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姉弟だけどいいじゃない!!  作者: 毒の花


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第28話 臨海学校だけどいいじゃない!! Part3

Part3でようやく水着回ですか。

「ん……」


まどろみの中、ぼんやりと考える。


昨日ボク、布団に入ったっけ……? お姉ちゃん達の部屋でお茶を飲んだことは思い出せるけど、それ以降のことが思い出せない。お姉ちゃんが運んでくれたのかな……


むにゅり


……? はて、この柔らかいものはなんだろう? どこかで触ったことがあるような……それがふたつある。


柔らかさをもっと感じたくて、顔を埋めてみる。やーらかくて、なんかいい匂いがして落ち着く……


「んぁ……」


……なに今の色っぽい声。お姉ちゃんの声? ……ちょっと待って。前にもこんな展開があったような。しかもほとんど同じ感じで。だとするとまさか―――


パッと目を開ける。


「―――!?」


そこにはお姉ちゃんがいた。前と違って浴衣を着ているが、衿の部分がはだけており素肌の感触が伝わってくる。


…………


よし、寝たふりしてこのまま感触を楽しもう。前回の反省を生かして(?)余計なことはしないでいよっと。


「ん……」


僅かに身じろぎをしたせいか、お姉ちゃんの瞼が震える。そのまま、何度か瞬きをして目を開ける。どうやら、起きてしまったようだ。


「くは~~~……んだよ、もう朝か。おい、起きろ。朝の点呼前に戻っとけ」


体を揺すってきたので、さも今起きた風に目を擦る。


「んにゅ……おはよ~」


「おう。体は大丈夫か? 二日酔いになってたりしないか?」


「二日酔い? 別に何ともないけど」


昨日お酒なんて飲んでないし。


「ならいいや」


「?」


「ふぁ……なによもう朝?」


「んん……おはようございます」


「む~、あと5分です~」


「……すぴー」


皆も起きだしてきた。紗彩さんと愛理沙さんはまだ寝てるみたいだけど。


「お、おはようございます。優希さん」


「おはよ~……って、どうしたの? 顔赤いよ?」


こちらを見るなり顔を赤くして目を背ける雅さん。ボクなにかしたかなぁ?


「いえ、その……昨日……」


「昨日? そういえば、お茶飲んでからの記憶がないんだけど、その時にボクなにかした?」


「そ、それは……」


なぜか言いよどむ雅さん。え、本当になにしたの?


「お姉ちゃん?」


「……別に覚えてないなら、それでいいんじゃねぇか? とゆーか、思い出さんでいい」


本当に何をしたの!?


 - ☆ - ☆ - ☆ -


「おまえ昨日どこに行ってたんだ? 結局戻ってこなかっただろ」


「ちょっとお姉ちゃんのとこで寝ちゃって」


「ふーん」


ボクたちは水着に着替えて海岸へ。今日は一日中自由時間だからずっと海で遊べる。今は女性陣を待っているのだ。


「にしても優希は上着るんだな」


ボクは海パンのほかにフード付きのパーカーを着ている。これは海に入っても大丈夫なやつで、最近はこういうものを着ている人も多いらしい。


「ボク、日焼けすると赤くなって痛くなるから。それに、」


「それに?」


「海パンだけだと監視員さんが飛んできて……」


前に女の子が上半身裸で泳ぐんじゃありません!! って怒られたことがある。ボクがいくら男だって言っても信じてもらえなかったよ……


「おまえも大変だな……」


「うん……あれ、カズくんはなにやってるの?」


「ん?」


カズくんはサングラスをかけ、なにやら雰囲気を醸し出している。


「いいねぇ……海」


すっとサングラスを外し、哀愁を帯びた口調で言う。


「揺れる胸、小麦色の肌、食い込む水着……これでポロリがあればさいこ―――うげっ!!」


マサくんの突込みが炸裂した。


「なにすんだよ!!」


「あ、つい。ていうか、あんな雰囲気出してんならもっとまともなこと言えよ。おまえがバカだってことを公言するようなもんだぞ」


「冷静に諭されただと……!? オレにだってまともなことは言えるぞ!! 見てろ!!」


再びサングラスをかけてTAKE2


「いいねぇ……海」


すっとサングラスを外し、哀愁を帯びた口調で言う。


「輝く太陽、白い砂浜、打ち寄せる波……そして輝く太陽」


「こいつ今太陽二回言ったぞ」


「きっと重要なことだったんだよ。何か深い意味が―――」


「深い意味なんてねーよ間違えただけだよごめんなさいでしたーーー!!」


「何やってんのよアンタら……」


「お、美奈。やっと来たのか。いやちょっとバカがな……」


ようやく女性陣がきたようだ―――ってあれ?


「お姉ちゃんと雅さんは?」


「ちょっと忘れ物してね。さっき着替え始めたとこ。私たちは先に来たのよ」


ふーんと言いつつ皆の水着を見渡す。


美奈さんはオレンジ色のセパレーツタイプの水着。陸上部で鍛えているせいか全体的に引き締まったシルエットだ。……胸が残念だけど。


愛理沙さんは黄色で肩紐のないチューブトップのワンピースタイプの水着。愛理沙さんって実は結構スタイルが良かったんだなぁ。


紗彩さんは桃色のかわいらしいワンピースタイプの水着。腰についているスカートみたいなフリルがかわいらしさを強調している。


皆よく似合ってるなぁ。


「どうよ? 感想は?」


「ん? あぁ、いいんじゃね」


「ちょっとそれだけなの?」


「いや、前に見てるし」


そういえば、美奈さんと愛理沙さんのはマサくんが選んだんだっけ。


「待たせたな」


「遅れてしまい申し訳ありません」


「あ、やっと来た(ブスリ)」


「ぎゃああああぁぁぁぁぁ!! 目が!! 目がぁぁぁぁ!!」


「ついに0フレームで目潰しできるようになったか……」


足元でゴロゴロと転がっているカズくんは放っておいて2人を見る。


雅さんは青いビキニだ。長めのパレオを巻いているせいかセクシーさと上品さがうまく両立している。海に入るからか、眼鏡をかけていない雅さんは新鮮だ。


お姉ちゃんは赤いビキニ。雅さんとは対照的に短いパレオを巻いていてとってもセクシー。真っ白な肌に赤いビキニがよく映える。


そして二人とも、たわわな果実がどど~ん!! って感じ。


「な、なんなのよあれ……」


ふらふらとお姉ちゃんに近づく美奈さん。そしてお姉ちゃんの胸をわしづかみにする。


「お、おい。いきなりなんだよ」


美奈さんは何も答えずにフラフラと離れていき、地面に乃の字を書いて落ち込みだした。……えっ、漢字?


「……わたしは……こっち」


「あの、椎崎さん?」


愛理沙さんは雅さんの腰に触れると美奈さんの隣に行き、地面に野の字を書いて落ち込みだした。……間違いない。あれはわざわざ漢字で書いている。なんで?


「なんだんだあいつら」


「さあ?」


「まぁいいや。優希、背中に日焼け止め塗ってくれよ」


「いいよ~」


お姉ちゃんにとって日焼け対策は死活問題だもんね。……選んでおいてアレだけど、もうちょっと露出の少ない水着にしたほうが良かったんじゃない? あ、でもこのすべすべの肌に塗れなくなるのももったいないような。


「ん……うまいな。なんなら、手が滑ったってことで色々と揉んでもいいんだぞ」


「もう……何言ってるの」


と言いつつもゴクリと生唾を飲んでしまう。許可もあるし、ちょっとぐらいはいいかな。


「ゆ、優希さん!! わたくしにも塗ってください!!」


「え?」


「そ、その、前も塗っていいですから!!」


「前!?」


思わず雅さんの胸を注目してしまう。お姉ちゃんよりも若干小さいが世間一般的には巨乳と称される大きさ。非常に惹かれる。


「……む。優希、水着の下もちゃんと塗ってくれよ」


「そこは塗る必要ないんじゃ……」


「そうだ。あたしも塗ってやろう」


「え、ボク、パーカー着てるから塗ってもらう必要な―――」


「わたくしもお手伝いします!!」


「必要ないよ!! ちょ、2人ともまっ、アッーーーーーー」


 - ☆ - ☆ - ☆ -


「ふにゃぁ……」


優希は泳ぐ前なのにぐったりしている。雅と一緒にいろいろと触りまくったからなぁ。う~ん、ちょっとやりすぎたか。


「大丈夫か?」


「な、なんとか」


「すみません。つい、夢中になってしまいまして」


「別に大丈夫だよ」


「ま、気を取り直して海行こうぜ」


「あ、待ってください!!」


優希の手を取って海に走り出す。雅も慌てたようについてくる。


「わ、冷たい」


「気持ちいいですね」


海水が冷たくて気持ちいい。日航が反射してちょっと眩しいが。


「それっ♪」


「うおっ!?」


バシャッと海水をかけられる。今のは優希か。


「油断したね、お姉ちゃん」


「やったなこい―――うおっ!?」


再びバシャッと海水をかけられる。今度は雅か。


「ふふふ、油断大敵ですよ」


「やりやがったなおまえら。くらえ!!」


お返しとばかりに二人に向かって海水をかける。


「わぁっ」


「きゃっ」


「あはははははっ!!」


そのまま三人でバシャバシャと海水をかけあう。


「あいつら楽しそうだな」


「あっちは放っておいてあげましょうよ。それよりマサ、遠泳しましょ。どっちが早いか競争よ。負けたらジュースね」


「あ、おい待てよ!!」


「愛理沙さんは行かないです?」


「……あんまり長い距離は……無理」


「じゃあ紗彩とお城作るです」


「……ん。大きいの……作ろう」


「くそうリア充どもめ……オレはナンパにでも行こうかなぁ」


 - ☆ - ☆ - ☆ -


「ふぅ……」


一旦優希たちと離れてパラソルに戻ってくる。日焼け止めを塗り直すためだ。優希たちはかき氷を買いに行った。


いやぁめんどくせぇ。自分の体質がつくづく嫌になるな。もういっそ優希みたいに上着でも着るかな。そうすりゃ塗るのは下だけで済むし。


「ねぇキミ1人かい?」


「ん?」


振り返るとなんかチャラそうな2人組の男が。あー、説明すんのめんどいからAとBでいいか。


「1人ならオレらと一緒に遊ばないかい?」


「楽しーことしよーぜ」


ナンパかぁ。めんどくさい奴らに絡まれちまったな。


「悪いけど連れがいるんでな。あんた達とは遊べねぇよ」


「そんなこと言わずにさぁ。ちょっとぐらいいいじゃん」


「遠慮しとく」


しつこいなこいつら。


「ほら、痛い目あう前にどっか行けよ」


「うん? なにしちゃうって?」


「いいから行こうぜ」


そう言ってAが……Bだったか? いやまぁ、とりあえずAがあたしに手を伸ばしてくる。


「あ」


「ふぐぅっ!?」


瞬間、Aが吹っ飛んでいく。―――あ、海に落ちた。ここから海まで若干距離あったよな。人ってあんだけ飛ぶもんなんだなぁ。


「な、なにが―――ふべらっ!!」


こんどはBが吹っ飛んでいく。―――あ、Aに当たった。ジャストミートだな。


「お姉ちゃん大丈夫!? 変なことされてない!?」


今までの一連の行動は全部優希がやったことだ。久々に見たな。最近大人しくなったと思ったらこれだよ。運動能力上がりすぎだろ。


「別になんもねぇよ。ただ、腕を掴まれかけただけだ」


「そんなことしてきたの!? ちょっとあの2人沈めてくる!!」


「落ち着けって」


走り出そうとしたので抱きしめて止める。落ち着かせるために胸の谷間に優希を埋めさせる。


「落ち着いたか?」


「ふにゃぁ……」


よし、落ち着いたな。


「まったく、おまえの反応は過剰なんだよ」


「む~~~、だって~」


そのまましゃべるな。くすぐったい。


「優希さーん」


たくさんのかき氷を抱えた雅たちがやってきた。


「どうしたのですか、いきなりいなくなったりして」


「いきなり消えてびっくりしたです」


「……残像見えた」


「栗栖に何かあったのか?」


「まぁ、気にすんな。それよりかき氷寄こせ」


「何もないならいいけど。はい、あんたはレモンでいいのよね」


「優希さんはイチゴでしたね」


「サンキュ」


「ありがとう」


かき氷を受け取って早速食べる。


「ん~、おいしいわね」


「……この合成着色料満載の味が……たまらない」


「もうちょっと他に表現の仕方があるだろ……」


「はうっ、頭がキーンとするです!!」


んー、冷たくてうまい。


「優希さん、ちょっと交換しませんか?」


「うん、いいよ」


「ではどうぞ。はい、あーん」


「あーん……はむっ。おいしー」


「わたくしにもくださいな」


「はいどうぞー」


「あ、あーん」


「ちょ、おまえら何やってんだよ!!」


「ふふふ」


「えっ?」


雅め……侮れないやつ。優希も無自覚にやってんじゃない!!


「優希、あたしのも食え。ほれ、あーん」


「あーん」


かき氷をスプーンですくって優希の口に入れてやる。


「おいしー。お姉ちゃんも、はい、あーん」


「お、おう。あーん」


改めてやると恥ずかしいな。……おいコラおまえらニヤニヤすんな。


「……そういや、カズはどうした?」


居たたまれなくなって話を振る。あいつは確か、ナンパに行ってたような。


「あいつならナンパに失敗してだな、」


まぁ、予想通りだな。


「いろいろあってスイカ割り用のスイカの隣に埋まってる」


「何があったんだよ!!」


遠くで、悲鳴が聞こえたような気がした。南無~




Part4は近いうちに投稿します。

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