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ゼネコン令嬢~ダム・ガール、悪役令嬢になりて異世界に建つ! 継母に家から追放されても、ショタ公爵さまとイチャコラしながらインフラ強靭化計画を実現しますの~  作者: GOM
第五部 ダムガールは、幸せな未来を目指す!

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第10話(累計 第184話) 魔王、異世界からの使者と接触する。

「魔王陛下。例の者が御目通りしたいと申し出ております」


 魔族国家の中心部、魔の都にたたずむ漆黒の城。

 その最奥にある黒大理石作りな玉座の間で、豪華な椅子に深く座る黒髪の青年。

 彼は、神官らしき黒衣の只人族から魔王と呼ばれ、謁見の許可を尋ねられた。


「以前、高性能大砲などを技術込で持ち込んできた者か。まあいい、話だけでも聞こう」

「御意」


 低い声で許諾をした細身で黒眼の只人青年。

 玉座に座る彼の影が、壁に掲げられた松明の灯りでグラリと揺らぐ。

 その影は人の姿から大きく離れ、まるで(ドラゴン)魔神(デーモン)の様にも見える。


「魔王陛下におかれましては、ご健勝であられまして何より。今回も、御身にお役にたつ情報と一品をお持ち致しました」


 黒大理石の床に深く(ひざまず)く只人族の男。

 彼は見慣れぬ、だが高級そうな生地で作られた濃い灰色の衣装(フォーマルスーツ)を一切の隙も無く身にまとう。


「ナイト798セブン・ナイン・エイトと申したか。どうして本名を余に告げぬ? 確かに、以前は大砲の実物や預言書を余に貢ぐことで一応認めはした。だが、いつまでも秘匿名(コードネーム)のみしか名乗らん。それ以上に、お主の『上』なる存在を余には一向に示さぬのを、どう信用しろというのだ?」


「偉大なる陛下に置かれましては、私どもの存在など蟻のようなもの。些事な事にお気を付かれます必要はないかと思います。それよりは、この先の未来。お渡ししました『預言書』より大きく変わっております。そのアフターフォローとして、今回は参った次第です」


 魔王からの殺気交じりな威圧を受けても、馬耳東風なナイト。

 いけしゃあしゃあと、ビシネストークを辞めない。


「あの一部しか翻訳されておらぬ『預言書』とやらか? 確かに書かれていたこと通りの事態は起きた。だが、最近は随分と記述とは大きく違ってきておる。それ以前に、翻訳されておらぬ部分に書かれた絵。これに、どう見ても余が討たれておる場面があった。もしや、最初から余を(たばか)る。操るために、このような遺物(オーパーツ)を大砲共々送り付けてきたのではないか?」


「流石は魔王陛下。預言書、『外典』の内容を正確に読み取られたのですね。はい。あの本は、全ての起きる可能性がある事象。発生しうる『未来』の分岐が全て書かれている異界より流し書物のでございます。魔王陛下にお渡ししたのは、陛下がこの世界を全て御身のものになるための『道筋(シナリオ)』が掛かれているからです。その一部を陛下がお読みやすいように翻訳されたものでございます。陛下が勝たれる以外の『未来』など、陛下には不要なものです」


 魔王は逆光にも関わらず、本来であれば黒き瞳を金色に輝かせ、ナイトを睨む。

 眼下の商人(ビジネスマン)は命の危機を感じないのか、尚もペラペラと自分に都合のいい部分だけを話す。

 魔王には『余分な情報』など無用と。


「それで、法王には別の物を渡して居った訳か。我らのどちらが滅びようとも、己らが都合がいいようにした。それを余が知らぬとでも思うたか、この痴れ者め!!」


 魔王は、自分が愚弄されている事に怒る。

 そして玉座から立ちあがり、物理的なまでの力をもった殺気をナイト798に叩きつけた。


「ひぃぃぃ! 陛下、お、お心を落ち着かせてくださいませぇ!」


 殺気の余波をくらい、腰を抜かす魔神神官。

 恐怖のあまり、腰のあたりを濡らしていた。


「め、滅相もございませぬ。た、確かに法王にも同様の物を渡してはおります。ですが、たかが冒険者あがりの神官風情が世界を牛耳れるはずもございません。彼は我らが予想どおり自ら破滅し、魔王陛下が憂慮すべき敵が減ったのです。想定内でございました」


 だが、ビジネスマンの「仮面」を外さぬナイト798は、落ち着いた様子で殺気を受け流しながら言い逃れる。

 敵にも同じものを渡しながらも、自滅させるための餌と言い張る。


「余の殺気を受けて、尚も動じぬか。ふん! それだけでも見事。今回は、そのクソ度胸に免じて話を聞こうぞ。ただなぁ!」


 魔王は殺気じみた怒気を一旦修めるが、それでも不機嫌な表情のまま、ナイトに話を聞くと告げた。


「はぁぁ。助かったぁぁ」


 まだ腰を抜かしたままの魔神神官。

 床まで濡らした腰回りに気が付かず、命が助かった事に安堵していた。


「ただとは?」


 まだ余裕の表情なナイト789。

 魔王に対し、不遜にも尋ねる


「次、余を(たばか)り、己らが都合よく操ろうとすれば!」


 魔王がそう言い放つと、ナイト789が膝を着いているすぐ前。

 二十センチと離れぬ黒大理石の床に不可視の力が放たれ、円形の穴が突如発生した。


「ひぃぃ!」


「いかな次元遮断による空間湾曲で身を守ろうとも、オマエ如き消すのはたやすいことを覚えておくのだな!」


「は、はい。わ、私が次元を隔てる技術で守っている事を御理解なさるとは、さ、流石、魔王陛下でございます」


 さしものナイト789も、自らの周囲一メートルを覆う無敵なはずの次元シールドが破られた事に驚愕し、冷や汗をダラダラと流しながら情報開示を開始した。


「ま、まず魔王陛下の未来が変わりだしましたのには、とある女。『異界の魔女』の存在が原因でございます。本来であれば、魔王陛下は簡単に豊かな南の地。王国を手に入れ、そのまま大陸全土に進出なされるはずでした。魔女は異界からの知識を武器に、魔王陛下の行動を邪魔してきております」


「アミータの事か? あの小娘の事は、オマエに言われんでも知っておる。誰も知らぬ知識を駆使している事もな。既に幾度も暗殺の手を伸ばしたが、全て阻止された。オヌシらも手を焼いておるのか、珍しく直接に実力行使をしたらしいが見事に負けたものよのぉぉ、ふははは」


 ナイト789は、真っ青になりながらアミータの情報を話し出すが、その様な事は既に魔王の耳に入っている。

 それどころか、ナイトらが法王国でテロを行った事すら看破し、ナイトらを愚かだと嘲笑し、(さげす)む。


「ひぃぃ! ま、魔王陛下は法王国での事も……」


「知らぬでか! オマエらが、我らを天秤に掛けているのを知っておるのと同じくな。さあ、今後こそ役に立つ情報を吐け! 小娘を殺せる兵器を出しても良いぞ。なんなら、もう一度手勢を出してくれぬか?」


 恐怖のあまり、顔色が青を越え蒼白になりつつあるナイト789。

 魔王からの詰問を受け、気絶しそうになりながらも護身のタネになりそうな情報を吐いた。


「で、では、このような手は如何でしょうか?」

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