合言葉は、異世界転移JK
なろラジ参加作品。
いくつも話書けないので、キーワード全部まとめました(笑)
結構皆様やってらっしゃるので見習って(*´ω`*)
あの日は木枯らしが吹いていた。
母親に頼まれて、学校帰りに年賀状を買いに郵便局へ寄り道した師走の始め。
急なにわか雨に驚いて、シャッターの閉まったさびれた商店の軒下で雨宿りした。
片付け忘れたのか、季節外れの風鈴が僅かに音を立ててたっけ。
緩やかな坂道沿いにあったその店に、雨で路面が濡れたせいか、ブレーキのきかない自転車がアタシに突っ込んできた。
「キャアッ!」
―――思いっきりぶつかった、その瞬間。
アタシは異世界に飛ばされた。
◇
―――そこからの日々はサバイバル。
転移した先は、スラム街みたいな貧民街。
だけど、アタシが異世界転移特典でよく分からん神様にもらったギフトスキルは『隠密行動』。
空き家に潜り込み、悪いと思いつつ盗みをしながら、その日その日を何とかやり過ごしてた。
ある日、小さな子供が親に捨てられお腹を空かせて泣いてた。情にほだされ助けると、気付けばそんな子供が空き家に増えた。
…おかげでしくじった。
アタシの存在が裏社会の連中にバレた。
「便利な能力持ってんな。俺等に協力するなら、今の生活を保障してやるぜ」
アタシは子供達を守るため、仕方なく連中の手伝いをした。
◇
ある日、組織の連中がアタシ達の家に、捕縛された一人の男を放り込んだ。
「人質だ。お前らで面倒見とけ」
…何処となく品がある男。貴族かな?
「う………」
男が呻いて顔を上げ…、え!?
ヤバッ! チョーイケメンじゃん! えー、どーしよ、すっごい好み!
うわぁ、こんな王子様みたいな男、この世にいたんだ。異世界スゴイ。
…しゃーない。食事でも用意してやろっと。
子供達も大好きな、アタシ特製ホットケーキ。
◇
「! 美味い!」
でしょでしょ? ホットケーキだけは得意なのよ♪
「…そなた、頼みがあるのだが」
イケメンはアタシに、自分の胸元を探るよう言った。言われるまま探ると、…ん? 何この小箱…
「それを持って、一緒に城まで行って欲しい。もちろん、子供達も一緒に」
えー、組織を裏切ることになっちゃう…。まぁいっか。アイツら嫌いだし。
◇
『隠密行動』スキルで皆でお城まで来ると、ちょうど舞踏会の最中だった。
「お、王子!?」
門番がビックリしてる! てか、アタシもビックリだよ!? アンタ王子だったの!?
「継承権の証、オルゴールは我が手にある! 私を陥れた弟一派を捕らえよ!」
―――その後、王子を救ったアタシ達は、めでたく貧民街から脱却した。
あ! アタシへの依頼は『異世界転移JK』って言ってね!
盗みをしてたコトは免除してもらったみたいです。
『異世界転移JK』は、お仕事依頼の合言葉。
これからは正義のスパイ活動するんだって。何だそれ(笑)
〜追記〜
続編作りました。
『JKは舞踏会で全てを魅了する』
https://book1.adouzi.eu.org/n2973ln/
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