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姉弟だけどいいじゃない!!  作者: 毒の花


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第14話 体育祭だけどいいじゃない!! Part1

体育祭っていつやるものでしょうかね? 地域によって違うと聞きます。私の地域では春にやっています。

遂に体育祭の日がやってきた。運動の苦手なボクには憂鬱な日だけど決して負けられない。なんせ負けたら女装コンテストだし。


「いやー、今日はいい天気でよかったなぁ~」


髪型をツインテールにし、体操着を着たお姉ちゃんが言う。お姉ちゃんがそう言うときってだいたい曇ってる日だよね。仕方のないことだけど。


「ところで、その髪型どうしたの?」


「ん? 紗彩からインスピレーションってやつを受けたんだよ。たまにはいいだろ?」


「うん。似合ってるよ」


なんだか新鮮でいいね。


「おまえもツインテールにするか?」


「しないよ!!」


さらに女の子っぽくなっちゃうから!!


「ちっ……でもま、邪魔にならないようにしとこうぜ」


そう言ってボクの髪をいじりだす。別に軽く纏めとくだけでもいいと思うけど……


「……よしっと」


出来あがったのはポニーテール。う~ん、まぁいっか。いつもとあんまり変わらないし。


「あとはリボンを着ければ完成だな」


「いらないよ!!」


一気に女の子っぽくなっちゃうからね!?


 - ☆ - ☆ - ☆ -


『それでは、これより星山学園体育祭を開催いたします』


グラウンドに整列し、放送を聞く。


『まずは校長先生の挨拶です』


校長先生の挨拶か……こういうのって大抵長くなるから嫌なんだよね……


『えー、どうせ誰も聞いていないと思うので話は割愛します。ええ、わかっていますとも。とっとと退散すればよいのでしょう』


ものすごい速さで終わった!! 去っていく校長先生の背中がどことなく寂しそうに見える。


『はい、では生徒会長による選手宣誓です』


校長先生はスルーしてさっさと進める司会者。いいのかなぁ?


『えーと、ここだっけ? えっ、もっとこっち?』


段取りぐらい覚えておこうよ……リハーサルはしなかったの?


『え~と、なんだっけ……(ゴソゴソ)』


いきなりカンニングペーパー!?


『ふむふむ、我々はスポーツ精神に則り正々堂々と……か。よし、我々はシュポーツ精神に則り正々堂々と―――』


二回聞かされた!! しかも本番で噛んでる!!


『相手を叩きのめし、その屍を乗り越えて勝利することを誓います!!』


なんか物騒なこと言われた!!


『これにて、選手宣誓を終わります?』


なんで疑問形……


 - ☆ - ☆ - ☆ -


その後、準備運動も終わり、体育祭が始まった。星山学園は各クラスがチームとなって、各学年ごとに順位を決めるらしい。


最初の種目は一年女子100m走だ。

みんなどんどん走っていく。やっぱりというか、美奈さんと神代さんは一位。愛理沙さんと紗彩さんも健闘して三位に食い込んだ。


「あ、お姉ちゃんだ」


「相変わらず速いな」


「結構すごいよな」


うんすごい揺れる。……あ、いや、ツインテールのことだからね!!


で、ぶっちぎりのトップでゴールした。……さてと、


「ん? どうしたんだよ優(ぶすり)ぎゃあぁぁぁぁ!! 目が!! 目がぁぁぁぁ!!」


「何してんだよおまえ!!」


「何って……お姉ちゃんを視姦するようないけない目は潰しちゃわないといけないでしょう?」


「「「「「ひぃぃぃ!!」」」」」


んーと、男子全員の目を潰すのはどれぐらい時間かかるかなぁ?


ピンポンパンポ~ン


『続いて、一年男子100m走を開始します。選手の方は速やかに準備してください』


「あ、ほら優希。そろそろ準備しないといけないぞ」


「早く行くぞ天道!!」


「遅れるわけにはいかないからな!!」


む~、仕方ないなぁ。


「じゃあ行こうか」


「「「「「ほっ……」」」」」


「うぉぉぉぉ……まだいてぇ……」


 - ☆ - ☆ - ☆ -


「栗栖さん、次みたいです」


「おっ、やっとか」


紗彩の言葉であたしはグラウンドに目を向ける。マサとカズ? 知るか。どうせ一位だろ。


「にしても応援していいのか……?」


個人的には応援したい。でも体育祭の結果によっては優希の女装がかかってる。一組が優勝するのは阻止したい。くっ……もどかしい。まるでロミオとジュリエットだな。


『ああ、お姉ちゃん。貴女はどうしてお姉ちゃんなの?』


『それは君が優希だからさ(キリッ』


話は知らんが確かこんな感じだったはずだ。ロミオとジュリエットが逆な気がするが、これで合っている気もする。


「ま、優希はどうせビリになりそうだし応援してもいいんじゃない?」


「優希さん運動苦手です」


「それもそうだな」


優希を応援しようと並んでいるメンバーを見る。……なんだありゃ?


「優希と一緒に走るやつらは誰だ?」


「え~と、私達のクラスからは尼子(あし)早斐(はやい)ね。陸上部のホープよ」


「3組の人は伊多(いだ)(てん)さんです。同じく陸上部の人です」


「4組は電興(でんこう)刹卦(せつか)だったわね。サッカー部の次期キャプテンだとか」


「5組の人は櫛風(しっぷう)陣來(じんらい)さんです。アメフト部でランニングバックのポジションの人です」


「6組は雲堂(うんどう)照伐(できる)ね。運動なら何でもできるから、よく助っ人に呼ばれてるのよ」


「……本名なんだろうな、それ」


でもまぁ、今の話が本当ならヒョウとかチーターとかの猛獣の中に子猫がいるようなもんか。


「優希ー!! がんばれー!!」


心置きなく応援できるな。……あ、手振ってる。かわいいやつめ。


パァンッとスタートの合図が鳴り、いっせいに走り出す。接戦を繰り広げているが、予想通り優希はどんどん遅れていく。こりゃ勝負は見えたな。……あ。


前を走っていたやつらがいっせいにコケた。どうやら雲堂の靴ひもが切れたらしく、それにつまずいたら周りのやつらが巻き込まれたらしい。その隣を優希が悠々と走っていき、一位でゴールした。


「いやいやいや、どんだけ運いいんだよ!!」


優希は無邪気に喜んでいるが、あたしは何とも言えない心情だ。


くっ……なんとしても1組に勝ってやる!! そんで優希の女装を拝むんだ!!



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