第14話(累計 第58話) ダム・ガール、ひどく反省する。
「好きな女が他所の男に良い顔をしていたら、誰だって心配になり焼きもちの一つもしますわ!」
「えー!! うそー!?」」
わたしは、ヨハナちゃんの爆弾発言に驚く。
なんと、ティオさまがわたしとルキウスくんとの関係に嫉妬をしているというのだ。
「嘘でも何でもないですよ、アミちゃん。今日、何回もルキウスさまの事をイグナティオさまにお尋ねなさってましたよね。その時、イグナティオさま、ずっと複雑な顔なさってませんでしたか?」
「た、確かに。いつものティオさまの笑顔が無かったわ」
「惚れた女が自分に他所の男のカッコいいところを聞くのは、流石に冷静でいられないと思いますよ。こと、最近全然お話していないでは、心配になるのはイグナティオさまじゃなくてもです」
ヨハナちゃんにはっきり指摘され、わたしは今日の行動を思い出す。
元からわたしは、ティオさまの気持ちを一切考えずに自分の行動や気持ちを押し付けていた気がする。
今までは、それでもティオさまが許してくれていた。
しかし、今回は流石にティオさまも嫌だったのかもしれない。
恋敵に対して褒めることなど。
「そりゃイグナティオさまは、とっても良いお子様。自分の不機嫌さを他者に見せぬよう、いつもご辛抱なさっていらっしゃいます。優しくて強くて。いや、あれは聡い子供ゆえの強がりですね。中々、本性をお見せになられませんですし、今まで見せられない立場だったでしょうし」
「ヨハナちゃん。よくティオさまの事を見ているのね?」
「ええ、アミちゃんの大事な方になる御子ですもの。注目しちゃいます。アタシも結構イグナティオさまには過ぎたお言葉を毎度言ってしまってますが、広い度量でお許しになられてます。あえて言いますが、あんな超優秀物件。今後、絶対にアミちゃんの前に現れませんですよ。第一、あの御方もアミちゃんの事がとてもお好きなのですから」
ヨハナちゃんからのお説教を聞いていて、どんどん自分がティオさまを蔑ろにしていたことに気が付く。
「イグナティオさまはアミちゃんの事を好きだ、欲しいと幾度もおっしゃられていますが、アミちゃんはお心をティオさまにお話しなさってますか? 好きとはっきり言いましたか?」
「……言っていないかもです。あー!! わたし、失敗しちゃったぁぁ。ティオさま、わたしに失望しちゃっていないかなぁぁ!! わたしのバカァァァァ」
わたしは、自分の愚かさに今更ながら気が付く。
ヨハナちゃんや他の人には好きだと好意を直接語っているのに、ティオさまに対しては口に出して言った覚えがない。
わたしは思わず頭を抱え込んで、ベットに顔を突っ伏してしまった。
「はぁぁ。お姉ちゃん、ホントにバカだよ。イグナティオさまが可哀そうって意味、ようやく分かったのね」
「アミ姫さま。どこか抜けてますし、前の事があって男女関係をワザと意識しない事があったのは理解しますが、今回は流石にです。アタイでもイグナティオさまの好意と嫉妬が見えたくらいですのにね」
みんなからの言葉でボコボコにされていくわたし。
しかし、己の愚かさを考えれば言われてしまうのもしょうがない。
わたしは自己嫌悪で、どんどん落ち込んでいった。
「あーー! どうしよう! ティオさま、わたしの事をきっと許してくれないよぉぉ」
「と、アミちゃん姫さまを責めてばかりではしょうがないです。これから、皆さまで明日の告白作戦に向けて作戦会議と参りましょう。向こう側でもファフさまが動かれていますし。大丈夫、イグナティオさまはアミちゃんの事を簡単にお嫌いにはなられないですよ。さあ、笑顔を取り戻しましょうね、アミータ姫さま?」
「ぐすん。ヨハナちゃん、馬鹿なわたしに愛想つかないの?」
なんのかんの、側仕えなら決して言えない事を言いつくしたヨハナちゃん。
それでも笑みを浮かべわたしを励ましてくれるのに、わたしは弱気になって聞いてみた。
愛する人を大事にできない愚かなわたしを見捨てないのかと。
「そんなわけは絶対にないです。アタシはアミちゃん。いえ、アミータ姫さまの忠実な従者です。何があっても、何処にでも必ず一緒です。いつも、アミータ姫さまの側に居ますよ。そこが浴場であろうとも戦場であろうとも! えっへん」
「あ、あ゙り゙がとぉぉぉ。わたし、頑張るの!」
わたしは、思わずヨハナちゃんに抱きついて泣いてしまった。
「あー。お姉ちゃん、羨ましいなぁ。わたくしには、こんなに忠誠を誓い苦言まで言ってくれる配下なんていないもん!」
「あまりアタシとアミちゃんの関係は普通じゃないですから、これが忠義の正しい形だとは思われませぬように、エリーザ姫さま。正直、今日はいつもよりも言い過ぎちゃいました。物理的に首が飛ぶ覚悟もしてましたし」
「い゙や゙ぁぁ! ヨハナちゃん、わ゙だじの前から居なくなったらヤダぁぁぁ!」
わたしは、ヨハナちゃんが居なくなったら嫌だと、逃がさないように全力で抱きしめながら泣く。
こんなに馬鹿な主に対し、命を懸けてまで諭してくれる大好きな女の子と別れたくないから。
「はいはい、アタシは絶対に逃げませんですから。イグナティオさまにも、このくらい真剣にお話ししましょうね、アミちゃん」
「うん! わたし、ティオさまにも心を伝えるわ」
結局この後、わたしはずっとヨハナちゃんの胸の中で泣いた。




