第34話 ダイエットだけどいいじゃない!!
ふぅ、2か月以内に更新できてよかったです。コミケとの二足の草鞋は辛いものがありますね。
「ぎゃああああぁぁぁぁぁ」
ごく普通の平穏な日々、いつもと変わらない日常が続くと思っていたら突如として悲鳴が響き渡った。この声、お姉ちゃん? お風呂に行ったはずだよね。
「ゆ、優希ぃぃぃぃ!!」
「どうしたの騒がし―――きゃあぁぁぁぁぁ!!」
いきなりお姉ちゃんが飛び出してきた。しかも全裸で。思わず生唾を飲み込む。うっ、鼻血が……
「うぅ、ティッシュティッシュ……もう、いきなりどうしたの?」
「ふ……」
「ふ?」
「太った……!!」
「……え、それだけ?」
「それだけとはなんだ!! 重要なことだろうが!!」
「別に背が伸びただけじゃないの?」
「身長は変わってなかった!!」
あ、測ったんだ。
「最近メシがうまいからつい食べ過ぎちまった……くそっ」
秋は食べ物がおいしいからねぇ。
「そうだよ優希のメシがうますぎるのが悪い!!」
「えー、ちゃんとカロリー計算してるよ」
「うまいからおかわりしちまうんだろうが!!」
それは自己責任なんじゃ……
「決めた……あたし、ダイエットする!!」
「別に必要ないんじゃないかな」
スタイルは十分いいと思うし。それに成長期なんだからあんまりダイエットはしないほうがいいって聞いたことある。
「うるせえ!! もう決めたんだ!!」
「それはいいけど、いいかげん服着てよ」
ちょっと貧血気味になってきちゃったよ……
~翌朝~
「お姉ちゃんどこ行ったんだろ?」
朝ご飯を作っていたらお姉ちゃんがいなかった。どこ行ったんだろう? もうすぐ朝ご飯出来るのに。
「ただいまー」
「あ、お姉ちゃん。どこ行ってたの?」
「ちょっと近所を走ってきた。カロリー消費しないとな」
「そうなんだ。はい、朝ご飯出来たよ」
「おう。……あ、こんなにいらない。減らしてくれ」
「え、でもちゃんと食べないと体に悪いよ」
「食事制限もやるべきだろ。いいから減らしてくれ」
しょうがないので減らす。うーん、大丈夫かなぁ。
- ☆ - ☆ - ☆ -
お姉ちゃんはお昼ご飯も減らしている。
「やっぱりもうちょっと食べた方がいいんじゃない?」
「いらねーよ」
「栗栖さんダイエットです?」
「まーな。ちょっと増えちまってな」
「駄目ですよ、ちゃんと体の管理はしないと」
「おまえこそ最近丸くなってきてねぇか?」
お姉ちゃんの言葉に雅さんは一瞬ぴたりと止まる。が、何事もなかったかのように話を続けた。
「なんのことでしょうか。ちゃんと食事の管理はしていますよ。食べ過ぎないように腹八分でやめたり、カロリーの高いものを食べたら次の食事は減らしたり」
「んじゃ体重計乗ってみろよ。確か保健室にあったよな」
「必要ありません。それより、皆さんはどうなのですか?」
ぴしゃりと答える雅さん。でも露骨に矛先を変えたような。
「私は特に気にしないかな。ほら、陸上部だし運動してるから」
「紗彩は気になるです。ちょっと増えたです。でも、もともと小食なので揺れ幅も少ないです」
「……冬に向けて体重は増えてく……でも、春になったら戻る」
「お前は冬眠でもするのか?」
うーん、やっぱり女の子たちって体重気にするのかな。
「優希はいいよな。いくら食っても太んねぇから」
「そういえば、優希さんってちょくちょく間食していますけど全然変わりませんね」
「なによその女の敵みたいな体質」
「羨ましいです」
「……全女性に喧嘩売ってる」
「そこまで言われちゃうの!?」
皆がなんか怖いよ……
「別に食事くらい好きに食えばいいだろ」
マサくんの言葉に女性陣がじろっと睨む。その視線にマサくんはタジタジになる。自分の失言を悟ったようだ。
「……この話題、俺達はアウェーだな」
「仕方ないよ……」
「オレはぽっちゃりしてる娘も好きだけどなぁ」
はぁ……と男性陣はため息をつくしかなかった。
- ☆ - ☆ - ☆ -
そんなこんなで数日たったある日。
「……?」
「どうした優希」
「なんだかざわざわする」
「は?」
なんだろう……よくわからないけど嫌な予感がする。なんだか落ち着かないというかなんというか……
―――はっ!!
「あ、おい優希」
衝動に導かれるようにボクは教室を飛び出す。どこに行けばいいのかわからないはずなのに、不思議と足が動く。もう誰もボクを止めることはできない!!
「て、天童君、今授業中ですよ!?」
乾先生でも止めることはできない!!
…………
ごめんなさい、後で謝ります。
- ☆ - ☆ - ☆ -
衝動のままにやってきたのは保健室。ガラッと勢いよく扉を開ける。
「ん? 誰―――ってなんでアンタがここにいんのよ!?」
「あ、美奈さん」
「優希さん? どうしてここにいるです?」
中にいたのは美奈さんと紗彩さんだった。
「ちょっと嫌な予感がしたから来たんだけど」
「何なのよその直感。まぁいいわ」
美奈さんがシャッとカーテンを開ける。ベッドで寝ていたのは……お姉ちゃんだった。
「お、お姉ちゃん!?」
「……ん? なんで優希がここに」
「大丈夫なの!? どこか体が悪かったりしない!?」
「あー、ちょっとボーっとすっけど平気だ」
「体育の時に倒れちゃったのよ。先生曰く、ちゃんと食べてないから体力が落ちたんじゃないかって」
「無理なダイエットはやめたほうがいいです」
「面目ねぇ……結局体重変わんねぇし」
「心配したんだよ……」
「ごめん」
お姉ちゃんがギュッと抱きしめて頭を撫でてくる。それだけで落ち着いてくる。ふぅ、何ともなくてよか―――
…………
……あれ?
「お姉ちゃん、なんか前と違う」
「は?」
「ギュッてされた時の感触が違うっていうか……」
なんだろう?
「もしかして、栗栖さんは胸が大きくなったです?」
「は?」
「ちょっと測ってみるです」
紗彩さんはボクを押し出すとカーテンをシャッと閉める。美奈さんと2人でカーテンの外にいることに。
「まさか胸が大きくなったなんてありきたりなオチじゃないでしょうね」
「さ、さあ~? どうなんだろうね」
な、なんか美奈さんが怖い……
『わぁ~、相変わらず大きいですぅ』
『で、いくつだった―――お、マジで大きくなったんだな。ダイエットとか必要ねーじゃん』
「へぇ……本当にありきたりだったわねぇ」
「ひぃぃぃぃっ」
誰か助けてーーー!!
余談だけど、この後先生にものすごく怒られた。




