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姉弟だけどいいじゃない!!  作者: 毒の花


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第37話 文化祭だけどいいじゃない!! 後編

書くのが久々で文体とか不安になりますね。

文化祭2日目。ボク達の屋台は昨日よりも盛況な気がする。お客さんが増えて、皆が写真をパシャパシャと―――


「……なんでこんなことに」


ボクは昨日と同じ服、つまり女装コンテストの時と同じ衣装を着ている。お客さんたちはボクの写真を撮るついでにチョコバナナを買っていってる。ボクがメインになっちゃってるじゃない。


「にしてもすごい人気だな。さすがミスコン3位」


「別に3位じゃないし!!」


本当に、なんであんなことになったのやら……


 - ★ - ★ - ★ -


朝。登校したら校門近くに大きな看板があった。ミスコンの結果発表がされているみたい。1位から3位までの人が写真つきで紹介されてる。それ以下は名前だけみたい。


「ふーん、1位は3年の先輩か。289票も入ってる」


「あ、お姉ちゃんの名前あったよ。6位だって」


「マジで? ……あぁホントだ。雅と同着か」


「あ」


「どうした?」


「裏に注釈だって」


よく見ると裏に回り込めるだけのスペースが空いてる。でもなんで注釈に裏を使うんだろう? 表には入らなかったのかな。


「え゛っ」


―――村井真琴さんへの856票、仲上浩巳さんへの769票、天道優希さんへの647票は協議の結果、無効となりました。


ボクらの写真(女装ver)つきでそんなことが書いてあった。


「な、な、なななな、」


「ほー、これで言うとおまえって3位じゃん」


「そんなバカなぁーーーー!!」


 - ★ - ★ - ★ -


というわけで、あれを見た皆から「これを利用しない手はないよ!!」と言われて女装で客引きやってます……確かに、確かに売り上げは上がってるみたいだけど、なんだろう、この気持ち。


「うぅ、こんなはずじゃなかったのに」


「天道くーん、こっち向いてー」


「目線こちらにお願いします」


「はーい♪」


「ノリノリじゃねぇか」


そんなことないもん!!


「流行ってるわね~。ていうか、本当に女として嫉妬しちゃうわね」


「かわいいです。優希さん、本当に男の子です?」


「むー、失敬な。どう見ても男でしょう?」


「その格好で……?」


どうしよう、若干否定しづらい。それはともかく、


「3人とも、なんでここに? お店は?」


「暇になっちまったからな」


「食品取扱届だっけ? それ出さないでラーメン出してるのがバレて出店停止になっちゃったのよ」


「残念です」


「なんで準備の段階で気づかなかったの?」


あぁ、だから今日はお姉ちゃんが巫女服を着てないんだ。ちょっと残念。


「あー、面倒だから着なかったんだけど、やっぱ着ようか? おまえ巫女さん萌えだし」


「それは無理です。出店停止になったときに衣装は返却したです」


「あ、そっか」


「そんなときは私にお任せ!!」


何処からともなく井上先輩が現れた!! もはや気配を感じる暇がなかったけど、あなた人間ですか?


「あ、先輩。巫女服でも貸してくれるんですか?」


「ふふふ、残念ながら巫女服はないけど、他の物を貸してあげるわ」


「そこはかとなく心配だけど……まぁいいか。そんじゃ、ありがたく借りてきます」


お姉ちゃんは衣装を受け取るとどこかへ行く。トイレかどこかで着替えるのかな?


そして数分後。そこには黒の燕尾服を身にまとったお姉ちゃんの姿が。


「どことなく男装っぽいな……なんでこれを?」


「お嬢様には執事でしょ!!」


納得できるようなできないような。でもお姉ちゃんに似合ってるなぁ。


「お姉ちゃんカッコいいよ」


「そ、そうか? ならいいか」


「まぁ……わたくしも何か着たいですね」


「そんなあなたにはこれを貸してあげましょう」


井上先輩は再びどこからともなく衣装を取り出すと雅さんに渡した。数分後、今度はメイド服姿の雅さんが登場。


「今度はメイドさんですか」


「執事がいるならメイドも欲しくなったのよ。どう? 2人ともどこか違和感とか無い?」


「んー、特には。強いて言えば胸元がきついですね」


「わたくしもです」


「ギリィッ!!」


ひぃっ、美奈さんが怖い!!


「まぁ特に異常がないならいいわ。はい、チーズ」


パシャリと写真を撮られる。


「ん~、やっぱり私の目に狂いはなかったわね~。優希たん写真集にまた1ついいコレクションが加わったわ~」


なんか今聞き捨てならない言葉が聞こえたような。


「せっかくだし、このまま回るか」


「いいけど……ボクまだ居なきゃいけないんじゃ」


「あぁ、それなら別にいいぞ。優希のおかげで在庫も少なくなってきてるしな。俺がフォローしとくから行ってこい」


「本当? ありがとう」


マサくんのおかげで回れることに。どこに行こうかな~


「……ていうか、あの格好でいいのかよ(小声)」


マサくんが何かつぶやいたような気がしたけど、はて?


 - ☆ - ☆ - ☆ -


皆に外出の許可を得たボクはお姉ちゃんと雅さんの3人で回ることに。なんか、最近この3人でいることが増えてきたような気がするなぁ。


で、ゴスロリと男装執事とメイドは目立つらしく、勧誘によって美術部の人に教室に連れ込まれたわけなんだけど、


「芸術は爆発だぁー!! というわけで、爆弾解体ゲーム!!」


美術部だよね? 深く突っ込まない方がいいのかな?


「爆弾解体って、あたしらそんな技能ねぇぞ」


「大丈夫です。コードを選んで切断してタイマーを止めるだけですから。タイマーが0になるかハズレを切って音が鳴るかしたら失敗です」


「それくらいならできそうですね」


目の前にタイマー付きの箱のようなものが置かれる。これが爆弾の代わりかな。


「うまく解体出来たら賞品を上げますよ。がんばってくださいね」


「じゃ、さっそく」


パカッと箱を開ける。ドラマとかみたいに赤か青のコードを選べってことかな。まぁゲームなんだし5、6本くらいの量―――


もっさり


「……え、なにこのコードの束」


「いったい何本あんだよ」


「全部で100本くらいですかね~」


なんでこんな量にしたんだ。


「この量はさすがに……」


「よし、優希、野生の勘で何とかしろ」


「無茶言わないでよ!!」


それにボク、野生じゃなくて家猫だし。


「まぁ、勘で何とかするしかないよね」


というわけで、勘で切っていった結果、


「なんとか2本まで減らせたね」


「野生の勘すげぇ!!」


残ったのはマゼンタとサファイアブルーの2本。ご丁寧にも全てのコードの色が違った。色の見分けがつく人はどれだけいるんだろうか。


「どっちにしようか」


「ここまでくるともうお前の直感で決めてもいいんじゃないか?」


「ですね。優希さん、お願いします」


「しょうがないなー」


直感を使うときは余計なことを考えずにやっちゃったほうがいいよね。というわけでサファイアブルーのコードを切る。……あ、タイマーが止まった。


「おぉー、解体成功~」


「やったぁ」


「よっしゃ。よくやった」


「さすがです」


それにしてもよく勘でここまで出来たな~。ゲームとかだったら『野生の勘』に目覚めた!! とか出てくるくらい勘に頼ったよね。


―――優希は『野生の勘』に目覚めた!!


「なに今の!?」


「どうした?」


「あー……うん、なんでもない」


気のせいだよね、うん。


「解体成功の景品でーす」


美術部の人が景品を持ってきた。わーい、なんだろ?


「部員の描いた作品、『欲望に苛まれながらも希望に向かい手を取り合う2人』をプレゼントします」


「わ、わーい、『欲望に苛まれながらも希望に向かい手を取り合う2人』だ~……」


渡されたのはなんだかよくわからない抽象画。なにこれすごい反応に困る。


「ま、まぁ将来高値が付くんじゃないか?」


「ず、ずいぶんと前衛的ですがよろしいのでは?」


視線そらさずに言ってよ。


 - ☆ - ☆ - ☆ -


その後も写真部で写真を撮らせてくれと頼まれたり、化学部の実験に巻き込まれたり、喫茶店でお茶したりといろいろと回っていった。楽しい時間はあっという間に過ぎていき、気が付けば―――


『これにて、文化祭を終了いたします。生徒の皆さんは、後片付けにはいってください』


文化祭の終わりの放送が入った。


「もう終わりかぁ」


「そのようですね。屋台に戻って片付けますか」


「あたしも教室に戻るかな」


ボクと雅さんは屋台へ、お姉ちゃんは教室へ戻ることとなった。


「文化祭、楽しかったですね」


「そうだね。皆で協力して屋台作ったり、展示回ったり楽しかったね」


「優希さんはミスコンで3位になりましたね。結果は無効でしたけど」


「それは忘れてほしいなぁ」


「その姿、忘れられそうにありませんわ」


「むむむ」


本当に、楽しかったなぁ。終わっちゃうんだ……なんだか、寂しい気がするなぁ。お祭りの後って不思議な寂しさがあるよね。


「優希さん」


「なに?」


「また来年もこうして楽しめるといいですね」


「……うん、そうだね」


また来年も、こうして楽しめるといいな。


……でも、女装コンテストは勘弁してほしいかも。




今後も不定期更新ですが気長にお願いします。

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