第31話 宿題だけどいいじゃない!!
ようやく投稿できました。今年中に夏休み編が終わってよかったです。
夏休みといえば楽しく思い出を作ることも大切だけど、楽しくないものもある。それが夏休みの宿題だ。ボクとお姉ちゃんも残った宿題を片づけるべく、2人そろって居間でやっている。が、
「あぢ~~~……」
お姉ちゃんが机に突っ伏す。確かに、もうすぐ9月になるのにまだまだ暑いよね。これも地球温暖化の影響ってやつかな。
「お姉ちゃん、暑いのはわかるけど、宿題はちゃんとやりなよ。このままじゃ終わらないよ?」
「暑いもんは暑いんだよ」
お姉ちゃんが顔だけ上げて応える。そんな体勢のせいか、机に乗った胸が強調される。うわぁ……深い……
「どこ見てんだよ」
「べ、べべべべつにぃぃぃぃ!?」
「まぁ、別にいくらでも見ていいけど。にしても、なんで冷房ついてねぇんだよ」
「窓開いてるよ?」
「んなもん意味ねぇよ!! 冷房つけろよ冷房!!」
え~~~、ボク、冷房苦手なんだけどな……
「しょうがないなぁ」
「お、ようやくこの灼熱地獄から解放されんのか」
カチッ―――ブゥーーーン
「扇風機かよ!!」
「ほら、これで涼しいでしょ?」
「涼しくねぇよ!! エアコンつけろ!!」
「えー」
「あーもうっ、あたしがつける!!」
お姉ちゃんはリモコンを探し出すとピッとエアコンを作動させる。
「ふぅ……これでマシになるな」
「むぅ」
「まぁ、猫が冷房苦手なのは知ってるけど、これ以上はあたしが死ぬ。……そういや、猫といえば最近ネロになってないよな」
「……毛皮って暑い」
「おまえも暑いんじゃねぇか!!」
冬はあったかそうだけどね。
「でも冷房つけるとちょっと寒いかも」
「じゃあネロになったらどうだ? 毛皮で相殺されんじゃね?」
それもそうかとネロに変身する。あ、このままじゃ勉強できないけど……ま、いっか。
「にゃーん」
「んじゃ、あたしは宿題の続きするな」
「うにゃ」
邪魔しないように隅にいようっと。この姿になるとなぜか眠くなるし。
しばらく、カリカリとシャーペンの音だけが響く。
…………
そういえば、もうすぐ毛が生え換わるのかな。なんだか身体がかゆいかも。ブラッシングとかしてほしいなぁ。
「なぁネロ、ここの問題がわかんね―――」
「にゃ?」
「…………」
「…………」
「猫のままじゃ話せねぇ……!!」
しょうがないなと優希に戻る。
「くっ、策士策に溺れるとはこのことか」
「うん、違うと思うよ。で、何がわからないの?」
「ここなんだけど」
「えーと、」
問題を見て、やり方を教えていく。
「あー、そういうことか」
「わかった?」
「おう、サンキュー。……そういや、おまえのそれ宿題? そんなんあったっけ?」
「これ? 宿題じゃないよ」
「え、宿題は?」
「夏休み始まって二週間ぐらいで終わったけど」
「この優等生が!! 写させろ!!」
「いくらお姉ちゃんの頼みでも、それはダメかなぁ」
宿題は自分でやってこそ意味があるんだよ。
「ちぇーっ」
「ほら、わからないところは教えてあげるから頑張ろう?」
「わかったよ」
再びカリカリとシャーペンを動かしていく。
「……なぁ優希」
「なに?」
「あたしのこと好きか?」
「もちろん」
「じゃあ写させろ」
「好きな人のためにならないことはやらないの」
「ちっ」
- ☆ - ☆ - ☆ -
「ふぅ……ちょっと飽きたなぁ」
さすがにずっと勉強してると飽きてくるなぁ。あ、お姉ちゃん、もうちょっとで終わるのかな。
「ね、ちょっとゲームやっていい? 音量小さくするから」
「ん? あー、いいぞ。あたしに付き合わせるのも悪いしな」
許しが出たのでさっそくテレビとゲーム機を繋げて起動させる。やるのは最近買ったRPGだ。
「……あれ、おまえまだそこだったのか?」
お姉ちゃんがテレビをチラ見して言う。お姉ちゃんもこのゲームをやっているからわかるのだ。
「うん。お姉ちゃんは結構進んでるんだね」
「まーな。おまえはサブクエストをじっくりやってるからメインストーリーが進んでねぇんだよ」
「お姉ちゃんはメインストーリーを進めすぎて後でサブクエストがやれなくなって泣くことが多いよね」
ゲームの進め方って性格でるよね。
ピロピロリ~ン♪
あ、レベルが上がった。
ピロピロリ~ン♪
ピロピロリ~ン♪
ピロピロリ~ン♪
ピロピロリ~ン♪
「どんだけレベル上げてんだよ!! しかもさっきと画面が変わってないし!!」
「ここのボスって火属性の攻撃してくるからもうちょっとレベル上げて火耐性のスキルをゲットしたいの」
「レベルなら十分上がってるじゃねぇか……そんだけありゃ勝てるだろ」
「装備とレベルはきちんと準備しないと」
「……おまえ、全体完全回復とかもったいなくて使えないタイプだろ。そんで結局使わずにクリアするんだろ」
まぁ否定はしないけど……
ピンポーン
「あ、誰だろう?」
一旦ポーズ画面にして玄関へ向かう。
「はーい。あ、雅さん」
「こんにちは。ちょっと暇ができたので遊びに来ました」
「そうなの? まぁ、どうぞ」
「失礼します。あ、これはお土産のアイスです」
「わぁ、ありがとう。後で一緒に食べよう」
雅さんを連れだってリビングへ行く。お姉ちゃんの宿題はまだ終わらないみたい。
「おう、誰だった―――って、おまえかよ」
「なんですかその反応は。別にわたくしが遊びに来てもいいでしょう?」
「まぁいいけどよ……そういやおまえ、宿題終わった?」
「宿題ですか? それなら一週間ほどで終わりましたけど」
「この優等生どもが!!」
「しゃべってないで宿題やりなよ……」
お姉ちゃんに宿題を再開させ、ボクと雅さんはゲームをすることにする。雅さんは見てるだけだけど。
「見てるだけでいいの? 対戦ゲームとかあるよ?」
「大丈夫です。今は優希さんのやりたいことをなさってください」
「そう? じゃあキリのいいとこまで進めようかな。その後は対戦ゲームにしよ? お姉ちゃんも早く終わらせてね」
「はい」
「おう」
キリのいいところか~、とりあえず、ボスを倒すとこまでやっとこうかな。
「ようし」
ストーリーを進めてボスと戦う。むむむ、なかなか強いけど、火耐性を持たせたボクのキャラの敵じゃないね。
「よし、倒せた」
「そりゃそんだけレベル上げてりゃな……」
お姉ちゃんもちょうど終わったみたいだ。
「そこまで上げなくてもギリギリ倒せるぐらいでいいじゃねぇか」
「圧倒的な強さで倒すのがいいんじゃない」
「……優希さん、ストレスを溜めているのでは?」
「……かもな」
どうしたの2人とも?
「じゃあ皆で対戦ゲームやろー」
「そーだな」
「負けませんよ」
その後、皆でゲームをしたり、雅さんが持ってきてくれたアイスを食べたりと楽しく過ごせた。
「こうやって楽しく過ごすのも今日で最後だね~」
「もうすぐ新学期が始まりますね」
「そーだな。……このまま、ちゃんと学校始まるのか?」
「え、なんで?」
「いや、カズが『宿題教えてくれー』って来てねぇじゃん」
「激しく不安な要素があった!!」
次の投稿はどう考えても年を跨いでからになりそうですね。




