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39.ガストン
ここがホリア村。赤髪の聖女のいる地。
儂――ガストンは、どうしても我が国を救わなければいけない。大量の望まぬ殺戮をしてしまった国王として、そして大切な娘を守れなかった父親として。
この村に聖女がいることは、村人たちの行動が証明している。誰もが我々兵隊を睨んでいる。珍しいものを見る目ではない。明らかな怨嗟がある。
私の前に立ちはたかった背筋の伸びた初老の白髪の男性、この人が村長らしい。その目も冷たかった。
「儂はクローレン王国の国王、ガストンだ。我が国のため、どうかご協力願いたい」
「なぜ来たのですか」
村長は跪くこともなく、ただ儂を睨んでいた。「こら‥‥!」とそばの衛兵が怒るが、儂はこれも手で制した。
「この村に赤髪の少女はおられるか」
「いませんよ、そんな変な色の髪など」
儂は迷わず頭を下げた。
「われわれ王国の‥‥いや、人間の命運がかかっているのだ。どうか頼む。聖女の望むことは何でもする。絶対に不自由はさせない」
「じゃあさっさと帰ってくれませんかね」
これは長引きそうだ。だが背に腹は代えられない。
なんとしても信頼を勝ち取る。
そして、聖女になりたくない理由をなんとしても聞き出したい。国としてできる限りの支援はする。




