レイシアが7歳児だなんて認めません
「ふん。まあいい。俺と仲良くなりたいというならお前は今日から俺の下僕な」
訝しげな表情をしていたかと思えば、口の端を吊り上げながら言い放つ。
お前はジャイ〇ンか。
そんなツッコミを入れたくもなるが私はにっこり笑って「お友達、ですね」とルーファスの言葉を訂正した。
「はあ?馬鹿かお前は。俺の友人になりたければ優秀でなきゃダメだ。お前みたいなチビは下僕で十分だ」
ムッと不機嫌な顔で私に二度目の下僕発言をする。
これ以上のやりとりは無駄と判断した私は話題を変えた。
本の話に戻せば、ルーファスは不機嫌な表情をしつつも、答えてくれた。
どうやら歴史に関する本を読んでいるらしい。
自分から率先して読んでいるのか、専属の教師から勧められたのか。
恐らく後者だとは思うが、私は感心してしまった。
こんな小さいのに、と。
レイシアは?って?
あれを七歳児とは認めません。
ええ、断じて認めません。
もしかして前世の記憶があるのかも知れない、と思ったりもしたけれど、まだ確かめてはいない。
ただ、ポテトチップスが食べたいと呟いた時にレイシアは私の言葉を無視していたから多分違うと思う。
もし前世の記憶があって、日本人だったならば流石に何かしらの反応があったと思う。
ルーファスとはその後、本の内容を感想を交えながら話してくれた。
私は隣でそれを聞くだけ。
いつもふんぞり返っている彼が珍しく普通に話しているから驚いた。
その間、ティナとティオは二人で大人しくしていたみたいだけど、ティナはこちらをチラチラと見ていた。
と、まぁそんなことがあったのです。
ベッドで仰向けになり、私は天井を見つめた。
既にレイシアとは別れ、夕食も湯浴みも済ませた私は寝巻き姿で就寝準備は万端だ。
「なんかなぁ。乙女ゲーと全然違う」
ぽつりと独り言を零す。
出会ったキャラクター達は乙女ゲーと違う。
ティナは天使だし、ティオは警戒心の強い番犬だし、ルーファスは一番キャラクターに近いけど、私の知ってたキャラクター年齢より幼いからかちょっと可愛いとか思っちゃったり。
レイシアは……うん。
一番の予想外ですよね。
ちょっとマジで危ないルート入りそうで怖いんだけど。
あの人超人過ぎて怖いわ。
その分頼りになるけど、敵に回った時を考えると。
ふるり、と震える体を抱きしめる。
考えるのやめよう。
というか、あんな超人が婚約者とか私まずい気がする。
あの人結婚とか興味無さそうだからその内婚約破棄してもらおう。
そんな決意を胸に、私は眠りについた。




