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道標 1
「出てけ出てけ!」
「でーてーけ!」
「化け物の住む貴族なんか町から出てけ!」
外からの喧騒に、私は震えながら真っ暗な部屋の中央に座り込む。
私の名前は、カティー・テラ・キーエ。
愛称はカティア。
「もう、もう……」
私は、震える声で髪の毛を掴む。
腰まである、灰色の髪の毛。
しかし、所々緑色の斑点がある。
原因は、両親の子ども心への思いやりの結果だった。
その両親は、寝床で臥せっている。
全ては、私が原因。
ドン! ドン!
「金返せや、こら!」
今度は借金取りがやって来たようだ。
ドン! ドン!
扉を激しく叩く音に、涙が溢れてきた。
全ては、私の所為……。
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