エピローグ
あれから改めて、私たちはよくお互いの事を話し合った。
明るい日の下で伯爵様の顔を見て、私はとても驚いた。
何と、伯爵様の瞳もオッドアイだったのだ。
銀の右目に、水色の左目。
運命的なのか、左目は私と一緒の色だった。
伯爵様が語るには、やはりこの瞳の所為でひどく苦労した過去があったという。
それこそ、医学書は読み漁ったそうだ。
だからこそ、だというのが病気や怪我で奴隷として売れ残る子どもたちの姿だった。
何か、出来ないか。
幸い、医学の知識は有り優秀な薬師は知り合いに居る。
子どもたちを買い取って、治療するのはどうだろうか。
そこで、表向きには自分の悪い噂をワザと流していたそうだ。
「わざわざ悪い噂を、流すことないのに……」
私は、そう言う。
「善意の裏に、何か悪意がある様な事を勝手にいろいろ言われるのが嫌だったんだ」
伯爵様はそう説明した。
何か複雑な事情がるのが、貴族社会なのだろう。
それから、私たちは今いる子どもたち、全員養子に迎えることに決めた。
治療が終わった後、ロイドたちがお願いしてきたのだ。
「此処を離れたくない」と。
伯爵様は納得したうえで、全員を養子に迎える手筈を整えた。
そして、冒頭に戻る。
私は、皆の母親になったのだから“ねこのお母様”と呼ばれ、父親となった伯爵様まで当然のように“猫のお父様”という流れになったのには笑ってしまった。
もうすぐ、そんな子どもがもう一人加わる。
私は、愛おし気にお腹を撫でた。
「早くおいでなさいな。ここは笑顔溢れる、日溜まりの庭よ」
そして、こちらにやってくる愛しの人にとびっきりの笑顔を向けたのだった。
〖おわり〗
最終話までお読みくださり、本当にありがとうございました。
この企画に参加できたこと、本当に企画主催者様に感謝申し上げます。
ありがとうございました!




