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その後の二人のお話

 日が暮れる前にアルルは息を引き取りました。残されたカイや家族が泣く前で、ベルはアルルの額にキスをしました。するとアルルの額からアルルの魂が抜き出て、ベルと一緒に天国まで登って行きました。


「ここは……」

「約束の地だよ。生前善行を積んだ死者だけが住む世界。何の苦しみもない、平和で穏やかな世界」


「そんなところがあったのね……」


 アルルはベルの隣で下を見下ろしました。アルルが見たいと願えば、地上の人々を見る事ができました。産まれてから死ぬまで過ごしてきた懐かしい村も。愛するカイの戦う姿も。


 人々を救う為に必死に戦うカイの姿に、アルルは深く感動しました。これだけ皆のために戦える立派な人を夫に出来て良かったと。

 今まではただ待つだけだったが、どれほどカイが困難を乗り越えてきたかよくわかりました。カイは一生懸命アルルの元へ帰ってくる約束を守ってくれたのだ。

 死んでなお夫への愛する思いはますばかりだった。カイに会いたい。会ってもっと話したい。

 

 その後長い冒険の果てに、カイは邪神の亡霊と刺し違え、命尽き果てたました。死んだカイの元までベルが迎えに行きました。ベルと一緒にカイの魂が天国まで登ってくる。アルルは嬉しくて、やってきたばかりのカイに抱きついた……。


「アルル! ここは……」

「死者の住む世界ですって」


 不思議な事にこの世界では、二人の姿は結婚したあの日のままでした。若返った二人をベルは優しく見守っています。


「これからはずっと一緒にいられるのよ。ここで……貴方を愛しています」

「俺もアルルを愛している。世界で一番。もう俺は皆の勇者じゃない。アルル一人のための勇者だ」


 カイは微笑みながらアルルをキツく抱きしめました。

 もう離れない……そう誓いながら。


 伝説の勇者とその妻は、いつまでも約束の地で幸せにすごしましたとさ。

 めでたしめでたし。


終わり

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