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姉弟だけどいいじゃない!!  作者: 毒の花


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30/38

第30話 夏祭りだけどいいじゃない!!

久しぶりですね。最近バタバタしていて全然執筆できません。完結するのはいつになることやら……

まぁ、マイペースにやっていきますよ。

「あ、皆いたよ」


「どこだ?」


「あっち。お~い、みんな~」


今日は近くの神社で夏祭りがある。なので皆で行こうってことになった。


「よ。これで皆揃ったな」


「ボク達が最後なの? 遅くなってごめんね」


「別に遅れてませんよ。それより、どうですか?」


夏祭りということで、全員浴衣を着ている。雅さんはやっぱりというかなんというか、上等そうな浴衣だ。


「よく似合ってるよ」


「ふふふ、ありがとうございます」


「あーあ、マサにもこんな甲斐性があればいいのに」


「うっせ。それにしても優希……おまえ帯何本使った?」


「えっ? 3本だけど」


「それ、女の着付けだぞ」


「そうなの!? お姉ちゃんは知ってた?」


「そりゃ当然だろ。てっきり、お前も知ってると思ってたけど。目覚めたのかと思った」


目覚めてないよ!!


「まぁまぁ、とりあえず、神社にお参りに行きませんか?」


「それもそうだな」


というわけでまずはお参りへ。あ、巫女さんたちが御守り売ってる―――って、ちょっと待って。あの巫女さん、ものすごく見覚えがあるんだけど。


「……ねぇ、お姉ちゃん」


「……あぁ、たぶん間違いないな」


「2人ともどうかしたのか?」


「あー、ちょっとね」


「ん?」


皆で巫女さんたちに近づいていく。


「いらっしゃい。御守りなら各種揃って___おや2人とも。友達と一緒か?」


「……お母さん、なにしてるの?」


そこにいたのはお母さんだった。もしかして、ここが職場だとか?


「バイトだ。なかなか時給がいいぞ。差し入れも多いし」


バイトかぁ。どうやって就いたんだろう……?


「え、優希さんのお母さんなんですか?」


「そうだよ」


「いつも2人が世話になってるね」


「いえいえ、わたくし、神代雅と申します。以後、お見知りおきを」


「これはご丁寧にどうも。……ん? 神代……?」


なぜかお母さんは雅さんをじっと見つめる。


「あの、なにか?」


「……んー、まぁ、なんでもないさ。それより、御守り買っていかないか?」


なんか露骨に話を変えられたけど、まぁいいや。


「御守りってなにがあるの?」


「いろいろあるぞ。家内安全、交通安全、学業成就、縁結び、なんでもござれだ」


「おいカズ、学業成就買っとけよ」


「オレがバカだって言いたいのか!?」


ずばりそのものじゃない。


「いまならオマケもつけてやろう」


「何つけてくれるの?」


「呪いのわら人形」


「いらないよ……」


なんであるのそんなもの……


 - ☆ - ☆ - ☆ -


神社でのお参りも終え、屋台を見て回ることに。


「まずは腹ごしらえからだな」


「屋台で買うとなんか高いよな」


「仕方ないんじゃない? こういうのって場所代も含まれているんでしょ?」


「雅さん、ちゃんと現金持ってきた? カードは使えないよ」


「そ、そこまで世間知らずではありません」


皆思い思いに食べ物を買っていく。


「はむはむ……おいしー」


「初めて食べましたけど……おいしいですね、このたこ焼きというものは」


「さりげなくお嬢様発言するよな、おまえ」


「栗栖さんはもう少し女性らしく話したらどうですか」


「余計な御世話だ」


「こんなところでケンカしないでよ。ほら、わたあめおいしいよ」


「いつの間に甘いもの買ったんだ。はぐ」


持っていたわたあめを差し出して止める。雅さんも再びたこ焼きを食べようとしているのか、ふーふーと息を吹きかけて冷ましている。


「優希さん、甘いものばかり食べていてはいけませんよ。さ、どうぞ。あーん」


「あーん……はむっ」


たこ焼きを差し出してきたので思わず食べてしまう。冷ましてくれたおかげか、舌を火傷せずにすんだ。う~ん、おいしい。


「優希……」


「どうしたの?」


「……なんでもない。それより、いろいろ見て回ろうぜ。せっかく祭りに来てんだし」


なんだろう、なんかお姉ちゃんの様子がおかしいような。


「……む、かたぬき」


愛理沙さんがかたぬき屋に入っていく。かたぬきって言うと、あの何とも言えない味のお菓子を上手に抜けたら賞金とかがもらえるってやつだよね。


「愛理沙は得意なのか?」


「……ん」


そう言うと愛理沙さんはカカカカッと削岩機のように細かくピンを動かして抜いていく。


「……できた」


「ほー、うまいもんだな」


「……(テレテレ)」


「わ、私だってこれくらいできるわよ!!」


愛理沙さんに対抗するためか、美奈さんもかたぬきを始める。


ベキッ!!


「あ」


一発で砕けてしまった。


「おまえ不器用だな」


「うっさい!! アンタやってみなさいよマサ!!」


「俺もかぁ?」


マサくんも始める。マサくんはじっくりと抜いていくタイプのようだ。


「よっしゃぁ!! 落としたぜ!!」


あ、カズくんは射的やってるんだ。


「カズさん上手いです」


「ふふん、オレにかかればどんな獲物も撃ち落としてやるぜ」


「じゃあ欲しいものがあるです!!」


「おう任せな。どれだ?」


「あの50インチ液晶テレビです」


「無理ゲーだろ!!」


「どんなものも撃ち落とすはずだったです」


「くっそぉーーー!! やってやるぜ!!」


さすがにコルク銃でアレを落とすのは無理じゃないかなぁ。


「ふふふ、皆さん楽しそうですね」


「そうだね。この後花火も打ち上げるみたいだし、それまでは楽しもうよ」


「では、いろいろと案内してくださ―――」


ピタリと止まる雅さん。どうしたんだろう?


「あ、あの、この辺りでお花摘みができるところはないでしょうか?」


お花摘み? ……あぁ、


「あるにはあるけど……けっこう混んでるよ」


「あ、だったら私が空いてる穴場に案内するわよ。ちょうど私も行きたかったし」


「でしたら、お願いします」


「あ、俺も行く」


そう言って雅さんと美奈さん、それとマサくんは行ってしまった。


「あいつらどこ行ったんだ? 花を摘むって?」


「あーっと、用を足しに行くんだよ」


「……? ……あぁ、トイレか」


そんなダイレクトに言わなくても。


「カズと紗彩はどうした?」


「そういえば見当たらないね。別の射的屋にでも行ったのかな」


さっきの射的屋を見ると店主の人が男泣きをしている。テレビ落としたのかな。


「愛理沙もしばらくかたぬきやってそうだし、あたしら2人だけか?」


「そうみたい」


「なんか、2人っきりになるのって久々だな」


「え? そうかな?」


「……なぁ、優希」


お姉ちゃんがギュッと手を握ってくる。


「このままさ、2人でどこか人気のないところに行かないか……?」


「えっ?」


「誰にも邪魔されないようなとこで、そのまま、まぁそのなんだ、エロいこととか……」


「え、ええええぇぇぇぇぇ!?」


「おまえだって興味あるだろ?」


「そりゃ、無いと言えば嘘になるけど……」


正直に言えば人一倍興味津々かもしれないけど。


「ならいいじゃないか。おまえのしたいこと、なんだってさせてやっからさ」


「それはものすごい魅力的だけど!! でもボクたちまだ高校生になったばかりだし、一回しちゃったらハマっちゃって学業が疎かになっちゃうかもしれないし!!」


「細けぇことはいいだろ!! 合体は(おとこ)のロマンなんだろ!!」


「意味合いおかしくない!?」


お姉ちゃんの訳の分からないセリフによって冷静になれた。


「お姉ちゃん落ち着いて。皆見てるから」


「―――はっ!!」


ようやく冷静になれたようだ。羞恥心のせいか、顔が赤くなっている。


「う、うわあぁぁぁぁぁぁ!!」


そしてどこかに向かって走り出す―――ってどこ行くの!?


 - ☆ - ☆ - ☆ -


「やっと見つけた」


走り出したお姉ちゃんを追ってきたら人気のない高台まで来てしまった。お姉ちゃんはベンチに座っている。


「……よくここがわかったな」


「そりゃあ、お姉ちゃんの匂いを追ってくれば分かるよ」


「おまえ、どんどん人間離れしてくるよな」


そんなこと言わないでよ……


「それにしてもどうしたの? いきなりあんなこと言ったりして」


お姉ちゃんの隣に腰掛けながら訊く。今までえっちな感じのことは度々あったと思うけど、さっきみたいに露骨なのはなかったと思う。


「……雅っていいよな」


「……? なにが?」


「勉強も運動もできて、美人だしスタイルもいいし、お嬢様で性格も、まぁ、良いし、魅力的だよな」


「うん。まさに完璧なお嬢様って感じだよね。それがどうかしたの?」


「最近、雅と仲がいいだろ、おまえ」


「そりゃあ、友達なんだし」


仲が良くて普通だと思うけど。まぁ、ちょっとスキンシップが多いかなって感じることはあるけど、別に嫌じゃないし。


「……不安なんだよ」


「えっ?」


不安?


「おまえが……優希があいつのところに行っちまうような気がして不安なんだよ。あたしじゃなくて、あいつのことを好きになったらどうしようって最近、思うようになったんだ。あたしってガサツだし全然女らしくねぇし、魅力ねぇんじゃねぇかって」


そんなこと、思ってたんだ……ボクがそう思わせちゃったのかな……


「ごめんね、お姉ちゃん」


「……なんで謝んだよ。別にお前は悪いことしてねぇだろ」


「でも、不安にさせちゃったから」


「…………」


「大丈夫。ボクはどこにも行かないよ。お姉ちゃんのこと、大好きだから」


「……でも」


「ボクはね、お姉ちゃんだから好きなの」


お姉ちゃんの言葉に被せるようにして言う。


「他の誰でもない、お姉ちゃんだから好きなの。ボクにとっては、お姉ちゃんがとても、とっても魅力的に見えるよ」


「そう……なのか?」


「うん。好きなところを数え上げたらきりがないけど、お姉ちゃんのことは全部好きだよ」


「……そんな恥ずかしいことよく真顔で言えるな」


プイッとそっぽを向くお姉ちゃん。心なしか、顔が赤い。照れてるのかな。


「恥ずかしいのはボクも同じなんだけどね……あ」


ヒュ~~~……ドーーーンッ!!


爆発音と軽い衝撃と共に、夜空に大輪の花が咲く。


「花火、始まったみたいだね」


「……みたいだな」


2人で並んで花火を眺める。


「綺麗だね」


「そうだな」


色とりどりの花火を見ていると、急にお姉ちゃんがしだれかかってきた。ギュッと腕を組まれたのでお姉ちゃんの豊満な胸に腕が埋まってしまう。


「お、お姉ちゃん!?」


「……たまにはいいだろ」


顔が若干赤い。……まぁ、いっか。お姉ちゃんだって甘えたくなる時があるよね。


花火が終わるまで、ボクたちはそのままの体勢でいた。




またしばらく投稿できないかもしれません。……作中で冬は訪れるのでしょうか?

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