第14話(累計 第188話) ダムガール、敵使者に突撃取材する!
「ということで、今日は沢山お話を聞きにまいりました、ダイロンさま。魔王さまと第三の敵について、ご存じの事を根掘り葉掘り教えてくださいませ!」
「一体、何がどうなって、『ということ』になるのだ、アミータどの?」
一旦、いつものメンバーで話し合った翌日。
再びわたしは仲間を連れ、ダイロンさまにお会いする為に租借地ゴルグラスに来ている。
全員がご挨拶をした後、わたしは質問のゴングを鳴らした。
……もちろん事前に了承は得ていたよ。ダイロンさまも、何も手柄なしに魔王の元に帰るのは危険だしね。こちらも、それなりに情報は流して共有するの。
「義兄上。暴走娘のアミータどのが、本気になれば何が起こるか。俺には予想も出来ぬ。ただ、味方になればこれ以上も無くありがたい存在だ。鉄の雨に撃たれて死にたくないのなら、今は素直にアミータどのに従うがいいぞ」
「そーなの、ダイ伯父さま。アミータお姉さまは皆の幸せを考えて下さる素晴らしい方。是非、魔王陛下の情報を全てお話くださいませ」
「貴方、それにリナ。あまりお兄さまをお責めになられないでくださいませ。兄にもダークエルフ種族全体を守るという責務があって、今は魔王陛下に仕えています。それが、台無しになっては意味がありません。ですので、アミータさまにもお手加減をして下されば嬉しいです」
会談の部屋は、わたしとティオさま。
それにヨハナちゃんやドゥーナちゃん他、配下が沢山来ている。
またダイロンさま側も護衛らしきダークエルフ男性の他、グリシュさま、お腹の大きなメレスギルさま、リナちゃんらがいる。
……ディネさん、わたしとダイロンさまのどっち側に付くべきなのか、苦笑しつつファフさんと共に見守ってくれているの。
「メレスギルさま。そのあたり、流石に猪突猛進で考え無しなわたくしでも、考えてはおります。今回、ダイロンさまから頂く情報の対価も考えていますわ。うふふ」
「先程、根掘り葉掘りと言いましたのは、アミちゃん姫さまでございませんか? 今更、笑ってごまかしてもダメです。言葉の綾とは思いますが、姫さまは少しくらいご自分のお立場とお言葉にお気をつけてくださいませ」
「は、はーい。と、言う事ですのでお話出来る範囲で構いませんですわ、ダイロンさま」
……つい、何でも聞くぞーって暴走してしましたわ。メレスギルさまにもご心配をおかけしたのは、大失敗。うん、ヨハナちゃんのツッコミ。実に助かるわ。
「お、おほん。ダイロンさま。ボクも貴方がたとは戦うことはしたくありません。こうやってお互いに話し合える関係であれば、命を奪い合うことなど不必要。お互いの落としどころを考えていきましょう」
「そ、そうですね、若き公爵閣下。私にも都合がありますし、もちろんアミータどの、貴女がたやグリシュにも。私も妹夫婦や姪っ子が不幸になるのは望みません。何かお互いにうまくいける方法があるのなら、私も協力はしたいです」
幸いな事に、ダイロンさまは話が通じる相手。
リナちゃんたちがこちら側であるので、彼としても攻めにくいが魔王の意向には逆らえない。
板挟みで実につらい立場なのは、わたしも理解している。
「まず魔王さまが今何を望んでいるのか、そこから参りましょう。魔王さまの人となり。というか、どの様な人柄でどんなお考えの方なのか。そういえば、わたくしは聞いたことがあまり無いですね」
……夢で、魔王が魔神を『喰らって』力を得たから地震が起きたというのは見たけど、確証がないからなんともなの。確かに例の『外典』には魔王のデータや設定はあるけど、現実の魔王がどんな事を考えているかは、分かんないし。
「ええ、ボクも恐ろしい方としか父。先王からも、その程度しか教えて頂いておりません。アミお姉さんからも少しは教えて頂きましたが」
まず、わたしは戦うであろう敵。
魔王個人について聞いてみる。
毎度ながら、「敵を知」らねば戦いにならない。
ティオさまもお父さまからは詳しく聞かれていないらしく、王家でも謎の敵。
ただただ恐ろしい敵というのが、王国内での共通認識っぽい。
「オレが知っている限りでは、元は只人族であったようですが、何かで無限の魔力と寿命を得たとか。食人、相手を喰らう事で能力を奪うらしいとも聞きます」
……そんな中でも、それなりの情報を掴んでいるアルビヌス先生は凄いよね。一応、『外典』にも魔王には『喰らう』というスキルがあるって書いてはあるけど。でも、どうしてそんな大事な話をティオさまや先王さまにしなかったのかな?
「アル先生。ご存じなら、どうして父やボクに魔王について教えて頂けなかったのですか?」
「ティオさま。オレも詳しい事は貴方たちが魔王軍と直接対峙する様な事態になってから調べて知った事が多く、貴方さまを教えていた頃は、先王陛下と同じくらいだったんです。確かに噂レベルで『人を喰らう』とは聞いてましたが、そんな恐ろしい話を幼子にはできないでしょう? あ、兄君。陛下には既にご説明済みです」
新進気鋭の高位魔術師。
アルビヌス・デ・フィオレンティーニ先生でも、知らない事は何かで調べないと分からないのは当然。
更に、なんらかの裏付け、根拠が無いと公式に王家に報告できないというのも理解できる。
「そこまで既にご存じであれば、私から魔王陛下についてお話出来る事は、ほぼないですね。魔王陛下が魔王、魔族の王となったのは、ここ数十年の範囲。それまでは魔族は部族ごとで群雄割拠。山向こうの凍り付き痩せた大地を奪い合っていたのです」
ダイロンさまは、そこから魔族国家の歴史を話し出してくれた。




