第41話(累計 第173話) ダムガール、技術的話を進める。
「では、ここからは開発済みもしくは開発予定の技術について説明をお願い致します。では、まず今回使用したゴーレムについて、ドゥーナちゃん、説明をお願いします」
「はいです、アミータ姫さま。今回、遠征に使用しました機体は2モデル。公爵閣下の機体『イグニス号』。主に近接戦闘を重視した重装甲標準モデル。機動性を上げるために脚部に金属製ダッシュローラー、腰、及び肩部に魔導スラスターを装備しています。なお、構造は内骨格型、稼働フレームには強靭な魔法銀を使用しています」
会議の題目2つめ、今度は技術情報の一部開示。
一蓮托生になった仲間たちが今後利用できるよう、ある程度の情報を開示し、更に改良を重ねようとするのが今回の目的。
「質問がありますの、お姉さま」
「はい、エリーザ。どうぞですわ」
有人型ゴーレムについて概ね説明をした後、なんと妹のエリーザから質問が飛んできた。
「ゴーレムは土木作業や農作業にも使えるとお聞きしています。今後、新たなる領地改革に出来るだけ多くのゴーレムが欲しく思います。アミータお姉さま、どうすれば手に入れやすいかをご教授お願い致しますわ」
「なるほど。何処の地でも地震や戦乱からの復興にゴーレムは必要になります。この件は専門家からの回答をお願いしますね。ドゥーナちゃん、お願いします」
「はい。エリーザ姫さま、いつもお世話になっております。人型の有人ゴーレムですが、農作業や土木作業には余分な機能が数多くあります。確かに人型であれば多機能ではありますが、機能特化型の方が建造費も安い上に、専門である作業には効率的です。緊急時に軍事転用を考えない限り、特化型。ブルトーザーやトラクターなどをお勧めします」
エリーザが質問したのは、ゴーレムを如何に格安で導入するかという話。
確かにこの間まで貧乏伯爵家だった実家では、軍事用ゴーレムをある程度は持っていたものの、わたしが全て撃破。
大地震時には耐震化が進んでいたために被害が少なかったため、以降は他地域からの移民や流れ者が多数流入し、スラム街が一時生まれたとも聞く。
……公爵領でも、もう一歩でスラム街が生まれそうになってたの。幸いと言っていいか分からないけど、各町では魔族も共存していたから、魔族を嫌う人々が来なかったという幸運はあったそうだけど。
「では、次は工業プラントについて。親方、宜しくお願い致します」
「おう、嬢ちゃん姫さま。工業プラントだが、コンクリート、製鉄、水力・火力発電。そして化学プラントは全開運転してるぜ。もちろん嬢ちゃんからは口が酸っぱくなるほど、環境破壊に注意しろって言われてるから、排水や排ガスなんかには気を付けてるぞ」
「それは何よりです。わたくしが目指す巨大ダム建設には、高度な技術、多くの資材と労働者が必要です。水を多くたたえたダムは発電、治水、そして飲料水や工業用水を人々に供給します。是非とも今のペースでの開発をお願い致しますわ」
「アミちゃん、最後は趣味だし過ぎですぅ」
ヨハナちゃんには毎度突っ込まれてしまうが、わたしの望み。
巨大ダム建設まで、もう少しまで来ている。
なれば、少々趣味を出してもいいのではないか。
「お、おほん。では、今度は鉱山部門。こちらも親方、宜しくですわ」
「おお。鉱山だが、最近は嬢ちゃんが色んな素材を要求するんで、色んなところを掘ってるぜ。ただ、嬢ちゃんが欲しがる『石油』ってのには、まだ行き当たらねぇ。噂じゃあ、魔族国家内にタールの池があったそうだ。そっちに期待だが、魔王どのを仕留めなきゃ採掘は無理だな」
石炭や鉄鉱石、石灰にマンガン、亜鉛、鉛に錫などなど。
はてはタングステン、モリブデン、ニッケルにレアメタル。
魔族国家との国境地帯の産地から、多くの地下資源が採掘できるので、幸い発展がうまく進んでいる。
石油が手に入らないのは残念だが、魔族国家にありそうなのは良い情報だ。
「報告、ありがとう存じます。最後に兵器開発。ドゥーナちゃん、どうぞ」
「武器関係、小銃や大砲などですが、後込め型かつ雷管使用型の開発に成功しました。化学関係はジュリアーナさまが大活躍成されていて、多くの新兵器が生まれてます」
「えへへ。ワタシ、出番少ないので裏で頑張ってましたぁ」
化学分野のエキスパート、ジュリちゃん。
インドア派なために遠征とか戦闘とは縁遠いのだが、コツコツと研究を重ねており、最近の兵器が威力絶大なのは、彼女が開発した火薬のおかげ。
また、化学製品も沢山作ってくれる縁の下の力持ちだ。
「ジュリちゃん。いつも無理言ってごめん。ありがとうね」
わたしは、最近お話出来ていなかったジュリちゃんに謝る。
お願いばかりしていて、あまり彼女に感謝もせず労ってもいなかったから。
「いいよ、アミっち。ワタシは好きでやっているし、資金に機材、資材使い放題で楽しくやってるよ」
「本当にありがとう。これからも宜しくね」
本当にわたしは良い友人に恵まれた。
そう思ってしまった。
「ここまで黙って聞いてしまったが、オレが聞いてて良かったのかよ? この情報を魔王に流すだけで、オレは褒められてしまうぜ」
会議も終わりに近づいていた頃、グリシュさまがにやりと渋い笑みを浮かべ、呟く。
本気で言っているとは決して思わないが、情報を魔王に売ることも可能だと。
「お父ちゃん! こんな時に何をいっているの!? アミータお姉さまを困らせる様な事を言わないでよ」
「リナちゃん、怒っちゃだめよ。グリシュさまが本当に裏切って魔王に情報を流すのなら黙ってやりますわ。さて、そのあたりのお話をこれから致しましょう。わたくし達には法王国、魔族国家、そして謎の第三勢力が敵として存在します」
わたしは、最後の話題。
今後、敵集団と、どう立ち向かうかを話し出した。




