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訪問聖女と黄金の杖  作者: KMY
第6節 王国の執念
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29.サラ

私――サラにとって、悪い知らせが来た。愚かにも、聖女がこの前の日曜日、国王陛下を治療したらしいのだ。兵士たちの捜索に力が入っているのはこれが理由か。

まったくロゼールの奴、なにバカなことを考えてるんだい。この前来た時、はっきりバカって言ったほうが良かったわね。そしてそのことは、市民たちの空気を変えてしまった。


市民たちは、聖女が王都に行きたくない理由を、王国や権威が嫌いだからと考えていた。聖女って清純なイメージがあるから、そんなものかと納得する人も多かった。私も前世で自殺と聞いただけで詳しいことは分からないけど、おおむねそのへんだろうと思っていた。だが、その権威の塊である陛下を直々に治したというのだ。様々な見方はあるだろうが、それを聞いた市民たちは困惑しつつ、兵士と話す人まで現れてしまった。


まったく、ロゼールはバカだね。いくらでも言うわ、バカだね。バカだね。バカだね。王都に行きたくないのに矛盾することしてるんじゃないわよ。このままだとロゼールの居場所がばれるの、時間の問題じゃないの。ロゼールに物置にでも隠れていろと速達を出す‥‥? いや、今のタイミングで速達を出したら怪しまれる。普通の手紙を出すくらいなら、自分が帰ったほうが早い。いつもロゼールの誕生日パーティーに村へ帰るところなんだけど‥‥警戒しすぎてパーティーを欠席してしまったのが運の尽きだね、まったく。

いや、まだ間に合うわ。仕事の都合でパーティーに遅れたけど祝わせてくれという名目であれば怪しまれない。そう思ってシルベーヌを見る。‥‥忙しそうにパンを焼いていた。店内には兵士たちがたくさん。持ち帰り販売ブースにも行列。人が増えたことで、客が増えたのよ。確かにシルベーヌのパンはおいしいけど、何でこんなときに限って忙しくなるの。おかしいじゃない。


間に合うかわからない手紙を出すしかない。ロゼールはバカだよ。今度会った時、面と向かってバカって言うわ。必ず。絶対に。

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