第7話(累計 第181話) ダムガール、自分以上の変人に驚く!
ゴーレム格納庫から、会議室に場を移しての会談。
「ティオ殿下、宜しければ、オレにも横に居られる令嬢をご紹介してくださいませんか?しかし、殿下も隅に置けないですね。まだまだお小さいと思っていましたのに。いつのまにか、このような美人のお姉さんと仲良くなられるとは……。姉さん女房は良いとも聞きますが……。これは陛下にも詳細をご報告をせねば!」
わたしの愛機タロス号から、半ば無理やりに引っ剥がされた残念青年が暴走する。
ゴーレムの各種機能に驚き感動。
その興奮が止まらないまま、その興味がわたしの方へ向かってくる。
……説明役のドゥーナちゃんに迫るようにしてなんでも聞きたがるから、とうとう頭にきた親方さんが娘の危機とばかりに、彼をタロス号から放り投げちゃったの。まだ正気だったから、ケガさせない様に落下防止マットの上に落としたんだけどね。
「アル先生! ボクはもう王子じゃないですし、小さくもないです! 落ち着いて話を聞いてください」
あまりな様子にティオさまはわたしの前に立ちはだかり、アルビヌスさまを抑える。
なんともはやな状況に、流石のわたしもツッコんでしまう。
「ティオさま。本当にこちらの方、大丈夫なのですか? 暴走残念娘のわたくしが言うのも何ですが……」
……変にお堅い老人とかよりは、まだいいんだけど。いい加減に落ち着かれても良い御歳ですわよね?
「アミちゃんがツッコミたくなる方がいらっしゃるとは。世界は実に広いんですね」
「アタイ、もうこの人嫌だぁ!」
「まったく、うちの娘を泣かすとは不届き千番! 坊ちゃんの客じゃなきゃ、ハンマーの錆にしてやるところだわい!」
「アミっちの周囲には、変人しか集まらないという説は、アタシも含めて当たってるかも? アミっちが一番の変人だものね」
流石のヨハナちゃんも呆れるし、ドゥーナちゃんは怖がり、親方はカンカン。
……ジュリちゃんが自虐気味言うのは良いけど。わたし、こんなに変人じゃないもん! ぷんぷん。
「おほん。では、わたくしから自己紹介を致しますわ。わたくし、ヴァデリア伯爵アヴェーナ家は長女、アミータと申します。アルビヌスさまにおかれましては、純白の新雪舞う美しき季節にお会いできましたことを感謝致します」
咳ばらいをし、注意をこちらに向けた後。
わたしは腰を落とし、正式なる貴族令嬢の膝折礼を完ぺきにこなす
……流石に最近は、ティオさまのフィアンセとして恥ずかしくない様に、お作法や礼儀なんかも勉強しているの。そういえば、本来カーテシーって中世じゃなくて近世以降の挨拶だったって、前世のオタク友達に教えてもらった事があるわ。
「これはどうもどうも。オレ如きに丁寧なごあいさつ、ありがとうございます、アミータさま。噂で聞きます『泥かぶり』な方とはとても思えませんね。ですが、この領内の開発やゴーレムを見ますに、タダモノで無いのは確か」
「あら? 既にわたくしの事をご存じなのですね? もしかして陛下にお聞きなさりましたか?」
……陛下から聞かなくても、わたしの噂は悪口含めて国内に結構広まっているものね。エリーザなんか、お姉ちゃん恥ずかしいって会うたんびに言うんだもん。悪かったわね、変なお姉ちゃんで!
「以前から妙な女の子が王国内で活動しているというのは聞いてました。王都大洪水、伯爵領の政変、王国北部大地震、魔族軍来襲、法王国大動乱。全てを少女、か弱き乙女の御身にてたった数年の間に解決なされたとなれば、もはや伝説級な救国の英雄。そして来年には成年ながら既に女騎士爵の称号持ち。それだけの重要人物なのですよ、貴女さまは?」
「う……。い、言われてみれば。わたくし、ここ数年間の大惨事には必ず首を突っ込んでいる様な……」
……言い返すことも出来ないよぉ。そりゃ、破滅フラグを叩き折るために色々やっちゃったけど、それで次のフラグが早回しで来ても困るんだからぁぁ。
「アミちゃん姫さま、今さらお気づきになられたんですか? もう既に姫さまの異形、おっほん。偉業は公爵領内はおろか、国内。いえ、近隣諸国まで広がっていますんですよ?」
「うむ。アミータ姫は俺が守るべき尊き乙女であり、尊敬すべき英雄です!」
ヨハナちゃんからは、毎度のツッコミ。
何故か警備役と称して会議室に入ってるソルくんは、わたしを褒め殺し。
「ということで、色々聞きたいことがありますので、宜しくお願いしますね。『泥かぶり』姫さま? そうそう、貴女さまの『前』話も陛下経由でお聞きしていますので、オレに全て教えて頂けると嬉しいです。異界の高度科学とやら、実に興味深いです!」
そして、ぐいと顔をわたしに近づけ、汚れたままな眼鏡越しの灰色な目で覗き込んでくるアルビヌスさま。
その勢いに、思わずわたしは「はい」と返事をしてしまった。
「ひゃい! あ、え!? ティオさまぁ。陛下には確かにわたくしの件はお話済みですが、何処まで話が広がっているんですかぁ!?」
「うーん。ボクも兄上が誰にお姉さんのことを知らせているのか、分からないです。まあ、信用置ける方以外にはお話してはいないでしょう。事実、アル先生なら大丈夫ですし」
この後、グイグイくるアルビナスさまに困りつつも、お話をしたわたしだった。
……これ、アルビヌスさまの今後を大きく変えちゃった気がするわ。まあ、わたしが歴史を大きく変えているから、今更だけど。




