっうん。フォルマはまごうことなく、オクリース様の親類だ。

 

「ヴィッテ。これが今日の給金だ。それと――」


 おぉ。やった! 布袋を手渡され、ほくほくと心が躍った。

 続いてさっと机を滑ってきたのは、上質な紙だった。はて。一番上の文字だけ、今書き込まれたばかりなのだろう。乾ききらないインク特有の香りがしている。私の、名前?


「契約書だ。ひとまず半年の臨時だが。魔術騎士団の司令官付事務として働いて欲しい」

「うぇ?! あっアストラ様! 私の話、聞いていました?! 絶対、再募集した方がいいですよ! 保証人になっている人物を採用するなんて、面倒臭いしがらみがついてまわるのは目に見えています!」


 思わず、勢いよく立ち上がってしまった。ついでに、べしっと卓上の契約書に掌を当ててしまう。

 今、私があれだけ内心を吐露したというのに!

 ばくばくと存在を主張する心臓。助けてと、オクリース様をきっと見つめても。極上の微笑を浮かべられて、白目になりかける。


「本日の仕事成果、実務に携わっているレクトゥスからの推薦、監視役から報告。どれをとっても、逆にヴィッテを不採用と判断する材料がありません」

「レクトゥス様、いつの間に?! っていうか、でも!」

「雇うに値する人物がいるにも関わらず、これ以上時間と費用を賭して再試験を行う理由がありますか? それとも貴女は、上に目をつけられている当団の予算を、これ以上削りたいとでも?」


 おぉぉ。白目どころか意識がぶっ飛びそうなんですけど。わ、私が魔術騎士団の臨時職ですと?!

 落ち着けヴィッテ。半年なんてあっという間だ。家賃も稼げるし、その間に定職も探せるはずだ。仕事もすごく楽しかった。何よりアストラ様とオクリース様に仕事面で必要としてもらえるなんて、幸せじゃない。

 でも――私がぶちまけた危惧に矛盾するのでは。


「ヴィッテ。俺を――俺たちを信頼してくれ」


 信頼。なんとなく。アストラ様の声は、私自身ヴィッテも信じるんだと背中を押してくれているように聞こえてしまった。

 いいのかな。この仕事が楽しいと思えた私も、お二人の、お二人が大切にしている魔術騎士団の力になりたいと願った私の気持ちを信じて行動に移しても。


「魔術騎士団には、ヴィッテの力が必要だ」


 その一言で。私はアストラ様の手をとっていた。

 剣を握るごつっとした手。そして、あったかくて大きくて、どこまでも安心が染み込んでくる。降り注いでくるお日様みたいな眼差しに、瞳が蕩けていく。

 こうして、私の魔術騎士団での臨職勤務が始まったのである。



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