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売国政府を断罪する最強転生者――彼の過去を暴くチートを得た私が小説にしたら、全世界が大発狂  作者: 閃幽零×祝百万部@センエースの漫画版をBOOTHで販売中
B章 財務省は眠れない。

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3話 都市の血戦。


 3話 都市の血戦。


 ――裏国連会議から数日後、金曜日。決行の日。夜の渋谷。

 信号は赤のまま凍りつき、霧雨が街灯を滲ませている。

 センエースはスクランブルの中心に立ち、ビルのガラスに映る自分の影をただ見ていた。

 風が足元を抜け、紙くずが一枚、足首に触れて転がっていく。

 まるで都市そのものが息を殺しているみたい。


 最初に変わったのは、音だった。

 地下から低い唸りが立ちのぼり、遠くで犬が短く吠えて、すぐに黙る。

 路地の奥でエンジンが三度咳き込み、ぴたりと止む。

 携帯端末に圏外の表示が一斉に灯り、スクランブルの大型ビジョンにわずかな電流が走る。

 妨害は半径数百メートルの局所。セル網だけを潰す限定ジャミングで、移動体通信は死ぬが、外周の固定回線・光ファイバーと定点カメラ、報道のバックホール回線は生きている。


【NHK 特設】

『渋谷エリアで局所的な停電が発生。通信障害の報告も――』


【民放L字】

《緊急速報/渋谷スクランブル交差点に向かう不審な無人車両多数目撃されております》


 ★


 第一波。

 四方の路地から無人化された車両が突入する。

 屋根には黒いコンテナ。中身は混載――強装薬に加えて、焼夷・発煙・撹乱剤のカートリッジ。霧雨を弾いて鈍く光った。


 白い閃光が弾け、過圧が空気を押し出し、アスファルトが波のように盛り上がる。

 同時に撹乱剤と濃密な発煙が膨張し、視界と動線を丸ごと刈り取った。

 高層の窓がびりびりと震え、破片が雨より細かく降り注ぐ。


【SNS】

〈なにこれ爆発?〉

〈渋谷で車突っ込んだぞ!〉

〈#渋谷消滅〉

〈真っ白で何も見えん〉

〈また、どこかの国がミサイル撃った?〉

〈違う、これは自爆ドローン車。車体ごと爆薬積んで突っ込ませてる。市街地で使うの正気じゃない。この第一波は、おそらく突入+面制圧。要は動きを止めるのが目的。強い過圧は要所だけ、全体は煙と撹乱で塞ぐ設計〉


 視界は白に満たされ、耳は鋭い耳鳴りに占領される。

 煙が壁となり、街は乳白の濁りに沈んだ。


 ★


 間を置かずに第二波。

 屋上からローター音。多軸ドローンの群れが円環を組み、飽和射撃を開始。

 曳光が交錯し、レーザー測距の赤点が煙の膜に踊る。

 白煙の向こうで弾道の尾が群れになって跳ねた。雨粒が蒸発し、焦げた匂いが風に混ざる。

 ドローンは事前投入・自律航行。屋上に置いたローカルコントローラと機体間メッシュで隊列を維持し、セル網ジャミングの影響外で動いている。

 それでも、センは動かない。


【SNS】

〈音やばい、窓ガラス炸裂〉

〈しぶや終わったww〉

〈普通に戦争やってるの草〉

〈マルチローター火器ドローンだな。レーザー測距で網のように射線組んでる。小型だけど市街制圧仕様。この第二波はたぶん、『逃げ場を潰す』フェーズ。上空からの飽和射撃で撤退経路を塞ぎ、避難を物理的に無効化する感じ〉


 ★


 第三波。

 下水ハッチが浮き、濡れた影が闇からせり上がる。

 それは侵入経路の一つにすぎない。対角の駐車場では黒いワゴンが射出され、角で横転、その瞬間に閃光と衝撃。

 二階、三階の非常階段には別動の射撃チーム。光学サイトの照準は煙で滲むが、近距離は十分に致死的――赤点とIRが中心へ収束し、一斉射が重なる。

 サプレッサー付きの破裂音が、外周から内側へと段階的に近づいてくる。


【ネット配信/渋谷カメラ】

〈すげぇ兵器なんだけど……〉

〈見た事ないレベル〉

〈潜入部隊+車両爆破的な同時攻撃。都市戦の教科書そのまま。死角潰しに徹してる。第三波は『潜入でとどめ』。下から・側面から・階上からの多軸侵入で、生体接触。生きていたら拘束か排除、どっちでもいける設計。ちなみに、俺も見たことないレベル。異常〉




 第四波。

 低高度で待機していた滞空弾が、煙の天蓋を破り、熱圧の花を連続して咲かせる。

 二段点火――微粉燃料を気化拡散させてから着火し、酸素ごと掻き混ぜて爆圧を最大化。霧雨が止む刹那を狙い、気象条件まで織り込んだ投下だ。

 衝撃が空気を皺にし、看板が捩れ、街路樹が根元からしなった。

 交差点の中央は、地形そのものが曖昧な炎の塊と化した。


【欧州主要局】

“Tokyo under unprecedented strike. Foreign desks report: the entity presumed neutralized.”


【SNS】

〈マジですげぇ攻撃〉

〈これ、センエース、死んだよな?〉

〈どこの国がやってんの? アメリカ?〉

〈燃料気化爆弾(FAE)系。酸素を巻き込んで爆圧で潰すやつ。市街ブロックごと蒸発してる。この第四波は『存在ごと消す』フェーズ。生存者を想定しない徹底破壊〉


 ★


 第五波。

 雨がやみ、代わりに黒い雪――煤と粉砕ガラスが軽く舞う。

 その中を裂くように細い光条が走り、残火にタングステン徹甲弾の閃きが突き刺さった。

 上空の対物ドローンと、路上に潜ませたワイヤ式の自律射撃台が、上から下から貫通射を重ねる。

 交差点の形はもうなかった。焦げ、崩れ、沈み、瓦礫だけが残る。

 それでも中心は、なお白い幕に包まれて見えない。


【SNS】

〈第五波は『徹甲で絶対に生き残らせない』の巻。装甲目標用タングステンを人間サイズに集中。上空と地上の挟撃で硬目標扱い、残骸ごと焼き切るつもり〉

〈エグい軍オタが、ずっと濃い解説をしてくれてるけど、何言ってるかさっぱりわからねぇ〉



 ★


 ――【官邸 地下会議室】


「映像途絶三十秒。熱域が飽和して判別不能だ。……やったのか?」

「中継を戻せ。どうにか情報を!」

「死んだのか?! 殺せたのか?!」

「あれで生きていられる生き物など……いてはいけない」


 彼らは知っていた。

 数時間前、『裏国連』から密かに暗号通信が届いていたのだ。


『渋谷で神を排除する』


 それが警告か通達か、日本政府には判断できなかった。

 米軍にも連絡できず、迎撃も不可能。

 東京の心臓部で、ただ事態を見守るしかなかった。


 ★


 ――白煙が、少しずつ剝がれていく。

 雨粒に混じる細かいガラスが、街灯の下で星のように瞬いた。

 カメラのズームはじりじりと進み、ピントが迷い、合い、また外れる。高熱の揺らぎが、画素の奥でまだ喘いでいる。

 息を呑む音が、どこかで小さく重なった。


 ――そこに、立っていた。


 煤にまみれた青い長羽織。

 肩に降り積もる粉と灰を、センは手の甲で静かに払う。

 少し払うだけで、クリーニングに出したみたいにピカピカになった。


 肌に傷はない。呼吸は浅く、規則正しい。

 首を左右に回し、関節が乾いた音を立てる。退屈を追い払う仕草のように。


 一歩、前へ。

 砕けた路面がかすかに鳴り、足跡だけが鮮明に残る。


【NHK 特設】

『……っ、画面中央、センエース――生存。無傷、です!』


【SNS】

〈すっげ〉

〈神は無敵?〉

〈悪魔すぎるんだが〉

〈wwwwww〉

〈#渋谷の王〉

〈タングステン徹甲弾。戦車を抜く弾を人間サイズに集中砲火とか過剰火力すぎ。これ生き残れる存在とかいちゃいけないんだが……マジで、どこの国だ? こんな兵器、どうやって用意した……?〉


 センは、まだ何も言わない。

 顔を上げ、煙の縁――ビルの屋上、非常階段の踊り場、信号機の上、タクシーの陰――に潜む影を、一つずつ視線でなぞる。

 視線が触れるたび、どこかで喉が鳴り、息が止まり、銃口がわずかに下がる。


 掌を開く。

 ――潰れた金属片が、ころんと転がった。

 さっきまで殺意だった概念の冷たい残骸。


 センは口角をほんの少しだけ上げる。


「――殺意の質も量も上等だ。何が何でも俺を殺すって意志。いいねぇ」


 交差点の中心で、センはもう一歩踏み出す。

 音を踏みしめるように。


「さて……それじゃあ、こっちの番かな」


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― 新着の感想 ―
裏国連の仕掛けた五波攻撃、その戦略の緻密さに 圧倒されました。それを上等だと一蹴する センエースの格好良さに痺れます。
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