第4話 身体測定だけどいいじゃない!!
今後は不定期更新となります
「ん……」
まどろみの中、ぼんやりと考える。
昨日ボク、ベッドに入ったっけ……? お姉ちゃんの部屋でマンガ読んでたのは思い出せるけど……お姉ちゃんが運んでくれたのかな……
むにゅり
……? はて、この柔らかいものはなんだろう? どこかで触ったことがあるような……それがふたつある。
柔らかさをもっと感じたくて、顔を埋めてみる。やーらかくて、なんかいい匂いがして落ち着く……
「んぁ……」
……なに今の色っぽい声。お姉ちゃんの声?
パッと目を開ける。
「―――!?」
なぜかお姉ちゃんがボクと同じベッドで寝てる。このダイレクトに伝わる感触から裸であることが分かる。
ええぇぇぇ!? なんでこんな展開になってるの!? ボ、ボクはいったいどうしたら……
1.二度寝
2.起こさないようにすり抜ける
3.起こす
4.このまま感触を楽しむ
この選択肢から選ぶべきは……
「……(ふにふに)」
……欲望には勝てませんでした。
「~~~♪」
あー、気持ちいいなー
「……まあ、あたしとしてはいつまでもそうしてていいんだが、そろそろ起きなきゃヤバくないか?」
ビクゥッ!!
「……お、お姉ちゃん?」
「おう」
「い、いつから……?」
「お前があたしの胸に顔を埋めたあたりだな」
「…………」
「…………」
「…………」
「……お前けっこうエロいな」
「うわぁーん!!」
だって男の子だもん!! えっちなことに興味津々だもん!! おっぱい大好きだもん!!
「落ち着け。あたしは別にお前がエロくてもかまわないぞ」
「う~~~。慰めになってないよ……だいたい、どうしてお姉ちゃんがボクの部屋にいるの? しかも裸で」
「周りをよく見ろ。ここはあたしの部屋だ」
「えっ?」
部屋を見回してみる。確かにボクの部屋じゃない。昨日、寝ぼけてお姉ちゃんのベッドで寝ちゃったのかな?
「じゃあなんで裸なの?」
「お前が驚くと思って」
やめてよ。
「じゃあボク出てくから……ってストップ!! ボクが出てくまで布団から出ないで!!」
「へいへい(変なところで純粋だなこいつ。いまさらだろ)。あ、今日あたし朝メシいらないから」
「身体測定があるからってダメだよ。ちゃんと食べないと」
そう言ってボクはそそくさと部屋を出る。いつまでもお姉ちゃんの裸を見るのは眼福……じゃなかった目に毒だからね。
- ☆ - ☆ - ☆ -
いよいよ身体測定の時間となった。男女に別れて体操着に着替える。
「身体測定終わった後、体力測定するみたいだな」
「やだなー。ボク、運動苦手だもん」
「ははは。ま、成るようになれだな」
そんなことを話しながら着替えていく。
「うおおお。な、なぜだ……男の着替えのはずなのに、めっちゃドキドキする……」
「お、おまえもなのか……」
「天道って本当に男なのか……?」
ふと、クラス中から視線を感じた。なんか皆がこっちを見ている。
「うにゃぁ……なんで皆見るの? ボク、恥ずかしいよ……」
脱いだ服を使い、胸元を隠すように持ち上げる。
「「「「「うおおおおおっ!!」」」」」
「うにゃあっ!?」
「興奮すんなよおまえら……」
その後、なぜかボクはトイレで着替えることになった。
- ☆ - ☆ - ☆ -
で、保健室に行って測り終える。
「終わったか、優希」
「おっせーぞ」
「あ、二人とも待っててくれたんだ」
ボクは保健委員だからクラス全員の測定の手伝いをしなければならない。二人を待たせたのは悪かったかな。
「で、どうだった?」
「ボクね、去年より身長伸びたんだよ!!」
ふふんと胸を張る。男子どころか女子の平均よりも低い身長はボクのコンプレックスだったりする。
「へぇ、どれくらい?」
「えっとね、1㎝」
「……あー、そうか」
む、バカにしてるね。
「2桁目が変わる1㎝は大きいんだよ!!」
「……そうかそうか」
なんで慈愛に満ちた目で頭撫でるの!!
「む~~~」
「まぁまぁむくれるな(こいつの髪、なんでこんなサラサラなんだ……?)」
「にしても、なんで身長欲しいんだよ? 優希はそのままでかわいいだろ。むしろ、そのままでいてくれ」
カズくんケンカ売ってるの?
「なんでって……お姉ちゃんと並んだ時に釣り合わないし、なにより……」
「なにより?」
「お姉ちゃんとイチャイチャするのにいろいろと不便だし……って何言わせるの恥ずかしい!!」
思わず顔を手で覆ってしまう。
「……なぁ、マサ」
「……なんだ」
「……バカップルって一人でも甘い空気つくんのか?」
「……俺に聞くな」
「ていうか優希、おまえら姉弟だろ。いいのかよ」
「むー。ボク達は姉弟である前に男と女なんだよ。惹かれあってもしかたないよ!!」
「あー、そういうもんか?」
「納得するなバカ。優希も、おまえらは男と女である前に姉弟だろ。逆にするな」
「もー、そんな細かいこと気にしないでよ‼」
「細かくねぇよ‼」
「貴方達、うるさいですわよ!!」
突如、凛とした声が響く。
「あ、神代さん」
そこにいたのは体操着姿の神代さん。眼鏡をクイッと上げてボク達に抗議する。
「身体測定が終わったのなら体力測定に向かってください。ここに居られては邪魔です」
そう言って胸の前で腕を組む神代さん。その動作って胸が強調されるよね……お姉ちゃんの方が大きいかな。
「聞いてますの?」
「き、聞いてるよ!! 胸なんか見てないよ!!」
「はい?」
しまった。ついうっかり。
「とにかく、さっさと体力測定に向かってください。それと、騒がしくしないように」
「はーい。ごめんなさい」
「分かればよいのです。では、わたくしはこれで」
そう言って保健室に入っていく神代さん。
「怒られちゃったからさっさと行こうか」
「そうだな」
「おっけー」
ボク達は体力測定の行われる体育館を目指して歩き出した。
~一方その頃~
「なーんか騒がしいな」
優希の声が聞こえたような……ま、いっか。
身体測定のために体操着を脱ぐ。女子は男子と違って正確に測るために脱ぐ必要があるんだ。
「ふわぁ~、栗栖さんの胸、おっきいですぅ」
紗彩があたしの胸を見ながら―――いや、凝視しながら言う。
「あー、そうだなぁ~」
計測しながら聞き流す。……む、また胸がデカくなってやがる。ブラ買い直さなきゃいけねぇかな~
「栗栖さんが羨ましいです。紗彩なんてペッタンコです」
「いや、大事なのはバランスじゃね? 紗彩であたし並とか違和感ありまくりだろ」
「う~ん、バランスですか……」
「ほら、あたしだって身長に対して胸がデカいから全体としては微妙じゃねぇか?」
「それでもないよりはいい気がするです」
そーゆーもんかなぁ?
「ちょっと、終わったならさっさとどきなさいよっ!!」
「なにイライラしてんだよ。……ああ」
美奈を見て、正確には美奈の胸を見て、
「おまえ、貧乳だもんなぁ」
「ぶっ殺すわよ巨乳っ!!」
いきなりぶち切れやがった。やれやれ、貧乳は短気でいかんな。
「まぁまぁ落ち着け」
「うっさい!! 胸なんてただの脂肪の塊よ!! あったって邪魔なだけなんだから!!」
「まぁそうだな。肩こるし、合うブラ少ないし、ベルトは締めにくいし、いいことはあんまないな」
「なんでベルトが締めにくいです?」
「胸が邪魔で手元が見にくいんだ」
「私だってそんなことで悩んでみたいわよ!!」
いらないのか欲しいのかはっきりしろよ……
「ああもうその乳よこしなさい!!」
欲しいのか。
「でも巨乳って男どもからいやらしい目で見られるぞ。……ま、優希は巨乳好きだから欠点を帳消しにできるが」
「このタイミングで惚気やがったっ……!!」
ちなみに優希の嗜好はあいつがこっそり買っていたエロ本で調査した。あいつはバレてないと思っているが。
「でもまぁ貧乳でもいいじゃないか。よく言うだろ、『貧乳はステータスだ‼ 希少価値だ‼』って」
「うっさいわよ!! どうせ私はAよ!! 諦めろのAよ!! 一生貧乳でいろってことなのよ!!」
いやそんな訳ないだろ。
「Dなんて所詮デブのDなんだから!! うわぁぁぁぁぁん!!」
泣きながら保健室を走り去る美奈。ていうか、
「あたし、Eなんだけど」
「……それは美奈さんには言わないほうがいいですぅ」
話はまだ続きます。次は体力測定ですが……まだ話が浮かんでません(T . T)




