第24話(累計 第198話) ダムガール、侵攻方法を説明する。
「リナ。それにイグナティオ閣下、アミータどの。我らの危機をお救い頂き、ありがとうございます。しかし、どうやって我らがここにいる事。そして危機を迎えていたことをご存じだったのですか?」
「それは、我が守護竜ファフ。そしてアミお姉さんの開発した空を飛ぶ機械。航空機による空中偵察を行ったからです、ダイロンさま」
国境近くにある反魔王勢力が逃げ延びた砦。
わたし達は、魔神すら含まれる敵の軍勢を空からの攻撃で一方的に撃破。
ゴーレムや多脚戦車、空挺兵などの陸戦兵器すら投入し、砦周辺の魔王軍を殲滅した。
……戦車を乗せた輸送機。一応、不整地着地をする前提で機体下部構造を強化していたので、無事に着地成功したの。
強行着陸した航空機には、戦車の他に食料、弾薬、整備用物資に燃料代わりの魔力結晶などをギリギリまで詰め込んでいる。
もしも、王国との輸送ラインが切れても、しばらくは戦闘可能なように考えていたのだ。
「空ですか……。竜や飛竜はまだ納得できますが、空を飛ぶ機械とは……」
「えっへん。そこは、わたくし大活躍ですわ。今回、大型輸送機が六機。輸送機改造型の大型爆撃機が二機。中型攻撃機が四機。小型戦闘機を十機ほど投入いたしました」
……輸送機のうち、二機はゴーレム輸送仕様。二機が戦車を輸送した強襲着陸型。残り二機が通常型で荷物や空挺部隊を投下したの。荷物には、臨時滑走路を造るロール巻き鉄板もあるわ。
一旦、機体を降りての自己紹介。
ティオさま、わたし、リナちゃんは、それぞれの側仕え兼護衛役を携えての会見だ。
……ファフさん、今回は支援攻撃を主にしてもらい、砦に取りつく敵を掃討してもらったの。もちろん、ヨハナちゃん、ディネさん共々、わたし達の背後で待機ね。
ダイロンさまは、わたしの事を既に知っているのでまだ驚きの表情で済んでいるが、彼の側にいる二人の高官。
一人は大柄なオーク、紹介ではハイオークという上位種でオーク種族の長をやっているお兄さん。
もう一人は只人に山羊の角とコウモリの羽、トカゲの尻尾が生えた美形なお方。
……この方が、噂の竜人族ね。先祖に竜がいて、ヒト型知的生命体と混血をしていったという強い方々。
彼らは、わたしが自己紹介をし、飛行機械や有人型ゴーレム、火砲の立案をしたというと、あまりの驚きから開いた口が今なお閉じていない状態。
只人、それも未成年の少女が軍事開発をし、更にはゴーレムを駆って魔神らを殲滅したというのは驚きでしかないのだろう。
……剣と魔法。弓と少々の前込め銃に青銅製の大砲しか知らない世界の人が、戦闘機だ、砲撃型ゴーレムだと見たら、びっくりじゃすまないよね。その攻撃を真正面で受ける敵兵は少々可哀そうだったけど、魔王に従って女子どもにも手を下す様な奴らに生きてる資格なんて無いわ。
「……た、確かに我らはアミ―タどのが開発した兵器により、救われました。ですが、あれだけの戦闘をしてしまえば、弾薬などに不安が出ませんか? それに、お二人に王国側へお帰りになる手段が……」
「そこは御安心くださいませ、ダイロンさま。ボクが信用するアミお姉さんは、抜かりはございません」
「うふふですわ。まもなく、山脈側にいる魔王さまに従う迷宮警備軍も降伏なさっていらっしゃるでしょう。そうすれば、王国から物資を運び放題ですわ」
……戦争において大事な要素に兵站があるの。ご飯に燃料、銃弾が無い軍隊は勝てる筈ないもん。
ダイロンさま。
未来の戦争を見た衝撃からなんとか落ち着き、わたし達の心配をしてくださる。
確かに飛行機の大半は、山向こうへ帰還。
こちらには強行着陸をした輸送機が二機。
物資を捨て、避難民だけを乗せるにしても、荒野から離陸するのは簡単ではない。
……念のためにRATOユニットは増設しているから、無理をすれば空荷でなら離陸は出来るかもだけど。滑走路が無いから、ドーザーブレード着けた戦車で整地しなきゃね。
「物資を輸送? どうやって迷宮街道を……。あ、もしや自動車ですか、アミータどの?」
「流石はご名答ですわ、ダイロンさま。迷宮街道部分を走れる戦車や装甲輸送車を開発済みです。わたくしたちの空爆攻撃とタイミングを合わせて迷宮を制圧している頃ですわ」
共存の街コンビットスや租借地ゴルグラスなどで既に魔導自動車を見ていたダイロンさま。
その機動性と装甲を迷宮突破に使えば、迷宮街道を制圧できるだろうことに気が付いてくれた。
……迷宮は多層構造なんだけど、迷宮を作った古代文明人がおそらく輸送ルートに使っていただろう部分は、同じ階層で山脈を貫いていたの。対空砲とか投石機を王国側に運び込んだルートね。避難民は警備兵に見つかるのが嫌だから、別ルートを使ったそうだわ。
「アミータどの。貴女は何処まで先を見通して……」
「き、君たちは一体……」
「お、俺たちは誰に助けられたんだ? 只人の小娘が、何を?」
どうやら、わたしが立案実行した作戦を想像すらできないらしい状況のダイロンさまたち。
眼を見開き、驚愕の表情のまま絶句する。
「お姉さまは、英知の女神さまなのですわ、伯父さまたち。わたくし、お姉さまと一緒に魔王を倒し、国を救うために参りました!」
そんな大人たちを前にドヤ顔で、わたしの腕に自分の腕を絡ませて自慢げな様子のリナちゃん。
伯父さんたちを救う事が出来たのが余程嬉しかったのだろう。
「さて、ダイロンさま。そしてお二人。これからの作戦について御相談があります。ボクとアミお姉さん、そしてリナさまの計画に許可を頂けませんでしょうか? 許可を頂ければ、この砦に逃げ込んでいます非戦闘員の王国への避難輸送。及び魔王への反抗作戦を実行できます」
「うふふ。わたくし、皆さまをお守りするのに手加減をするつもりは一切ございませんですわ。最高のエンターテイメントを最前列のお席で観覧できますのを、保証いたしますね」
わたしは最高の笑みで、ダイロンさまたちを誘った。




